二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

 練習 〆 002. ( No.17 )
日時: 2011/10/10 14:52
名前: 兎子. ◆.UAIP8bSDA (ID: HbGGbHNh)


気が付けば、誰一人として彼女に近づけた奴は居なかった。





「久しぶりだね、玲名」

にっこりと綺麗な笑みを浮かべてそう言う凪の姿は、数年前と然程変わらないようにも見える。
寧ろ、彼女は変わっていない。数年前と同じ姿で、同じ笑みを浮かべているのだ。変わった部分は見受けられず、正直なところ、ずっとこのまま変わらないんじゃないかと錯覚した。
都内のとある喫茶店で私達は偶然再会した。エイリア学園からもう10年も経つ頃だろうか。10年の間、何度か会ってはいるものの、彼女はずっと変わっていない。内面的にも外面的にも、だ。
童顔と言えば言い方が悪いかもしれない。寧ろ、童顔どころの騒ぎじゃないのかもしれない。
14歳の頃から全くと言って良いほど変わらないその容姿に深く溜息を吐いた。呆れとも違うし、——何て言えば良いのか。

「嗚呼、本当に」

久し振りだな。
そう言葉を紡ぎ出しては凪の正面に座る。
二人掛けのテーブルはやや小さく、喫茶店ならでは、と言ったところか。もう大人だというのにメニューを開いてパフェなどが乗っているページを嬉々と見ている姿はまるで小学生のようにも見える。
傍から見れば私達はきっと姉妹のように見えているんだろう、とぼんやりと思った。
最も、姉妹、という言葉は合っているようでもあるのだが。
お日さま園に彼女は居なかったが、少しの間だけ一緒に暮らした記憶がある。まるで姉妹のような生活に、ほんの少しだけ楽しみを覚えていた。家、というか住んでいるアパートに帰るといつも凪が寝ている。その暮らしが楽しかった。
凪が結婚したら、きっとその相手もそう思うのかもしれない。
私の場合バイトが忙しく深夜までやっていたというのもあり、凪は何時も机に顔を伏せて寝ていたものだ。夫を待つ妻のように。

「、私チョコパフェにする! 玲名は?」
「私はブラックコーヒーで良い、勿論アイスでな」

了解、と元気良く頷いては凪は店員にそれを注文した。
にこにこと嬉しげな笑顔が見え、私もつられて口許を緩める。凪は、癒し、といっても過言では無い程可愛い、——性格が。容姿も可愛いのかもしれないが、お日さま園には同じぐらい可愛い奴がたくさん居たし、容姿は平凡だ。
性格は飛び切り可愛いのだけれど(私の前で猫をかぶっていることぐらいは知っている)。
特に会話が弾むことなく、のんびりとした時間だけが過ぎていく。
届いたチョコパフェを美味しそうに頬張っている凪を暫く見つめ、自身のコーヒーを啜った。
苦くて、ほんのりと甘い。ブラックのくせに。

——今日は気分が良い、奢ってやるか。






玲名さんと凪。
仄々風味、とか、

10/10-兎子〆