二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: ぬらりひょんの孫〜櫻が舞うころ〜 コメ&妖怪募集中! ( No.65 )
日時: 2011/10/01 09:41
名前: ★HITOMI★ (ID: H6c/o5GF)

第十話

「よお、櫻姫。」
そこにいたのは・・・・リクオ!? なぜ・・・・!
「最近、三羽鴉の報告では、悪しき妖怪の妖気を感じ取って行ってみると、必ずその妖怪はたおされているんだ。」
「・・・・だからなんだ。」
「お前だろう? 悪しき妖怪退治をしていたのは。」
「身に覚えがないな。」
私はさっさと逃げようとしたけど、よく見ると、周りをリクオの百鬼夜行で囲まれていた。ふつう、こんなことで百鬼夜行を使うか? まあ、でも、自分たちでも苦戦してやっと勝てる妖怪を一瞬でたおす奴なんだからあたりまえか。
「なぜ私だと思う?」
あの夜は月が出ていなかったから、私の姿は見えなかったはずだ。
「・・・・香り・・・・かな。」
「香り?」
私は気づかれないように、自分の髪をかいでみた。別に変なにおいはしないと思うが・・・・。
「・・・・あの京都にいた夜、オレはお前に助けられた。お前が立ち去ったあと、桜の香りがただよっていた・・・・。」
意味わかんねえ。
「そんなものが証拠になるか!」
「なんとなく。」
「・・・・は?」
なんとなく? なんだそれ。私はつかの間あぜんとしていた。
「直感だ。」
話にならん。
「・・・・質問を変える。私がなぜ、その櫻姫という奴なんだ。」
すると、リクオは、「クックックック」と笑うと、
「京都の夜から帰って来たときのお前の態度だ。」
バカ・・・・。昼の私はさけるようなまねをしたら逆に怪しまれるってことをわかってねえからな・・・・。
「だとしたらなんだ。別にどうでもいいだろう。私はもう帰りたいんだが。」
「そうはいかねえ。お前は本家につれて帰る。」
こいつ・・・・! まさか知っているのか!? 私は必死で冷静さをたもった。
「私と戦うつもりか?」
「そうだな、いざとなったら力ずくでもつれて帰る。」
なんでそこまで・・・・! しかたがない、こうなったら・・・・。私は一瞬で明鏡止水を発動させると、そこらへんにいた百鬼夜行の群れの弱そうな小妖怪をつかみ、舞桜の刃を首元にあてた。
「・・・・こいつがどうなってもいいのか?」
と、リクオに向かって言った。これくらいのおどしをかけないとあきらめそうにないからな・・・・。そのとき、空が晴れて、月が出てきた。月光が私の姿を照らし出す—。私の姿を見た、リクオ以外の妖怪はハッと息をのんだ。リクオはじっと私のことを見つめていたが、ふいに明鏡止水を発動させ、私の目の前に来た。リクオは祢々切丸をぬいた。
「私に勝てるわけがないだろう?」
「いいや、お前はオレに勝てない。」
バカか? こいつは敵との力の差もわからないのか。リクオは祢々切丸をふりおろした。私は舞桜を手前に出し、守りのかまえをする。
「うっ!」
私はズルッとくずれ落ちた。リクオが私を抱き止める。リクオは祢々切丸をふりおろした。と、思った。だが、それは罠で。リクオは私に切りかかると見せかけて、私のみぞおちに一発くらわしたのだ。リクオの「お前はオレに勝てない。」と、言っていた意味がわかった。確かに妖怪の力では私のほうが上だ。だが、いくら兄妹でも、男と女の力の差というものがあるのだ。まさか、そう来るとは・・・・! 体がふわっと持ち上がった気がした。そして、うすれゆく意識の中で、
「おめえら! 帰るぞ!」
と言う声が聞こえた・・・・。