二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: ぬらりひょんの孫〜櫻が舞うころ〜 コメ&妖怪募集中! ( No.70 )
日時: 2011/10/02 12:24
名前: ★HITOMI★ (ID: H6c/o5GF)

第十一話

ふすまが開き、ぬらりひょんと鴉天狗が、櫻姫の眠っている部屋に入ってきた。ぬらりひょんは、櫻姫をじっと見つめた。艶やかな黒髪、目を閉じていてもわかる、大きな瞳。ほんのりとピンク色のほほ。桜色をした、つぼみのような唇。美しいとしか言いようがない。
「・・・・似ておるの。」
「総大将?」
ぬらりひょんは目を閉じた。
「鯉伴や若菜さんにも、もちろん似ておる。じゃが・・・・、珱姫にそっくりじゃ。」
「言われてみれば・・・・。珱姫様に瓜二つですな。」
(櫻姫に妖怪の力があったとは・・・・。わしのせいで、どれほどつらい思いをしたことじゃろう・・・・。)
「美しい娘に成長したの・・・・。」


「んんっ・・・・。あ、あれ?」
いつもと天井がちがう・・・・。私はガバッと飛び起きた。ここどこ!? えっと、昨日の夜お兄ちゃんに会って・・・・。そうだ、バレちゃったんだ!! 
「どどどどど、どうしよう!!」
このとんでもないくらいの妖気ってことは、ここ、本家だよね!? 早く帰んなきゃ!! っていうか、どうやって出ればいいの〜。私はおろおろしていると、ガッと、勢いよくふすまが開いた。突然のことに、私は
「きゃあああ!!!」
と、大声をあげてしまった。そこにいたのは・・・・お兄ちゃん・・・・。
「だいじょうぶ?」
お兄ちゃんが言った。
「・・・・もう知っているの?」
私が聞いた。
「うん・・・・。おじいちゃんが朝、聞かせてくれた。」
「・・・・。」
しばらくの間、沈黙が私たちを包んだ。すると、お兄ちゃんが、
「・・・・行こう、みんな待ってる。」
みんなに会うの? なんていえばいい? お兄ちゃんはふすまを開けた。だめ! みんなは部屋の周りに集まっていて。私はとっさに顔を手でかくした。すると、及川さんが口を開いた。
「・・・・おかえりなさいませ、櫻姫様。」
「えっ?」
私はみんなの顔をのぞいた。その表情には警戒心などまるでなく、とても—おだやか。
「な、んで? まさか、みんな知っているの?」
「当たり前です。若と、櫻姫様はこの家で生まれたのですから、知らない者はいません。」
私はぼうぜんとしていた。そのとき、
「櫻姫!!」
声のしたほうを見ると、
「お、お母さん・・・・。」
お母さんは涙で泣きはらした目をしながら、私に抱きついてきた。
「ごめんね・・・・! そばにいられなくて・・・・。ごめんね・・・・!」
「お、お母さん・・・・!」
私は声がかれてしまうくらい泣き叫んだ。お母さんの胸の中で・・・・! 私はしばらくして少し落ち着くと、顔をあげた。そこにはおじいちゃんがいた。
「おかえり、櫻姫。」
私は笑顔で、
「ただいま!!」
と、言った。


「・・・・やっぱりそっくりじゃのう。」
ぬらりひょんは若菜に抱かれる櫻姫を見つめながら言った。
「見た目だけでなく、性格も・・・・か。」
ぬらりひょんは前に、珱姫に言った言葉を思い出していた。『例えるなら、桜。美しく、清らかで、儚げで、見るものの心を和らげる。』
「・・・・まさに生き写しじゃ。」
ぬらりひょんは、櫻姫に、
「おかえり、櫻姫。」
と、言った。すると、櫻姫は、
「ただいま!!」
とびっきりの笑顔で言った。その笑顔は珱姫そのもので。まるで珱姫が『妖様!』と、呼んできたのかと思うほどだった。ぬらりひょんはもう一度「おかえり。」と、つぶやいた。