二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: ぬらりひょんの孫〜櫻が舞うころ〜 ( No.124 )
- 日時: 2011/10/05 15:45
- 名前: ★HITOMI★ (ID: H6c/o5GF)
第十七話
「おいしい記憶をごちそう様。じゃあね!」
と、美虎は満足すると去っていった。ちきしょう・・・・思い出してしまった。自分の中に封印しておくつもりだったのに・・・・。私の目から、次々と涙がこぼれ落ちてきた。
「灰火・・・・。」
あまりの痛みに動けなかった私は仕方なくそのままじっとして朝を待っていた—。
「ああっ、お嬢おおおおおお!!! どこ行ってたんですか〜・・・・ってなななななにがあったんですか!!! 血まみれじゃないですかああああああ!!!」
私はおばあちゃん、珱姫の治癒能力を継いでいて、傷の治りが異常に早いの・・・・。だけど、今回のは傷が深すぎて、治ったと言ってもほんの少し動けるようになっただけだけど・・・・。私は舞桜をつえ代わりにして必死に歩いて— 一歩足をふみ出すだけですさまじい痛みが体中に走るけど—奴良家に帰ってきた。
「だ、だいじょうぶ・・・・だよ・・・・。」
私はむかえ出てきた鴉天狗に向かって言った。鴉天狗の声におどろいたのか、みんなが表へ出てきた。
「お、お嬢、どうしたんですか、その格好は!」
「早くつかまってください!」
と、みんなが私に肩を貸してくれた。
「あ、ありがと・・・・、あ、及川さ・・・・じゃなくて氷麗、そんなに私にくっついてると、着物が血で汚れちゃうよ?」
「そんなの気にしないで下さい! さ、持ち上げますよ!」
と、私はなんとか家の中へ入った。い、痛い! ううん、痛いの限度を超してる!! 毛倡妓が薬草を傷口に塗ったときなんか、
「いったあああああああああ!!!」
と、悲鳴をあげてしまって・・・・。そして、気づいたときには包帯がぐるぐる巻きで・・・・。
「すぐ治るからここまでしなくてもいいんじゃない・・・・?」
「なにを言ってるんです! いくら治癒するのが早いからってそんな傷はすぐ治るわけないでしょう!!」
「ご、ごめんなさいっ。」
・・・・おこられちゃった。はあ・・・・、今日は学校に行けないんだろうな・・・・。そのとき、ドタドタと、足音がして、
「櫻姫っっ。」
と、お兄ちゃんが入ってきた。
「お、お兄ちゃん。」
「ど、どこ行ってたの!! 心配かけて!!!」
も、ものすごいけんまくで怒鳴られてしまった。
「ご、ごめんなさい・・・・。」
「って言うかなんでそんな血まみれで帰ってきたんだよ!」
と、長々とお説教をされてしまった。ご、ごめんなさい〜。あっ、もうそろそろ・・・・。
「お、お兄ちゃん、そ、そろそろ学校行く時間じゃ・・・・。」
「え? あ、ほんとだ!」
お兄ちゃんは立ち上がって、部屋を出ようとして、最後に、
「いい? 今日はぜったいにじっとしててよ!」
と、学校へ行ってしまった。ふう、長かった・・・・。私が悪いんだけどね・・・・。私は美虎のことを思い返していた。美虎は・・・・。実は能力があって、ふれたものの悲しい記憶、苦しい記憶・・・・そんな記憶を思い出させることができるの・・・・。私はとりあえず眠ることにした。
私は真っ暗な闇の中にいた。私は辺りを見まわした。すると、
「あっ。」
オレンジの太ももまでしかない着物に黒いレギンスを着た人がいた。私はゆっくりと近づいてみた。
「あ、あの〜。」
と、声をかけてみる。人がふり返った。紅色の長い髪、黒い瞳。
「は、灰火!」
私は灰火に抱きついた。
「灰火! 生きてたのね!」
灰火は無表情のまま、私を見つめた。灰火・・・・? なんか変・・・・? 私は灰火からサッと離れた。そのとき、
『私はお前のせいで死んだ。』
!! は、灰火・・・・!灰火は私に近づいてきた。私は灰火が近づくにつれて一歩一歩後ずさりをする—!? そのとき、私の足元が、ガクンと、しずんだ。な、なに!? そして、私は一気に肩のところまでしずんでいった。灰火のほうを見ると、
『お前さえいなければ・・・・お前さえいなければ・・・・。』
と、ゆっくりと近づいてくる『お前さえいなければ・・・・!』その言葉はぼろぼろの私の心に深々と突き刺さった。私の体はどんどんしずんでいく。灰火も憎しみのこもった目で私を見つめながら近づいてくる。
「いやっ。」
「いやっ。」
と、私は目を開けた。あれ、ここはふとんの上・・・・。あ、夢か・・・・。私は頭をかかえこんだ。
「起きたか。」
私は声のしたほうを見た。
「お、おじいちゃん、いたの・・・・。」
び、びっくりしたあ! おじいちゃんはふすまのところに静かにすわっていた。おじいちゃんはしばらく私を見つめてから口を開いた。
「櫻姫、お前の過去になにがあった?」