二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: ONE PIECE−天竜少女の物語−(SS連載開始! ( No.112 )
日時: 2012/03/30 20:09
名前: サリー (ID: ZjIbjScL)
参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel7/index.cgi?mode

◆◆◆

“コンコン”

「ヒール、私よ」「どうぞ」

セイナは爽やかな顔で入ってきた。

「ごめんねいつも暴力なんて振るって…」

そして両腕を開いた。

「来なさい。今日だけ抱きしめてあげる」

優しく微笑む母の元へヒールは向かい体を預けた。

「…こんなに大きくなちゃって…」

片手がヒールの頭をなでる。そしてもう片手は何かを持っていた。
ナイフ、だ。

「ちょっと目を閉じてなさい」

そしてセイナは自分の娘が目を瞑ったと確認しナイフを持った。
そして悪魔のような笑みを浮かべ、ヒールに向かって—


“グサッ”


「ハゥッ!!」

貫いた。

ナイフが



セイナの体を。

「はぁっ…はぅぐ!!」

苦しむセイナの耳元でヒールは囁いた。

「今さらいい親?ふざけんじゃないわよ。
あ、そうそう。今日城全体に油を捲いておいたわ」
「!?な…何のために…」
「裏切り者…この国を滅ぼす為よ。私を生け贄になんていい度胸ね」
(きっ…聞かれてた!?)

ヒールはポケットからマッチを取り出し、火を点火させこう言った。

「さようなら、ウジ虫」

◆◆◆

「どうした何事だ!?」
「城が…燃えてます!!」
「なんだと!?」

“カツカツカツ…”

「ヒール!」

バケツを持ったヒールは父親である王の顔を見て微笑んだ。

“バシャッ!”

バケツの中身を王にかけたヒールはマッチの火を投げた。
中身は油——

「ぐぅがぁあああああああああああああああ——————!!!!」
「王!!」
「ヒール様!!何を!?」

王の皮膚が、顔が全てが燃えていくのを見てヒールはケラケラと笑い声を上げる。
すると彼女は近くにいた家来の剣を抜いた。

“ザシュッ”

ヒールは笑いながら家来を斬り殺していく。

「な、何故私達まで!?」
「…憎き王と女王の国の者は全て殺す対象…あの人以外は…」

“ザシュッ”
“グザッグサッグサッグザッグサッグサッ”

ヒールは死んだ死体に剣を指し続ける。笑顔で。何の後悔も無い表情で。

◆◆◆

数時間後、国全てが炎に包まれた。その光景をヒールは丘から見ていた。

「奇麗な景色…」

うれしそうな声が言った。彼女自身の声だ。
しかしここにいてはいけない。
自分が国滅ぼしに犯人と知られてしまう。
その丘から立ち去ろうとしたその時だった。

“ガシッ”
「!?」

足を何かに掴まれた。
下を見ると…

「ヒール…親の私達を…」
「見捨てる気か…?」

真っ黒に焦げ、皮膚も無かった両親達であった。

「ならばお前も道連れだ!!」
「ヒッ———」

その時の彼女の叫びと共にパンドラは滅んだ。

◆◆◆

“パチ…ッ”

「目が覚めましたか」

ヒールは自分に起こっている事が理解できなかった。
生きている。あんな大火事に巻き込まれた自分が。
そして目の前には——

「お久しぶりです」
「貴方は…あの時の…」

3年前、自分の名付け親となった青年だった。

「落ちついて聞いてください。貴方は“レイレイの実”、幽霊人間になりました」
「え…!?」
「これは体が一生霊体になるかわりに不老不死になる能力です。
そして今から貴方をとある場所に連れていきます」

青年は城の一部だった塔を仰いだ。

「あの塔の地下、そこに幻の生物ドラゴン“ヒエーナ”がいます。
ヒエーナはあと200年後、氷が溶け眠りから覚め、世界を滅ぼすことでしょう。
…貴方は世界が憎くないですか?」
「!!」
「自分を産み、苦しませた世界。自分を拒んだ世界。
それを滅ぼせます」
「私に…どうしろと?」
「200年間、ヒエーナの復活まで見守ってほしいのです。
僕では無理ですが、不老不死の貴方ならそれができる。どうでしょうか?」

ヒールは下を向いた。唇を噛み締めた。

決意を決めた。

「分かった。私、やるわ」
「そうですか…では行きましょう」
「1ついい?」
「なんでしょうか?」
「—貴方は何者なの?」

ヒールの方を振り返った青年はそのままこう言った。

「…いずれ」

◆◆◆

過去を知った一同は静まり返った。
カノンは涙を流して拳を強く握る。
しかし、長く続いた静寂を打ち砕いたのは—

「助けよう」

ショコラであった。

「最初はなんだか分からなかったけれど、話聞いたら黙って置けなくなっちゃった。
それに…カノンに泣かれて頼まれたら断れない」
「ショッショ…ジョゴダ〜〜〜〜〜!!!」
「ホーリーナイト、貴方も手伝ってくれる?」
「…フッ、仕方がないな」
「仲間の頼みだ!断る訳ねぇよ!」
「レディが助けを求めてんなら騎士(ナイト)が黙っててどうする」
「なんだかお宝の匂いもするし〜B」
「歴史の謎も」
「だ———ッ!!いい奴すぎるぞおべぇらよ〜〜!!」
「泣き過ぎだ」
「ま、まぁおれにかかればこんなもんは…」
「ショコラさん、パンツ見せてくれm「なんでそうなる!!」

次々と一同の心が団結していく。

「だがどうやってやるんだ?今の所策はねェんだろ?」
「ううん、大丈夫。私に案があるの」