二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

クリスマス編 最終話 ( No.159 )
日時: 2012/02/09 01:02
名前: 伊莉寿 ◆EnBpuxxKPU (ID: r4kEfg7B)

音「サンタさんですっ!!」

瑠「皆さん、1日遅れですがメリークリスマースっ!!」※1か月以上遅れですが☆←

現れたのは。

魁「!??!瑠璃姉…」

異常なほどハイテンションな、サンタコスをした瑠璃花。具体的にどんな姿かはご想像にお任せする。

注目される事が嫌いな瑠璃花は、テンションをあげて乗り切ろうと考えているのだろう。

…がんばれ。

音「皆さんから回収したプレゼントをランダムで瑠璃花ちゃんが配ります。」

ああ、成程そういうことか。

瑠璃花が持っている大きな白い布袋。持ち寄ったプレゼントを入れて、ランダムで配る。

円堂は目を輝かせ、隣では風丸が子供だな、と苦笑していた。

瑠「あ、自分のが来てしまったら言って下さいね!」

円堂に渡す時に気付いたのか、あわてて瑠璃花がつけたした。自分の物が来たら、確かにつまらないな。

円「へ〜、これ誰のだ?」

風「中を見たら分かるんじゃないか?……スノーボード引換券?」

…考える間もなく、吹雪だろう。



気付けば、俺が最後の順だった。まあプレゼントは何が来ても構わないと正直思っている。

テンションが低いのは、外気温が低いからだ。

室内は暖房完備だが、気温差に呆れている…というところだろうな。

瑠「鬼道さん、メリークリス…あ、」

鬼「?」

布袋の中を見て、瑠璃花が動きを止める。周りがプレゼントの話で盛り上がる中、一瞬2人の間に沈黙が生まれた。

瑠「…これ、鬼道さんのですよね。」

残った1つは、不運にも俺の物だった。するとテンションの調節ができなかったのか、いつにも無く慌しく瑠璃花が布袋を置く。

瑠「ごめんなさいっ、私自分の忘れてたみたいなので取ってきます!!」


…走っている間に転びそうで、ひやひやする。


鬼(…そうすると、俺は瑠璃花のプレゼントをもらうことになるのか。)

俺と瑠璃花でプレゼント交換、となる。

ふと隣に座っている人物からオーラを感じ、横を見ると。

秋(円堂君の…プレゼント‥!!)

木野が天に昇りそうなんだが。





瑠「ふぇっ!!!??」

ずるっ、って豪快な効果音…マンガだったら付きそうだった。慣れない靴はバランスが取り辛く、ピカピカの廊下で滑ってしまう。

そのまま前に倒れた…あっけない、私。右手に持っていたプレゼントには、傷一つ付いていなかった。安心して体を起こす。

瑠「…早く、行かない、と…」

…言い聞かせるのに、立ち上がれない。

不意に押し寄せる感情は涙を誘った。あれ、どうして?うん、たくさんの人が私にだけ視線を向けるのは慣れなかったし、怖くなかったと言えば嘘になる。でも、皆さんとは仲が良いのに。笑顔になってくれたのは、嬉しかったのに。

我慢なんてしてなかったよね?

似合ってる、って魁渡が言ってくれたのに、不安は吹き飛ばなかった?

自信持ってなんて、春奈ちゃん、出来ないよ。

足に力が入らない。会場から聞こえる夏未さんの声は、大きなケーキの登場を告げている。

戻ったらきっと楽しい。

戻ったらきっと私は、もっと視線に恐怖を感じる。

いつもなら気にしない見かけに気を遣ってしまうのは、ずっと前蜜柑ちゃんのお店の周辺にいた人たちを見たから…。

フリフリの服が、すごく似合ってた。

私に似合って無かったら恥ずかしい、って心の底から思って…。

ゴシックロリータの服も、サンタクロースの可愛い服も、新しいジャンルで未知数で、似合う似合わないを気にしてしまった。

周りの皆さんは優しいから、似合って無いなんて絶対に言わない。

…どうしよう、考えすぎると余計に戻れない。

瑠「っ…」

生温かい涙が、手の甲に落ちていった。


廊下に落ちた雫は、集まって小さな水たまりを作る。





「瑠璃花っ!」

魂が抜けたような雰囲気で、瑠璃花が座っていた。廊下に。

瑠「…!き、どさんっ…」

俺を振り返り、そして慌てて視線をそらす。その一瞬、俺が見たものは瑠璃花の涙だった。

状況が、理解できなかった。

30分も戻らない瑠璃花を不思議に思い彼女が通った道を歩いていたが、プレゼント片手に魂を飛ばしていたとは。更に泣いている。

鬼「…どうしたんだ?」

瑠「いえっ、これはっ……」

俯く瑠璃花。

涙は枯れないらしく、また左ほほを伝う。それを人差し指で拭うと、瑠璃花はぎゅ、と強く両目を閉じた。

瑠「…ゎいんですっ…」

そっと引き寄せる。荒く呼吸をしながら、瑠璃花は言葉を紡ぐ。

瑠「怖い、んです…皆さん、が…」


泣きじゃくる瑠璃花の背中を子供をあやすように優しく叩きながら、俺は大丈夫、としか言えなかった。

こうなってしまったのには、俺も絡んでいる。…ハロウィンの時に。

俺も目を閉じた。

背中の服を強く握りしめられ、俺はもっと強く瑠璃花を抱きしめる。落ち着くように、早く安らげるようにと祈りながら。



また、瑠璃花には笑ってほしい。






* サンタさんも悲しくなるの? *

 ( ごめんなさい、クリスマスなのに、 )
         ( 最後に、メリークリスマスと言えるように )