二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- 円迷 〆 001. ( No.15 )
- 日時: 2011/10/08 20:07
- 名前: 兎子. ◆.UAIP8bSDA (ID: 3vsaYrdE)
- 参照: 一ます開けるのを忘れていた兎子です。
円堂監督には、好きな人が居る。
私がどれだけ背伸びをしても届かない、綺麗な綺麗な、大人っぽい女の人。私が、どれだけ監督を追いかけても、隣には立てないのだと、つい最近初めて知った。
薄汚れた私の心を洗い流してくれるのが、監督だった。
死にたい、と。汚れた考えを持つ私をいつも心配してくれたのも監督だった。綺麗な瞳に、私が映り込む度に優越感に浸れた。嗚呼、監督を独占出来るんだ、と。でも、監督が私を見ていないということに気付いた時、私は酷く絶望した。
監督が見ているのは、私では無かったのだから。
「——守、」
監督の、お姉さん。とても綺麗で、24歳には見えないほどの容姿。童顔、というのは悪いかもしれないが、中学生と言われても納得がいく容姿をしているその人は躊躇も何もすることなく、"守"とあたたかく監督の名前を呼ぶのだ。その度に監督は笑うから、私はもう入り込むことすらできなくなる。
所詮、"大切な部員、教え子"止まりの私と、其れよりももっともっと好かれるであろう"大切な家族"を超えた彼女との差はあまりにも大きすぎて、それにもっともっと開いていくのだ。だから私は、監督とは一生並べないのだ。ずっとずっとこの先も、後ろを目を伏せながら歩いていくしかないのだ。
監督の世界に生きる彼女は、なんて素敵なんだろう。
「迷子、サッカー、上手くなったな!」
その声が、その笑顔が、その顔が、その全てが。
私だけのものになってくれるならば、私はどんな犠牲を払うだろうか。霧野も、——倉間くんですら殺せるかもしれない。私は其れほどまで、監督に依存しているのだ。其れでも、監督を否定することも、私を否定することも、彼女を否定することも不可能だった。
きっと私がまだ弱いから。
私の頭を撫でる大きな掌をぎゅ、と握りしめて私は言葉を紡いだ。ゆっくりと、ゆっくりと監督の記憶に刻みこむように、そっと、優しく、笑みを刻んで。
「すきです、」
◇
ごめんな、
円迷hshs。
何歳になっても凪も円堂も無双ですry
10/08-兎子〆