二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

円ナシェ 〆 001. ( No.8 )
日時: 2011/09/29 17:19
名前: 兎子. ◆.UAIP8bSDA (ID: VTUqeMcj)


「——大介そっくりよ、笑った顔は」

 ナーシェ・スレイヴ——彼女は、確かにそう笑ったのだ。俺の笑顔はじいちゃんによく似ていると。彼女は、愛らしく笑みを浮かべた。年齢はきっとじいちゃんと似たり寄ったりの筈なのに、彼女の容姿は何処までも幼い少女そのものだった。
 そしてナーシェは再度言葉を紡ぎ出す。

「……私はね、凪とは違うのよ。何もかも。だから、貴方は凪を支えて。私みたいに、強くないのよ。凪は、貴方のような強い人じゃないと駄目なのよ」
「、俺は、」

 凪の隣に立てるのだろうか。
 ナーシェはふふ、と笑った。愛しいものを見るような瞳で、凪のことを、語り出す。小さい頃は泣き虫だったこと、ナーシェに影響されて面倒見が良くなったこと——ナーシェと凪の思い出は、とてもとても楽しそうで、鮮明に光景が浮かび上がるようだった。
 ナーシェ・スレイヴ。何よりも凪を知り尽くし、何よりも凪を愛し、誰よりも、何よりも凪から遠かった彼女は、それでも笑うのだ。
 凪との距離がどれだけ遠くても、俺の姿をみては笑う。

「ほんと、大介そっくりね」

 俺とじいちゃんを重ねてナーシェは笑う。彼女は何者なのか、俺も知らない。
 ナーシェは謎が多いのだ。何もかもが霧に包まれているように。彼女自身が霧のように。伸ばした手が虚空を掴む。彼女は何時の間にか消えている。儚く、俺の手から零れ落ちるのだ。

「ナーシェ、」

 一人になった俺は呟いた。

「、好きだ」

 凪を愛せない自分と、ナーシェを愛せる自分。俺を愛せないナーシェと、凪を愛せるナーシェ。



 〆 嘘、嘘、嘘を、




塗り固めてみました。

円ナシェ。ナーシェの正体は後々明かせると良いな、とか。
当初の予定は円凪でした、

09/29-兎子〆