二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: ぬらりひょんの孫〜櫻が舞うころ〜  ( No.78 )
日時: 2011/10/01 20:09
名前: ★HITOMI★ (ID: H6c/o5GF)

第十二話

その夜、奴良家は宴会さわぎだった。だが、私はすみのほうで、ぼーっと月をながめていた。私が奴良組から離れたのはまだ、一歳のときだ。十二年間もいなかったし、ここにいた記憶もないんだから、正直どうすればいいのかわからない。「ふー。」と、小さくため息をついた。そのとき、ドサッと、私の体に重みがかかった。リクオが私に乗っかってきていた。
「なにしてんだ?」
「・・・・別に。」
すると—!? 私はリクオに抱き上げられ、お姫様だっこの体勢になってしまっていた。
「な、なななにをする! おろせ!!」
「今日はお前が帰ってきてみんな喜んでいるんだ、肝心のお前がそうでどうする。」
すると、リクオは私を抱き上げたまま、
「おい、おめえら!!」
ピタッと静かになってみんなが私たちを見た。ああああああ、注目してしまうではないか!!
「今日はオレのかわいい妹が帰ってきたんだ、もっと喜ばねえか!!」
すると、わーと、みんながさわぎだした。さっきよりもひどくなっている。でも、それからはみんなに囲まれて、けっこう楽しかった。しばらくして、少し体がほてってきたので、夜風にあたろうと庭に出た。庭には大きな桜の木があって。私は木に近づくと額を木の幹にあてた。なんとなく、なんとなくだが、どこかなつかしくて・・・・。そのとき、
「櫻姫じゃねえか。」
と、頭上を見ると、リクオが木の枝にすわっていた。
「なにしてんだ?」
「そっちこそ。」
リクオがすわっている枝に私もすわってみた。
「・・・・月がきれいだな・・・・。」
空を見ると、今日はちょうど満月で、美しく、金色に輝いていた。
「ここが一番よく見えるんだ。」
「・・・・どうして私をここにつれて帰ろう思った?」
「なんとなく。」
またか・・・・。
「・・・・お前がこの町に来たとき。」
「は?」
「お前と学校で会ったときからどこか惹かれていて、しだいになにか自分とつながりがあるんじゃないかと思うようになっていた。」
「・・・・だから?」
「だからつれて帰った。」
「・・・・。」
私はあきれてものも言えなかった。まあ、またなんと大胆な・・・・。もし、なんともなかったらどうするつもりだったんだよ・・・・。
「・・・・これからはオレがそばにいる。」
「えっ。」
「オレがお前を守ってやる。」
なにを言っているんだ? こんなことを言われたのは初めてだ。私はおどろきと同時に、胸に熱いものがこみ上げてきた。ほほを涙がつたい、私はリクオに気づかれないようにそっとぬぐった。
「・・・・私より弱いのに?」
「うるせえ、それとこれとは別だ。」
その日の月は、私たちを優しく照らし、金色の光で見守っているように思えた・・・・。