二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: コナンの死闘 名探偵コナン ( No.1 )
- 日時: 2011/10/13 21:34
- 名前: 未熟な探偵シャロン ◆jtHtMr3tGQ (ID: R3ss0lfj)
序章…
《どうだ、例の部屋に入れそうか?》
「そう急かさないで」
少女が建物の中を注意深く歩く。
耳に付いている小型携帯から入ってくる男の声に誰にも聞かれないように、小さく返事をしながら、まっすぐ目の前を見つめてゆっくりと歩く。
この二人の目的はただ一つ。
この建物を所有している人物を突き止める事。
少女はエレベーターで五階に昇った。
彼女の心臓は不安と緊張でいっぱいだった。
(大丈夫、うまくやれるわ)
そう自分に言い聞かせ、開いたドアを通り目的の部屋に向かった。
廊下の突き当たりにドアが一つあった。
ドアの上には「心臓部室」と書いてあった。
(なんてニュアンスだこと)
彼女は顔をしかめながら、ドアを見た。
(さぁ、ここからが勝負よ)
彼女は深呼吸して、震える手を持ち上げノックした。
しばらくすると、ドアの小窓が開いた。
二つの鋭い目がのぞいた。
「コードネーム」
そう単調に言った。
「シードル」
彼女はすぐに答えた。
すると、小窓が閉まった。
彼女は天井を隅々まで見渡した。
(カメラは無い……。じゃ、堂々と出来るわね)
ドアが開かれた。彼女は顔をすぐにドアに向けた。
そこには黒いスーツを着た男が立っていた。
「何の用だ」
「見張りの交代です」
「まだ時間じゃないぞ」
「私のサービスですよ。ゆっくり休んでください」
「……わかった。じゃ、外で一服でもしてくるか。宜しく頼むぜ」
「もちろんですとも」
彼女は笑顔で男に言った。
男もかすかに笑顔で返して、彼女の横を通り過ぎた。
彼女は中に入った。
中には大きなコンピューターがずらりと並んであった。
彼女は目の前のパソコンに身体をむけ、マウスを動かした。
暗かった画面が明るくなり、インターネットに繋がった。彼女はインターネットを閉じて、左側にあるずらりとならんだファイル名に目を通していった。
そこに「死亡者リスト」というファイルがあった。
クリックすると、膨大な量の名前が出てきた。
年代別に名前が書きとめられていた。
「2000年から200×年まで…と」
比較的新しい年代の名前を見ていった。
そこに見覚えのある名前があった。
『AKEMI MIYANO』
「アケミ……ミヤノ……」
彼女は目を細めた。
(まさか……ね)
彼女はまた下に目をやった。すると、目指していたものがあった。
『SHINICHI KUDOH』
「シンイチ……クドウ……あった」
その名前の横には『死亡』と記されていた。
彼女はニヤリと笑みを浮かべた。
《おい、何をしている、早くしろ》
「あ、ごめん。ちょっと確かめたいことがあったの。今からやるから」
《何してんだよ》
「大丈夫、一分で済ます」
再びマウスをにぎり、別のファイルを探した。
目的のファイルはすぐに見つかった。
『21世紀のジェームズ・モリアーティ』とかいてあった。
(大胆なことね)
クリックすると、パスワードが出てきた。
彼女はキーボードに手を向けた。
しばらく手が止まり、指を一つ一つ丁寧に間違えないように押した。
「4……8……6……9……まずはこれで」
下にある「OK」という文字のボタンを押した。
しかし、「ERROR」と出てきた。
再びパスワードを入力した。
彼女は腕を組んで、考えた。
すると、彼女は再びキーボードに指を向けた。
「Where is the challenger...?」
彼女はそう呟いて、この単語を並べて書いていった。
そして、「OK」ボタンを押した。
画面が真っ白になった。
彼女は息を呑む。
すると、真っ白になった画面の左上にアルファベットが出てきた。それにつらなるように、どんどんアルファベットが現れ、文章が出来上がった。
それも膨大な文章が。
彼女は喜びを心の中に押し付けて、CD−ROMを開いて、空のCDをいれた。
『Do you copy it?』
「Yes!!」
彼女は呟くのと同時に、下にある「Yes」を押した。
『copy...』
「あと10秒」
この10秒間は人生で一番長い時間になるだろう。
彼女はそう思った。
そして待望の『The end』という文字が浮かび上がった。
CD-ROMが開き、CDをケースにいれ、「無事終了」と呟いた。
再び、ずらりとファイルが並んであるページにでた。
「ん……?」
『21世紀のジェームズ・モリアーティー』のファイルの下に奇妙なファイル名があった。
『cool guy』
「クール……ガイ……?」
《一分過ぎたぞ。早く行こう》
「え、えぇ。わかったわ……」
そのファイルが何か気にかかったが、パソコンを閉じて、ドアを開けた。
「どこへ行く」
「!?」
上から声が聞こえ、彼女は恐る恐る顔をあげる。
腰よりも長い茶髪に黒ずくめのコートをはおって、深く帽子をかぶり、その中から冷たい目が覗く。
彼女は心臓を握りつぶされた気分だった。
「ジ、ジン……び、びっくりしましたよ……」
あくまで平静を装う。
「どこへ行く、シードル」
同じ質問を彼女に投げかけた。
彼女の背中に汗が滴り落ちる。