二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

第一話5 ( No.34 )
日時: 2011/10/27 13:25
名前: 天熊 ◆lH8m6Em7n. (ID: tgMaGFHR)
参照: 久しぶりです(^_^)

     《scarlet side》

「お兄ちゃん、この豚のポケモン捕まえられるかな……?」

 短パン小僧はスカーレットに聞こえないように、そっと呟いた。
キャタピーを元気にしてくれた恩人を、今はただ見ることしか出来ない。
短パン小僧は少しだけ悲しそうな顔をしたが、顔を振り、ポカブとミジュマルの闘いを必死に目で追った。



          【第五話   木 の 実 所 持 ポ カ ブ を 捕 獲 す る に は —前—】



「ミジュマル、“水鉄砲”をまき散らせ!!」

 スカーレットの指示に応答するように、ミジュマルは水を上へと噴く。
空へ上るような水の勢いは徐々になくなり、雨よりも数段上の威力でポカブの方へと落ちていった。
しかし、ポカブは身を捻りながら跳び、攻撃をかわす。
この“水鉄砲”は、相手に当たるまでの時間が長いので、避けるのは簡単なのかもしれない。

「くそっ……! 攻撃を読まれてる……!」

 スカーレットは肩を落とした。
続いてミジュマルも同じ仕草を取る。

「どうすれば“ポカブ(こいつ)”をゲット出来るんだろう……」

 上へ放射する“水鉄砲”は、発射と同時に相手に警戒され、攻撃をかわされる。
もしも、他の技を使って攻撃を当てたとしても、木の実を使って体力を回復する。
スカーレットが考えている間、ポカブからの攻撃がミジュマルを襲っていた。

「お兄ちゃん、早くしないとラッコのポケモンが倒されちゃうよ!」

 スカーレットの後ろから、短パン小僧の声。
ふと振り返ってみると、不安そうな表情をしている短パン小僧——が抱えているのは眠りから覚めたキャタピー。
その時————

 (“さっきは有難う。 今度は僕が助ける番だ!”)

 スカーレットの脳内で、そんな言葉が聞こえてきた。
ポケモンが喋った!? そんなことがあるわけ……。

「ミッジュッ! マゥ…………」

 ミジュマルの痛々しい泣き声に、我に返ったスカーレット。
地面に横たわっているミジュマルは、ポカブの“体当たり”を喰らい、身は傷だらけだ。
必死に立とうとするが、小刻みに震え、力を無くして再びその場に倒れこんだ。

「ミジュマルっ! 大丈夫か!」

 スカーレットは両手で抱え、光がさしているミジュマルの瞳を見る。
その隣へ歩み寄るキャタピー。

「お兄ちゃん、よかったら僕のキャタピーを使ってよ」
「え……?」

 スカーレットが首を斜め下に倒し、キャタピーの方を見る。
 
 (“さぁ、一緒に戦おう!”)

 キャタピーは首を少しかしげる。
まるでスカーレットを誘っているみたいだ。

「あぁ! あのポカブを捕まえようぜ!」



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