二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: ONE PIECE−天竜少女の物語−(SS連載開始! ( No.111 )
日時: 2012/03/30 20:09
名前: サリー (ID: ZjIbjScL)
参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel7/index.cgi?mode

今回、残酷な描写・グロテスクなシーンがありますので苦手な方はご注意ください。
——
見えた

「助けてって…どういう事?カノン」

カノンは瞳に涙を浮かべながら下を向いて困惑した顔でいった。

「首を斬られた時、見えたの…彼女の全てが」
「!?」

そして彼女の口からヒールについての過去が話された。

◆◆◆

今からおよそ200年前、パンドラ。
この日新しい命が誕生した。それがヒールであった。

「国王!生まれました!」

家来が喜びの表情で玉座に座ったヒールの父に報告した。
しかし、王は暗い声で聞いた。

「性別は?」
「あ、はい!麗しき女の子です!」
「…なんだ女か」
「え…?」

戸惑う家来を余所に王は玉座から立ち上がった。

「何処へ?」
「セイナに会いに行く」

◆◆◆

医務室に王が行った時、ヒールの母—セイナは血まみれで暴れまくっていた。

「どうして…どうして女の子なの!?なんでなの!?」
「落ちつけセイナ」

王に呼ばれたセイナはハッと我に返り王の方を見た。

「あなた…」
「産んでしまったのなら仕方がない。育てよう」

◆◆◆

この国の全てを選ぶのは王だ。つまりその座を継承できるのは身内の男性。
ヒールの家系にはもう男性は王しかいない。
その報告を聞いた島の住民達も表情を曇らせた。

「おいおいウソだろ…」「一体この国はどうなるんだ?」

人々が不安に包まれる中、ヒールが3歳になった頃の事だった。

「おかーさん、わたしの名前ってなに?」

ヒールがセイナの服の裾を掴んで聞いた。しかし母親の視線は氷のように冷たい。

「自分で決めなさい」

そういうと自分の子の手を振りほどいて、セイナはつかつかと先に行ってしまった。
廊下でポツンと立っていたヒールの後ろに人影が立っていた。

「どうかしました?」

クシャクシャの黒髪で赤い瞳で15歳くらいの青年が優しく声をかけた。

「わたし、名前がないの。だからおにいちゃん、名前きめて」

突然の頼みに青年が戸惑った後、苦笑して微笑みながら言った。

「俺センスないんですみませんが…。ヒール。ヒールなんてのはどうですか?」
「ひーる…うん!いいよ!」
「そうですか。ならよかった。あ…じゃあ俺はちょっと用事があるんで、
また会いましょう。プリンセス」

青年はウインクをした後急ぎ足で歩いて行った。
そんな彼を見た日ヒールは顔を林檎のように赤くさせ、
「また会いたいなぁ…」と思った。
しかし、その後青年は姿を現わさなかった。
城の家来たちに聞いても「そんな奴はいないですよ」と言われ、街中を探しても
青年はいなかった。
いつぞか彼女の記憶には青年はもう消えていた。

そしてヒールが8歳になった時だった。

「このできそこないが!!」
「キャッ」

ヒールは母親に暴力を受けていた。毎日毎日、体と心に傷を受ける日々。
何も恵まれない、そんな日々が続いていた。
しかしある日——

「国王!!王妃!!」
「どうした?そんな血相を変えて」
「ここっ…これを…」

家来が王に何かの手紙を受け取り、目を通した。
———
パンドラの国王、王妃こんにちわ。
突然ですが、言っておきます。
この手紙が届いた日から1週間後までに城にいる誰か1人を生け贄に私に捧げてください


さもなければ、2人の首をいただきます。
          
          —海賊・死風のガルデーンより
———
「がっガルデーンだと!?」
「数々の国に脅迫状を送り、その条件を飲まなかった国を滅ばす男…!!」
「生け贄といったって誰を…」
「…そうよ、アイツよ」

憎しみのこもった声と瞳でセイナは言った。

「ヒールよ!!」
「…!?本気か?」
「ええ!あんな役立たずが死んでもこの国には何の支障もでない!!
むしろ死んでほしいくらいだわ!!あなたもそう思うでしょ!?」
「……ああ」