二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

中編その1.カワル、かわる、変わる ( No.93 )
日時: 2011/10/15 03:35
名前: 伊莉寿 (ID: r4kEfg7B)

*最強姉弟とフレンズ*


ヒビキ提督の元へ行ったのは、ラピスを除く11人だった。

チームオーガとなった選手の挨拶で、何故か彼女だけ待機になった。しかしずっと考えている暇もない。

提督は質問や意見を聞く事が良くある。直ぐに答えられるように気を巡らせていなければ。

自分達の紹介をした後、提督は我々を褒め、そして国の話を始めた。我が国を衰退させたのは何かと問う。

バ「サッカーです。サッカーやろうぜ。この悪魔の言葉がある限り、我が国は間違いなく滅びの道をたどるでしょう。」

そう思っていた。否、思っている。

なのにちらつく顔があった。『本当にそうですか?』と問うかのようなラピスの表情。

きっと、彼女はサッカーをこんな風には思っていないのだろう。だが、この国にとってサッカーは毒だ。忌むべき、毒だ。

スポーツの名のもとに行われる慣れ合い、ぬるいゲーム。この国は争っている、だからこそ闘争心を必要とするのにあんな物をして闘争心が育つ訳がない。俺はバウゼンにこうも言った。「存在自体が不快」だと。

サッカーは元々荒々しいスポーツだった。そのままこの時代に伝われば、恐らくこんな事にならなかったのではないか。

ヒ「本来、闘争本能高ぶるサッカーをこんなにも軟弱に変えてしまった邪悪の根源は誰だ!答えよ!!!」


「円堂守!」


そう答えたのは、オーガ全員。瞬間、瞳に憎悪の炎が宿る。

円堂守の生きていた時代に介入し、円堂守のサッカーへの想いを彼自身によって殺す。こうすればこの時代も変わる筈だ。

最後に、と言って提督は「ラピスへは今言った事を一切漏らすな。奴にはサッカーをやらせておくだけで良い。」と付け足す。

これには意表を突かれて目を見開いた。ラピスを来させなかったのは…何を聞かせないため?

ヒ「皆は暫く待機だ。」

ヒビキ提督の解散の声に敬礼を返し、部屋を出た。




円堂守。

漢字が難しいから何回も練習したな〜、じゃなくて。

慣れ合いのぬるいサッカーにした張本人。でも時々思う。ラピスのサッカーも似た様な物なんじゃないか、って。

慣れ合いとまでは行かない。ただ……言い表しにくいな。

廊下に出て寮に戻るため、階段を下りる。踊り場まで来て足を止めた。

——しゃがんで俯いている少女。

ミ「…ラピス?」

*つづく*