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第３５話「蘇る」


夢を見た。
その大きな瞳から涙を流して叫ぶ君の夢を。

君は確かに口をあけているのに私には何も聞こえない。

ねぇ何を言っているの？
何を私に伝えたいの？

『＿＿＿＿＿＿＿＿＿!!』

近づこうと足を動かしても動かない。
まるで石のようだ。

お願い、動いてよ。
今ここで君に触れられなかったら、全てが終わってしまう気がする。

そんな顔をしないで。
そんなに泣かないで。

お願いだから、もう……



『姉さんは……嘘つきだ!!』









ヒ「もう起きる時間だよ。」

目をあけると見慣れた赤と天井が見えた。
寝起きの調子？勿論最悪。

沙「……今何時？」

ヒ「起床時間を大きく過ぎて８時。」

Ｏｈ……１時間も寝過ごしたみたい。

ヒ「嫌な夢でみた？」

沙「は？」

「やっぱり気づいてなかったか；」と苦笑いをした後に基山は悲しそうな目で見た。





ヒ「泣いてる。」

下をみればシーツにいくつものシミがあった。
そして今もなお、止まることなく増え続ける。

沙「ははっ……」

本当に何なんだろう。
馬鹿みたい。

ヒ「落ち着いたら下においで。」

そう言って基山は部屋を後にした。
後で礼を言わないとな。


昨日言われた言葉が蘇る。

【私は『星城未羅』であってもう『夕闇未羅』はいない。どこを探してもいないのよ。】

あの何も写していない瞳も。
きっともう君の瞳には私は写っていないんだろう。





【もう少し、そう自分に言い聞かせて泣いた】