二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- 第一話4 ( No.29 )
- 日時: 2011/10/27 13:26
- 名前: 天熊 ◆zdSz24mXnI (ID: tgMaGFHR)
- 参照: 久々の更新です。んさん登場↓ あれ? んさんって誰? (笑)
《Noah side》
【第四話 ポ ケ モ ン か ら の 言 葉】
空に浮かんでいるのは暗雲の旋律。
雨が直に降って来そうな黒空。
そんな空の下で巨体の鎧ポケモン、バンギラスこと“ランス”の所為で、ジムに行けないノア。
しかも今、ぐっすり昼寝。
思わず溜息を溢すノアは、その草を枕に頭を倒した。
「つまらないわ……。 私も寝よっかなぁ……。」
ノアは目を瞑ってみる。
彼女の見る先は真っ暗の闇に包まれた。
瞳を閉じると、色々な事が思い浮かんでくる、思い出していく。
いつからこんな気分になったのだろう?
いつからこんな事を考えるようになったのだろう?
いつからこんな自分になったのだろう?
ノア自身もあまり思い出せなかった。
——自分の事なのに。
そこで、考えている事をすべて集結させてみる。
色とりどりの線が脳内を循環していく。
それは段々と一か所に集まる。
答えはきっとここにある。
『あきらめちゃ、ダメよ』
(思い出せてる……もっと思い出せる。 もう少し、もう少し……)
ノアが思い出そうとした刹那————
「グガァ〜、グガァ〜。 ギラス……グガァ……」
ノアは、突然のバンギラスの寝言といびきが混ざった声に集中力を奪われ、ふと、目を開けた。
急に静かな域から音が聞こえたので仰天した、と言ってもいい。
集まり、思い出しかけた“思い”はもう、秋の紅葉の如く、舞い散ってしまった。
これは、またまたのまたランスの所為。
ノアは本当に呆れてしまった。
「もうこんなのうんざり!」
隣りでランスはこんな事を知らず、そして相変わらずぐっすりと眠っている。
ノアはバッグを取りその場から、立ち去ろうとした。
「ランス、さよな…………」
“ら”を言う前に、先程思い出した一つの事が脳内に薄らと浮かび上がる。
その言葉————
『あきらめちゃ、ダメよ』
ノアは自身を見つめ直した。
ランスをここに持って来たのは自分自身。
強いから、性格を直す為に、一緒に居たいから、ここに持って来た。
“あきらめちゃ、ダメ”。
誰かに教えられた。
誰かは思い出せないけれど、記憶にはある。
もっと、頑張らなくちゃ。
諦めないようにしなくちゃ。
「ランスの我が儘にほんのちょっとだけ付き合ってみようかな……」
彼女はまたランスの隣へと座りこんだ。
幸せそうな表情をして眠っている。
かわい————くはないけれど。
その時、ノアは不思議な気配を感じた。
咄嗟に後ろへ振り向いてみる。
そこには薄黒い帽子をかぶり、白い服、緑色のロングヘアの青年が立っていた。
ノアの方へと少しずつ歩み寄る。
逆にノアは少しずつ後退する。
「そんなに怖がらなくていいよ。 ボクはNって言うんだ。 君は?」
「ノアって言います、けど……?」
ノアは不思議に感じるNという人物。
優しそうな表情をしているが、心の奥は?
————全く優しいという以外の感情が読めない。
そんな入り混じった感情のノアに、Nは行き成り右手の人差し指をランスの方へ示した。
「不思議な生き物、ポケモン。 彼らは彼らで自分の世界を生きたいんじゃないかな?」
突然の質問。
何故こんな質問をしてくるのかが分からない。
気付けば、Nの全てが分からなかった。
ノアはランスの思いを込めてNに口を切る。
「私もそうは思います。 けれど、それはポケモン自身が決めることです。 貴方に何が分かるんですか?」
「えっ? 君は感じないのかい? ポケモンの言葉を」
Nの言葉には正直、ノアは驚愕した。
整理すると、Nはポケモンの言葉が分かる————?
「君、いやノア。 ノアなら分かると思ったんだけどね。 ポケモン達の言葉を。 ほら、聞こえてくるよ。 あのバンギラスからも」
いつの間にかランスは目を覚ましており、ノアの隣に威厳さをかもし出しながら、威嚇の形相をNへと向けていた。
「うん、うん、成程。 バンギラスはバトルがしたい、と言っているけど。 ノアはどうする? ポケモン勝負、ボクとしてみる?」
そう言い、Nはモンスターボールを取り出す。
この男、Nを少しでも知るなら、バトルが一番良い。
ノアはそう思い、バンギラスを前へ出させる。
いかにも雨が降りそうな刹那、戦慄のポケモンバトルが始まろうとしていた。
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