二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- 円秋 〆 001. ( No.16 )
- 日時: 2011/10/09 19:55
- 名前: 兎子. ◆.UAIP8bSDA (ID: HbGGbHNh)
何時しか、私の前で笑っていた人は、違う人の隣で笑うようになっていた。
ただ、それが苦しかっただけなのに。
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「アキ!」
久しぶりだな、と笑う円堂君。うん、そうだね、と曖昧な笑みを浮かべながら言葉を返した。もしかしたら、私がその隣で立てたかもしれない。円堂君の正装姿に、胸がずきりと痛みを訴えた。きゅん、なんて可愛らしいものじゃなかったことは自分にも理解できた。
すぐそばで挨拶回りをしている夏未さんと、嬉しそうに笑う円堂君の二人はとてもよく似合っていて、——壊したくなった。
今すぐにでも円堂君に好きです、と告白してこの雰囲気を、夏未さんの笑顔を、円堂君の笑顔を、——何もかもを壊したいと思ってしまった。酷い、とは分かっていても、嗚呼、私、円堂君に恋をし過ぎてしまったようだ。
深く深く嵌ってしまったから、だから私はこんな醜い感情を抱くのだ。汚くて狡くて、最低な人間。其れが私だ。
「、醜いなあ、私」
口中で小さく呟けば、ぽたりと流したくも無い涙が頬を伝った。幸い誰も私を見ては居ないようだったから、ごし、と小さく涙を拭う。嗚呼、でも、此処で泣けばすべてがぐちゃぐちゃになってしまうかもしれない。
——いつまで良い人ぶってれば良いんだろう。
「アキ、どうかしたのか?」
暫くの間その場で目を伏せていると、流石に暗い雰囲気を感じ取ったらしい円堂君がゆっくりと此方を覗き込んできた。気分でも悪くなったんだろう、と考えたのか円堂君が優しく言う。
「少し、休もうか」
大人になったなあ、なんて。
昔の円堂君なら、こんな言葉は聞けなかっただろうから。嗚呼、もしかしたら円堂君をこんなにも優しく、大人っぽく、配慮のできる人にしたのは夏未さんなのかもしれない。
背中に回された円堂君の腕から伝わる体温に目を細めながら私は休憩室へと足を運んだ。
二人きりになると、円堂君をまるで私が占領したみたいで楽しくなった、嬉しくなった。夏未さんを超えた、そんな優越感を感じることが出来た。
「、円堂君……あのね、」
「ん?」
暫く座ってぼんやりとしていたが、漸く口を開く。
円堂君は何の疑いも見せず、にっこりと笑みを浮かべ首を傾げている。その姿を見たら、私が馬鹿みたいだと思えた。——違う、本当に私は大馬鹿者で駄目なんだよ。醜いんだ。
「——私、円堂君のことが好きだから、結婚しないで」
たった少し、少しだけ、
悲しくなった。
〆 好きという想いが相対な君の手に
◇
ねたにも書いた円秋。
こんな駄作でしかも話が読めないという。
その内再編集します、
10/09-兎子〆