二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- 中編その1.ミッション ( No.45 )
- 日時: 2011/10/01 16:29
- 名前: 伊莉寿 (ID: r4kEfg7B)
*最強姉弟とFF*
瑠璃花が色々大変な目にあっている頃…。
魁「ふぁぁ…」
彼女の弟、流星魁渡はPCの前で大きな欠伸をしていた。画面にはレーダーチャートの様な物が出ている。
飽きた、と本音が漏れた。隣でヒビキ提督の事を調べていたキラード博士が彼の方を振り向く。
PCの前で5時間も調べ物をしていればそれも当然だ。しかし急がないと手遅れになってしまう。
魁「…俺も過去に行ってみたい!!カノンに同行させてくれ!!!」
キ「ええ?!」
パンッ、と両手を顔の前で合わせて頼んだ。キラードは困った様な顔でそれを見つめる。
魁「いや多い方が気付く事もあるだろ?!なっ!!」
キ「…」
魁「それに好い加減疲れた!もう俺仕事放棄するぜ?」
キ「分かりました過去へ飛ぶことを認めます!!!その代わりPC貸して下さいね!?」
もちろん!と笑って魁渡は言う。そして過去へ飛び、カノンを驚かせたのだった。
*
円堂が河川敷で練習をしていた。稲妻KFC、小さい子たちのチームだ。
部員が居なかった。だからやる気が無くなって部室は憩いの場と化している。全員が練習をしなくなってしまった。
だからこうして稲妻KFCの練習に混ぜてもらっている。
シュートをするKFCメンバーのボールを受け止めて、円堂が笑顔で声を張り上げていた。
と、不良が現れKFCのメンバーが危機に会う。そこで豪炎寺がシュートを繰り出し不良を倒す。
——これが歴史に残る、円堂と豪炎寺の出会いだ。
カ「これが無くなるのかと思ったけど、異常は無し!!!」
草むらで円堂と豪炎寺が出会った場面を見て、カノンはホッと安堵の息を吐いた。
魁「これが奇跡の出会いって言われてるやつなのか〜!」
カ「曾爺ちゃん(ひいじいちゃん)と豪炎寺さんの出会いが無ければFF優勝とかの偉業も成遂げられなかったって言われてるんだ!!」
ふぅん、と適当な相槌を打つ魁渡。カノンは瞳を輝かせていた。
彼にとって曾祖父である円堂守は、憧れの存在であり誇りでもあった。円堂守のひ孫と呼ばれるのは嫌では無かった。
魁「で、見張ってるのか。」
カ「そ!これが無くなったら大変だから。」
見つからないようにこっそりね、とカノンは魁渡に釘を刺した。大きく、魁渡は頷いた。
*
ラ「入学、確定…?本当にっ?!!」
テンションが上がっていたのか、身振りが大きくなる。良かったぁ、と安堵するラピスは穏やかな笑みを浮かべていた。
ミ「…で、バダップは君と勝負するつもりの様だ。」
勝負という単語に、ラピスは首を傾げた。
バダップが無言でディスプレイを開く。と、ラピスの前にも同じ画面が現れた。
数々の武器に、彼女の目は点になる。何をするつもりなのかと視線で訴えると、戦闘だと短く答えが返ってきた。
ラ「せ、せん、と…??」
エ「あ?王牙学園に入るなら其れ位出来て当然だろ授業であるんだから。」
ミ「そもそも出来ないと入学も出来ないと聞いたが…?」
頭が真っ白になった。
ラピスに戦闘など出来る筈が無い。サッカーが少し出来る位だと自分で言っている。
バ「武器を選べ。」
ラ「ぶ、武器なんてとてもっ…」
バ「ほお、要らないと言うのか。」
ディスプレイを閉じる。驚いて顔を強張らせていると、バダップが条件は同じにしないと、と言った。
ミ「自信があるんだね。」
ラ「無いです!!!!!!」
バ「いくぞ。」
ラ「ッ!」
気付くと、目の前にバダップの顔があった。蹴りが腹に当たろうとしている事を察しかわす。
速い、そして何より殺気がある。
ミストレ達はバダップの蹴りをかわしたラピスに少々驚いていた。校内でバダップの蹴りなどをかわせる者はなかなかいない。
自分達なら出来るが。
エ「元々運動神経が良かったのかもしれないな。」
エスカバが呟く。バダップは無駄の無い動きでラピスを追い詰めていた。ラピスはかわしているが、攻撃に持ちこめない。
——どうする、と頭の中で考える。
彼女はどうしたら良いのか全く見当がつかなかった。このままかわし続ける事は出来ない。
無駄の無い動きで蹴りを繰り出すバダップは体力がありそうで、しかも殺気を宿している。殺されてしまいそうだった。
殺す気が無くてもあの世へGOだな〜、と思う。
バダップの拳が飛んできた。それを顔擦れ擦れでかわしながら思いついた。
ラ(勝負ですッ…!!)
また飛んできた拳を、とっさに右手で止めた。彼の目が少し見開かれた。
ミ「と、止めた…?!」
ラ「タイミングさえ掴めれば、簡単です…」
エ「いやあんな細い腕の何処にそんな力が…!」
バダップが彼女の右腕に向けて蹴りを落とす。それを右にかわし腰を沈め、彼の足を払った。
突然攻撃に転じた事で、一瞬バダップの反応が遅れた。足払いをされバランスを崩したが、直ぐに立て直す。
そして射る様な視線で彼女を見て、風の如く突進する。
ラ「ふぇ…ッ!!!」
緊張感と威圧感で体が強張ったのか、反応が遅れた。気付けば今までと桁違いの殺気を宿した拳が彼女の腹に当たりそうだった。
ラ「———!!」
防衛本能、だった。
何が起きたのか分からない。砂塵が巻き起こり、ミストレとエスカバは目を見開く。
ラ「っ…?あ、れ……」
バ「っな…」
壁に強かに打ちつけられたバダップは、瞬間何が起きたのか理解した。
バ「蹴られた…のか。」
彼の体を、強烈な痛みが襲った。
あの一瞬に、彼女は右脚でバダップの腹を蹴ったのだ。距離が離れていた壁までバダップを飛ばす程の威力で。
彼女は気付いていない様だ。砂塵が無くなると、驚いた表情のラピス・フォルールが居た。
バ「…必要なデータは取れた。」
立ち上がる。痛みは多少和らいでいた。
はっきり言うと、彼女に此処までの力がある事には驚いた。全校生徒の中でも上位に上る程の力。
戦闘慣れしていないのがマイナスだが。
バ「ラピス・フォルール。」
ラ「……え、あハイ!!」
低い声で、彼は続ける。
「お前をミッションのメンバーに登録する。」