二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: ぬらりひょんの孫〜櫻が舞うころ〜 ( No.109 )
- 日時: 2011/10/03 17:37
- 名前: ★HITOMI★ (ID: H6c/o5GF)
第十五話
夜の十一時。私は部屋で寝ているふりをして、表へ出た。家の奴らに気づかれないように。私は表へ出ると、奴良家の裏の方面にある、深い森へと入っていった。私はある地点に来ると、立ち止まった。森の木々が不快にざわめく。
「・・・・美虎、かくれてないで出て来い。」
すると、
「やあね、別にかくれてなんかいないわ。」
という、声とともに、人・・・・妖怪が出てきた。
「久しぶりね、櫻姫。」
おなかのあたりまである、微妙に紫がかかった黒髪。パーマがかかっていて、毛先がくるっとなっている。恐ろしくくすんだグレーの瞳は私を見て、嬉しそうに微笑んでいる。一度見たら忘れられない、まれに見る美しさだ。彼女はその美貌を強調するような格好をしていて、黒髪に映える、龍の刺繍が入った真っ青な足首の長さまである—太もものところから大きくスリットが入った—チャイナドレスを着ていて、くつはおどろくほど長いドレスと同じ、真っ青なハイヒールだ。手には扇を持っている。
「あのメモはどういうつもりだ。」
あのメモ・・・・今日、学校で置いてあったメモ。
『今日の十一時に奴良組本家の裏手の森に来て。
美虎』
「そのままの意味よ。私の相手をしてくれる人がいなくて。みんなすぐ死んじゃうのよ。そこで、あなたを思い出して会いに来たってわけ。だって・・・・あなたの記憶って、とってもおもしろいから!」
やめろ。やめろ。
「今すぐこの町から出て行け!」
私は舞桜をぬいて、かまえた。
「そんな悲しいこと言わないでよ。」
と、美虎が言った。その瞬間、ふっと、美虎が消えた。しまった! 話に夢中になりすぎていた! でも、そう思ったときにはもう遅かった。
「っああああああ!!」
私の体は深く、ずたずたに切り裂かれ、身動きが取れなくなっていた。ちくしょう・・・・。うかつだった。
「どう? 私の『風裂鬼魔』は。なかなかでしょう?」
「うるっせえ・・・・。」
着物が深紅に染まっていくのが見えた。着物もぼろぼろだ。美虎はゆっくりと私に近づいてきた。
「やめろ! ・・・・私にふれるな!」
だが、そう言ったとしても、舞桜は私が風裂鬼魔を食らったときの反動で私とは反対方向に転がっていて、阻止できない。
「また、私を楽しませてちょうだい。」
美虎はにっこりと笑うと、私に手をのばしてきた。
「やめろ・・・・!」
美虎の手が私の額にふれる—すべての記憶がよみがえる。
「いやああああああ!!」