二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 暴歌炉ヰ怒 ( No.1 )
日時: 2011/10/06 15:08
名前: 銀りゅー73 ◆Hggq1AXRQE (ID: aza868x/)

「今までありがとう。本当に、楽しかった……」

まだ響いている。
あの日から鳴り止まない、別れを告げた君の声。

「なっ……なん、で……?」
「他に好きな人ができた。ごめん、ほんとに」

別れたくなかった。大好きだったから。
それでも君は行ってしまった。他の好きな人、どんな人なのかな。きっと私より可愛いんだろうな……。
降り始めた雨は二人を濡らし、身体を冷やしてゆく。
もう戻れない……。

「じゃぁ……また」
「ぇぅう……っ」

情けなく歪んだ私の顔。もう涙を拭うことも、してくれないんだ。
背を向けて歩き出した君に、なにも言えなかった。だって……君が、私といるより幸せになれるのならいいと思ったから。

「また……ね」

聞こえないくらい小さな声で別れを告げた。
胸が苦しくて苦しくて、目の前が滲んで君が歪む。

「大好き……だった、よ……」

君が見えなくなってから、私は声を上げて泣いたんだ。
もう戻れない幸せで満たされていた過去に、もう戻れない幸せしかなかった過去に……。