二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 飛んで、跳ねて、真っ直ぐに 【銀魂】 五訓UP! ( No.49 )
- 日時: 2011/11/13 21:35
- 名前: リリ ◆EPemxtc4xk (ID: AOFOtxu7)
- 参照: working!!にというか小野D神谷さんにハマってしまった
第六訓【美味いものに国境なし】
「えーっと、ネギに卵、醤油と、後は……お、あったあった。納豆と豆腐。」
現在、口に出しメモを見ながら大江戸スーパーの豆腐売り場にいるのは、新八から買い物を言付かった少女—山田志真である。
「やべ、最後の一個じゃん。早くしないとセール終わるぞ、コレ。」
セール品の半額豆腐、最後の一個に手を伸ばし、志真は喜びの声を上げる。
が。
『あ。』
いきなり横から伸びてきた手に志真の手がぶつかってしまい、志真は手の伸びてきた方向に顔を向け、謝罪の言葉を贈る。
「ああ、す、すみません……。」
「あ、こっちこそ……ああ、コレ、どうぞ。」
そこには、何故か制服を着こなし、見慣れない帽子をかぶった少女が豆腐をこちらに差し出して苦笑していた。
「えーと、そちらも、コレ、いります?」
「え、いや、いいですいいです。ちょっとプリン作るのに使えるかなーと思っただけなんで!!どうぞ!」
「プリン?豆腐でですか?」
「いや、やっぱ無理、かな……。」
無邪気に笑うその少女に、志真は少しの間思考回路を巡らせ、思ったことを口に出す。
「あの、すごい簡単で材料も安くすむ めちゃくちゃおいしいプリンのレシピあるんですけど……いり、ます?」
「いりますっ!!」
即答した少女は、志真の手を握り、すごい勢いで迫ってきた。
「あの、頭にレシピ入ってるんですけど、実際作った方が分かりやすいと思うんで、うち……はダメだな、お妙さん家……ああダメだ、えーっと……。」
あれこれと場所に悩む志真に少女は一言、こう告げた。
「あの、うちにして下さい。どうせ暇な男どもしかいませんから!!」
「はあ……。じゃあ、そうして下さい。」
こうして、志真は、その少女—風亜薙芽の言う、『うち』でプリンを作ることとなったのであった。
*
「へえ、じゃあ、砂糖は少しでいいの?」
「うん、そのほうがカラメルの味もしっかりするからね。」
そうこうしているうちに、薙芽がぴたりと足を止めた。
「ここだよー。さ、入って入って!!」
「ちょ、ちょいちょいちょい。」
「何?」
中へ入ろうとする薙芽の腕を掴み、志真は訊ねる。
「や、ここ警察だよね?」
「うんそーだよ。」
「一般人は入っちゃダメだよね?」
「うんそーだよ。」
「私入っていいの?」
「うん。アタシの友達だからいーのいーの。さー早くいこ!!」
まったく質問の答えになっていないが、中へと志真を引っ張る薙芽。
そして、台所へ足を踏み入れた。
「必要な道具あったら遠慮なく言ってねー!」
薙芽は無邪気に笑うが、それを見て志真はこんなことを考えていた。
—っていうか警察でプリン作りって………まーいっか。
そして頭を振り、もうどうにでもなれと半分自棄で材料の準備を始めた。
*
「で、後はこれを電子レンジでチンするだけ。簡単でしょ。」
「んー!いい匂い!! で、このカラメルを食べるときにかければいいんだ!」
「そ。凄いおいしいよ! まぁ、プリンなんて何個も食べるもんじゃないけど。」
「プリンラブ! 俺はプリンが好きだ! 愛してる!だからこそ、プリンも俺を愛するべきだ」「いや待て待て待てェェェェ!! それはアウト!!それはダメだろ! それ池袋の某情報屋のセリフパクっただけだろ!」
「まさかアタシ以外にデュラ○ラを知ってる人が…!」
「はいストップゥゥゥ!この話終わり! はい終わり!」
完成を楽しみに、カラメルを作りながら楽しそうに延々と話す二人。
だが、残念ながらこの話は次の瞬間、強制的に終了と相成るのである。
何故なら—
「薙芽ちゃァァァァん、仕事サボって何してんのかなァァァ?」
静かだが、怒気を纏った声が二人の話をさえぎったからだ。
その声が聞こえたと同時に、台所に煙草の匂いが充満する。
後ろを向けば、目つきの悪い顔の整った男が一人。
「げ、土方…。」
「テメェ、ふらふらふらふらどこ行ったのかと思えば勝手に台所使って何してやがんだ? 仕事しやがれこのクソガキ!!!」
「う、うううっさいバカ土方!いーじゃんちょっとくらい!総悟だってサボってるもん!!」
「そういう問題じゃねぇんだよ!!」
喧嘩が始まると思った次の瞬間、
「…!」
キィン!
台所に鋭い金属音が響き渡った。
その音の正体は、志真の短剣を男—土方十四朗が刀で弾いたことによって出た、木の小刀と刀の音だった。
そして、
「あーあカラメル煮詰まっちゃった。まったく、どうしてくれるんですかー。っていうか台所で煙草吸うってどういう神経してるんすかー。」
短剣を土方に放った張本人は、ゆるりと言葉の爆弾を投下した。