二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: ONEPIECEー天竜少女の物語ー(オリキャラ&番外編募集! ( No.73 )
日時: 2012/02/25 18:43
名前: サリー  ◆qbNb6Ma0MY (ID: ZjIbjScL)

番外編!「勘違いのチョコ」

「ねぇ、皆なにワクワクしてるの?」
「だってなぁ〜〜〜」
「今日はバレンタインデーですから〜ヨホホホホ!!」
「バレンタインデー…」

2月14日、バレンタインデー。
これは女子が好意のある男子にチョコなどの菓子をあげるという、
モテない男たちにとってはカーニバルなイベントである。
カノンはその言葉を聞くと、首を傾げた後

「ああっ!!」

と大口を開けて、財布を持って停泊中の街へと走って出かけに行った。

「おい、カノンちゃんは?」
「街に行ったぜ」
「な!!なんだとぉ〜〜〜!?まさか、買いに行ったのか!?」

◆◆◆

「で、なんでついて行くんだよ!?」

ドでかいサングラスをかけたチョッパーが、
同じような格好をしたサンジに聞いた。

「カノンちゃんがどっかの不良に襲われたらどうすんだ?」
「いや、カノンは強いから倒すぞ、絶対」
「強すぎたらどうすんだ!?」
「いやぁ…それは…」
「そういう時におれ達が駆け付けんだろ!!」
「あ、カノンさんが動きましたよ」

望遠鏡でカノンの様子を見ていたブルックが落ち着いた様子で告げた。
すぐさま、男達は移動する。
カノンは商店街の曲がり角へ行くと、そこに隠れてマジマジと
その先を見つめる。

「!?」

その表情と視線が向けられた者に男達は驚いた。
頬が桃のような色になっていた。
目はキラキラと輝いている。

—まさしく、恋する乙女の表情。


その先には—

「「「「「…るるるるる…ルフィ!?」」」」」

ナミの買い物に付き合わされていたルフィに、淡い視線は向けられていた。

「どうゆう事だよ!?
かかかか…カノンちゃんが…ルフィに…!?」
「いやいや、カノンは恋愛感情なんか持たねぇだろ。スーパーな勘違いだって」
「でもあの表情…春ですねぇ…」

するとまたカノンは移動し、今度は旗状の看板に隠れた。
さっきと同じような表情で何かを見ていた。
その光景を見たサンジのサングラスが
“パリ———ンッ!!”
と音を立てて割れた。

「嘘だろ…!?なんで…ぞ、ゾロにぃ!?」

ベンチに座ってうたた寝している剣士は、淡い視線と嫉妬だらけの視線に
気づく事などはなかった。

◆◆◆

「はァ!?」
「カノンがチョコくれんのか〜〜!?」

船に戻ったルフィとゾロ(とナミとロビン)が喜びと驚きの声を上げた。

「おいおい…またあのカレーみてぇなモン食わされんのか?」
「そこは安心しろ、アイツは買ってた」

高級なヤツ2つをな、とフランキーは顔を青ざめたゾロに言った。

「カノンって、こういう男がタイプだったのね」

するとロビンは端の方で1人、孤独なオーラを発し泣いているサンジを仰いだ。

「そんな落ち込むなよー、チョコなんて食べれるじゃねぇか」
「レディがくれるチョコは特別なんだよ!!!」
「え、そうなのか!?」
「畜生…おれのどこがダメなんだ…」
「「眉毛」」
「平然とした顔で言うんじゃねぇ!!」
「おい、帰って来たぞ!」

ウソップが言うと、全員が外を見た。
そこには袋を抱えて上機嫌なカノンがこちらへ走って来るではないか。

「た〜〜〜だ〜〜〜い〜〜〜まッ!!!」

そのまま、彼女はサニー号に着地し噂の二人の元へと走って行った。

(待ってくれぇ!!頼むゥ、カノンちゃ————んッ!!!)

心の中で哀れなコックの悲鳴が響いた。

チョコが渡るまであと

300m、


200m、


100m、



“ビュンッ!”

「「え?」」

カノンは本命であるはずの男達を通り越して、そのさらに奥にいる人物の所へ—

「ナミ!ロビン!!ハッピーバレンタイン!!!」
「ああ、ありがとう!」
「フフッ、美味しそうなチョコね」

例のチョコが渡され、盛り上がる会話の端に、
“ポカーン”としている男達は尋ねた。

「か、カノン、おれ達には…?」
「え?なんで??」
「はっ?」
「バレンタインデーって、チョコは女の子にしかあげないんだよ」

このコメントには全員が黙った。

「カノン、バレンタインデーというのは本来は、女の子が男の子に
チョコを上げる日なのよ」
「えっ、そうだったの!?」
「つか、知らなかったのか!??」
「だって、私バレンタインデーって女の子同士がチョコの受け渡ししている所
しか見たことないし…」

成程、と大半の者は納得したがまだ謎は残っていた。

「じゃ、じゃああん時なんでルフィとゾロを見てたんだ!?」
「私が?」

カノンは少しとぼけた様子を見せた後、首を振った。

「私は二人の後ろにあった店の食べ物を見てたの」
「食べ物…って…」

つまり整理するとこういう事だ。
バレンタインデーのお菓子を買いに行ったナミとロビンの付き添いの二人は
店の外に待たされ、遅れてきたカノンはその店のお菓子に心を奪われてしまった。
男達は自分の勘違いに気づき、思わず顔を赤面にし笑った。

「そっかぁー、男の子にも渡すんだぁ…じゃあ来年は私、皆にあげるね!」
「ほ、本当か!?」
「うん、手作りで!」
「「「「「「いや、買って下さい!!」」」」」」

*おしまい*