二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: KAMISAMA! 【銀魂】 ( No.4 )
- 日時: 2011/10/18 21:31
- 名前: ちづる ◆iYEpEVPG4g (ID: WPJCncTm)
- 参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel3/index.cgi?mode
02
「いやっほうぎんときー!キュートでプリティーなあかねおねーちゃんが会いに来たよー!いやあおっきくなったねえ、でも相変わらずアホみたいなツラは変わらないねー。」
これに至ったまでを考えてみよう。朝目覚めて、寝起きが悪かったから布団も片付けず歯ァ磨いて、定春に餌やって、いちご牛乳飲んで。朝飯か昼飯がなんだか分からない時間帯にたまごかけごはんを食ったぐらいは覚えている。アルバイトの2人は今日は来ないらしいから、そのままぼけーっとだらだらした1日を過ごすつもりだった。録画した再放送のドラマを再生しようとリモコンを探したが、どこへ行ったのやら見つからず、真っ黒のテレビ画面が空しくあるだけだった。そして外の空気でも吸うかと思い立って寝巻きのままチェーンロックを外して玄関を開けた。そしたらこの見知った顔がひとり。数年前となにひとつ変わらない。もし一般人から見たなら目を引く赤い髪を覗けば外見は中高生くらいに見えるし、ちょっとばかし古臭い喋り方するなくらいの認識だろう。プロ級年齢詐欺女、東雲あかね。
「何で?ねえ何で?タイムスリップ?不老不死ですかあんたァ?!」
「やーねえ、でも最近は昼寝の時間とか増えてきてるしちょっと運動能力が落ちたかなあって。あと70年ぐらいでじき死ぬわさ。けど自称16歳、心も16歳、体も16歳、いやァもう16歳ってことでいーんでない?」
「良くねーよ若作りがァ!」
「褒めてくれてありがとう、でも何をしようとこの胸の小ささは埋められないのよ!ボインの夢は叶えられないのよう!一生若く美しいままで居られるってなら大歓迎だけど自身の容姿に満足してないままで成長が止まるってのはどうよ?」
「一生貧乳のまま過ごせ。脳ミソの成長も止まってるよな、え?」
「まあまあ、5年、いや10年以来かなあ?住所調べるのに半年もかかったんだから。会いたかったよー。」
悪戯っぽい目元がにっと笑って、口元が上がる。ゆらゆら揺れるクラシックな茶色のワンピースは胸元にフリルの装飾があって、高級そうなアンティークカメオなんかもついていて。まるでかわいらしい少女趣味。おまけにフリルのたっぷりついた入園式みたいな真っ白なソックスは、この部屋にはあまりにも不釣合い。ぱっと紙袋を目の前に出した。「たちばな」と描かれた薄碧色のそれは、随分丈夫そうに見えた。
「ハイお土産、江戸の隠れた名店《たちばな》のお団子セット!もうすんっごいおいしいの!」
ただし。この年代の少女というものはパフェだのアイスクリームだの新しいものが大好きで、おはぎやみたらし団子等はまだしも抹茶や羊羹が好きなんて奴はめったに居ない。ついでに和菓子の老舗探しなんて絶対する筈もない。
じゃあとりあえず上がらせてもらうわさ、と無理矢理扉の隙間から室内へ。靴を投げ出して足早に手前の部屋へ。
あれやこれやと物色していると、引き出しから写真が見つかる。表を引っくり返すと。銀時と他2人が映っていた。あたしが一緒にいた時には顔も知らない。まあ銀時も楽しくやってんのかね。見たところ部屋は多めっぽいし、万事屋なんて看板ひっさげてるんだからまともかは知んないけどまあ職にはつけてるってことで。
「上京した子供を見守る親の気持ちっての?」
「お前の子供になった事はありませんー。むしろこれが母親だったら絶対自殺するわ。グレるわ。」
「自分の母親が綺麗すぎて?」
「死ね」「アイムソーリー。」
「ごめん間違えた死ぬ間際でずっと苦しんでて。」
「死んだら銀時のとこまで行ってずうっと付きまとって四六時中話しかけるけどいい?」
「神様死んだヤツをもう一回殺すにはどうすればいいですか教えてくれませんか。」
「やっぱり、変わらないね。心配して損した。」
「何が?」
この言葉を君に言う気は無いけれど。過ごした時間が違ったって生きてる意義が違ったって、変わるものもたくさんあるけれど、変わらないことは変わらない。ずっとかたちは変化していくかもしれないけど、根本にある意思だとか信念だとか。その人が信じさえすれば心の中に存在し続ける。だから、これはただの少し自分勝手な願い。あの日々が自分が過ごした思い出が、辛いことも悲しいことも、確かに同じ時を生きてきたきみが自分を証明してくれるから。
ずっとずっと、きみが。そんな人でありますように。