二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- マサ迷 〆 002. ( No.28 )
- 日時: 2011/10/20 16:44
- 名前: 兎子. ◆.UAIP8bSDA (ID: CrVsa58M)
「——ふ、え、」
ぽたり、と涙が零れ落ちカーペットに染みを作る。
こんなに泣いたのは久しぶりかもしれない。私自身、泣くことが殆どないから、……だから、こんなにも悲しいのかもしれない。
誰ともかかわりを持たなかったから私は悲しくならなかった、だけど、——あれ程殺したいと願っていた彼がいざ死ぬと私はこんなにも弱く脆くなってしまうのか、と小さく呟いた。
大丈夫ですか、先輩。少し楽しげな狩屋の声に、私はふるりと震えた。霧野を殺したのは、狩屋でしょう、と、そう言うと狩屋はあからさまに悲しそうな顔を作り、冷たい声で、感情のこもっていない声で言うのだ。
「何を言うんですか? オレがやる筈ないでしょう? オレ、霧野先輩のこと、キライじゃなかったのに。どうして死んじゃったんだろう……、先輩を残して、どうして」
ゆっくりと、確実に私ににじり寄ってくる狩屋にびくりと体を震わせ、クイ、と顎を持ち上げて艶やかに笑う狩屋に震える唇を無理矢理動かした。
「か、りやが、霧野を、殺したん、でしょ、うがっ、」
ゾクリ。
不意に、狩屋の雰囲気ががらりと百八十度変わった。
先程まで仕舞われていた殺気が私の肌を突き刺すように鋭くなり、狩屋はその口許から笑みを消す。スッと目が細められ、まるで獲物を狙うハイエナのような表情を浮かべかと思えば忌々しげに舌打ちを一つ。
どうしてですか、と呟く狩屋の声は心なしか震えていた。
「、どうして……何で先輩は、オレのことを見向きもしてくれないんですか!?」
ぐい、と持ち上げられた顎を引き寄せ狩屋は私に無理矢理口付けた。
すぐさま狩屋の体を押し返し、パンッと軽い音を響かせて狩屋の頬を平手で殴る。
狩屋はゆっくりと赤くなった頬を撫でながら私を見据えた。何処か悲しげな瞳に、思わずぐ、と言葉が詰まる。ぴりぴりとした空気が肌に突き刺さり、ひっ、と小さな悲鳴が零れる。
「——……どう、して。霧野先輩を殺しても、オレは、——ッ」
何一つ、あなたの心すら。
手に入れることが出来ませんでした、という言葉がふわりと消え、狩屋は悲しげに呻いた。
「……ごめん、なさ、」
小さな声で謝る狩屋に、私は何も言うことが出来なかった。
(私まで飲まれてしまいそうで、)
◇
霧野には死んでてもらいました。
狩屋が好き過ぎてぶっ壊れそうな兎子です。
10/20-兎子〆