二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Episode/002. ( No.3 )
- 日時: 2011/11/09 10:46
- 名前: 兎子. ◆.UAIP8bSDA (ID: YJqsGTFd)
「——っふう、今日の練習終わり!」
パンッと両手を叩けば、凪がにいと口許を緩ませた。
クールダウンに行ってらっしゃい、なんて手を振る凪の横で夏未が難しい表情を浮かべ乍溜息を吐いた。
イナズマジャパンのことが気にかかる。自ら円堂の祖父を探しに此処へ出向いてきたのに、やっぱり円堂のことは気になってしまう。
自分を叱咤するように小さく駄目、と呟けば隣の凪へと視線を向けた。夕焼けに照らされ赤くなっている顔は、何処か円堂の面影が残っている。髪も目も何もかもが重なるのは血縁関係があるからだろうか。
凪は自身への視線を感じ夏未へと目を向ければ其の笑みを夏未へと向けた。
「夏未さん、少し気分転換に散歩でもどう?」
すっかりと赤く染まってしまった空を見上げ、夏未は溜息を吐いた。相変わらず、自分のペースは崩さない凪に呆れたように。しかし、凪が差し出してきた左手を夏未は取る。細い二人の手がぎゅ、と繋がる。
予想していたよりも小さな手に、夏未は小さく笑んだ。
「……夏未さんは、守のことを想っててくれるのね」
「、え?」
「——……守の為におじいちゃんを探しに来たんでしょう?」
くすくすと零れる笑みに夏未はたじろいだ。
夏未自身が円堂へと抱く想い。其れに気づいて、でも気付かないふり。凪はきっと其れに気付いているのだろうと夏未は小さく溜息を吐いた。
そうね、と小さく心中で呟けば手を繋ぎながら二人は歩き出す。何処へ向かうわけでも無いが、ゆったりとした足取りで。
二人も、ただの女の子なのだから。
夏未は楽しそうな表情を浮かべて話す。凪が熱心にその話に聞き入っている。二人は暫く——ロココが迎えに来るまで——エイリア学園の時やFFの決勝戦等、様々なことを話し合った。
「——シアワセモノだなあ、守は」
誰もが寝静まる深夜、凪は一人呟いた。
羨ましい、良かったね、——そんな綺麗事を言いながら凪は小さく笑う。
( きれいごとでうめつくされてるきみのせかい )