二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

第一話 ( No.3 )
日時: 2011/10/09 22:05
名前: 流翠 ◆ZVFXSUXekg (ID: UE6W7gUy)

何かに縛られるとつらい。



何かに固定されるとつらい。



何かが思い出せないとつらい。



出来ていた事が出来なくなるとつらい。



もしも、必殺技が使えなくなったら



————俺達はどうするんだろう?



       
        ◆




昨日の大雨と大風とは裏に、今日は蒼い空が見渡せた。
季節外れの台風でも来たのかと思うぐらいの雨と風の量。
過ぎ去った日の翌日が雷門中一年生の入学式とは、皆驚いているだろう。
しかし、何かが違った。
何か他の物も一緒に過ぎ去った、とんで行ったような————。



場所は街角。
そこから走ってくる一人の少年も雷門中学一年生だ。
入学式にはまだ早い時間帯。 よほど待ちきれないのだろう。
しかし、彼は入学が待ちきれないのではない。

「サッカーの名門校! 遂に俺も雷門中の生徒だ!」

彼の名は「松風 天馬」。
誰よりも、何よりもサッカーが好きなのかもしれない。
そうでないとこんな街角で叫んだりしないだろう。


十年前、「円堂 守」という少年は「イナズマジャパン」という日本代表チームを率いた。
勝利、敗北など、様々な試合の結果、仲間の心境を誰よりも深く考え、優勝へと導いた一人と言っても過言ではない。
その「イナズマジャパン」は雷門中の生徒が数多く選出されていた。
だから、雷門中はいまやサッカーの名門校なのである。


松風は足の交差を段々とはやくしていった。
当然、走っている速度も速くなる。
しかし、彼が走った後は緩やか、穏やかな風だけが舞っていた。

————まるで微風。

松風が発している嬉しげな雰囲気とは裏腹に、この先、いわば未来の羅針盤は不安定な針を示していた。