二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: コナンの死闘 名探偵コナン File4 up! ( No.11 )
- 日時: 2011/10/21 19:22
- 名前: 未熟な探偵シャロン ◆jtHtMr3tGQ (ID: DxncmFYg)
File5 最後の日(前編)
「じゃ、ママ事務所に行って来るね」
「パパも行ってくるからな。アル、リサ、ちゃんと勉強しろよ。昼過ぎには戻るよ」
「うん!いってらっしゃーい」
「いってらっしゃい」
パパとママは私と兄のアルフィオに手を振って、仕事に出かけていった。
今日は祝日だってのに、パパとママは仕事。
まぁ、昼過ぎには帰ってくるって言うから、我慢か。
「お兄ちゃん、昼過ぎまで何する?」
「決まってるだろ。僕は大学のレポートがあるんだ。お前も宿題してろよ」
お兄ちゃんは、いかにも兄貴面(兄貴だけど)をして、私を横目で見た。
私としては、一緒にテレビゲームでもしたかったけど……。
「じゃ、ホームズでも見てるよ」
「おい」
仕方なく、図書館から借りてきたコナン・ドイルの書いた、「シャーロック・ホームズ 恐怖の谷」を手に取った。
そういえば、まだ途中までしか読んでいなかったな。
お兄ちゃんに軽くひじでつつかれながらも、お構いなしにと、ソファーに座って、ホームズの世界に読みふけった。
お兄ちゃんがため息をすると、自分の部屋に行ってしまった。
バタンと音がすると、私はすぐに本を手元に置き、パパの書斎に入った。
前から気になることがある。
パパとママはある日を境に、パパの書斎で夜遅くまで何かを調べていた。
時には、パパの同僚の人たち、FBIの人達が出入りしてたときもあった。
何をしているの?と聞いても、教えないの一点張りだった。
それで何を調べているのか、それを調べるために私は忍び込むのであった。
パパの書斎は綺麗に片付けてあるように見えるが、よくよく見たら、本棚はむやみに本を押し込んだって感じで、整頓さが伺えない。
机の引き出しも、ごちゃごちゃだ。
机の引き出しの奥に、黒いものがあるのが見えた。
何気なく手に取ると、ずっしりと重たく、鈍く光っていた。
「ひっ」
拳銃だ。
異様なオーラをまとっていた。
パパはFBI捜査官ということで、自宅にも拳銃があるということは不思議でもないし、アメリカで拳銃を所持していてもあまり不思議ではない。
でもやっぱり、間近で触れてみるとなると、恐れが沸き起こる。
私はそーっと拳銃を机の引き出しの中に戻した。
暴発しませんように……そう祈りながら、引き出しを閉めた。
一秒経った、二秒経った、三秒、四秒……。
何も起こらなくて、安堵のため息をついた。
その時
「バーン!」
「きゃああ!」
私はあまりにもびっくりして、しりもちをついてしまった。
書斎のドアからは、笑い転げているお兄ちゃんが居た。
「アル!」
心臓が飛び出すのを必死になって抑えながら、私はお兄ちゃんの名前を呼んだ。
普段は名前で呼ばないが、怒った時等に名前を呼ぶ。
「やめてよ!こっちは本当に怖かったんだから……。アルの馬鹿!」
「おいおい、僕だって、安全なことを確かめない限り、驚かしたりしないぜ」
「安全ですって?安全も何もないじゃない!」
お兄ちゃんは、涼しい顔で部屋に入って、パパの引き出しから先ほどの拳銃を出した。
「ほれ」
「やっ!ちょ、やめて!」
お兄ちゃんは私に拳銃を向けると、私は両手で頭を覆って、しゃがんだ。
お兄ちゃんはまたもや笑って、私の怒りは頂点に達しそうだった。
「もう……、次やったら捻り倒してやる」
「やっぱり、これはM1911だな」
「は?」
お兄ちゃんは聞きなれない言葉を口走った。
私は警戒しながらも、近寄った。
「これは軍用に開発された大型自動拳銃だよ」
そういえばお兄ちゃんは妙に拳銃に詳しいんだっけ。
お兄ちゃんは説明を続けた。
「といっても、もう軍では使用されていないけど。今は護身用としてでも簡単に安く手に入れられる。アメリカじゃ超有名だよ」
「私、知らないんだけど」
「ま、知らない人もいるだろうね」
お兄ちゃんはニヤリと勝ち誇った笑みを浮かべた。
「1898年頃に開発され、1911年3月29日にアメリカ軍に正式に採用されて、それから70年以上使われてきたんだ。それでM1911となったわけ。日本でもこの改良型のM1911A1が戦後発足した自衛隊に採用されたりしたんだ。で、このM1911の大きな特徴は、握ったときの親指と人差し指の間に安全装置があり、これをしっかり握らないと撃てないという仕組みなんだ」
「あぁ、だから、驚かしたんだ」
「そういうこと。で」
お兄ちゃんは拳銃を引き出しにしまい、私に向き直った。
「パパの書斎で何をやろってんだ?」
「あ、あぁ、ほら、最近パパとママさ」
お兄ちゃんもパパとママの怪しげな行動はわかってるから、説明するのに造作もなかった。
「成る程。確かに、僕も前から気になっていた」
「でしょ?だからヒントになるものがないかなーと思って……」
「よし、調べよう。ワトスン君」
「そうだね…って、なんで私がワトスン!?調べようと思ったのは私だから、私がホームズでしょ?」
「お前はワトスン。拳銃にビクビクしているようじゃ、ホームズにはなれん」
「もう!」
なんやかんやと言いながら、私とお兄ちゃん(=ワトスンとホームズ)はパパと書斎を隅から隅へと調べた。
ならべく散らかさないように。
書斎に入って、一時間ぐらい経ったが、なかなかそれらしきものは見つからなかった。
「あ〜、ダメだ〜。やっぱ、パパ仕事場に持ってったのかな」
「そうかもな。じゃ、探偵ごっこはこれで終わり」
私とお兄ちゃんはそれぞれ部屋に戻っていった。
宿題を終え、時計を見ると一時になっていた。
そろそろパパとママ帰ってくるだろう……。
私は一階に降りて行った。
それと同時に玄関のドアがあくのが聞こえて、玄関に直行した。
「あ、パパ」
「ただいま」
パパは笑みを浮かべて、私も笑みを浮かべた。
そして二人でリビングに向かい、パパはスーツから部屋着に着替えて、私とお兄ちゃんを呼んで、トランプをした。
そして、ついつい熱中してしまい、時間が経つのを忘れていた。
《〜♪〜♪〜♪》
「あ、ちょっとごめんよ」
パパの携帯の着信音で、我に帰り、時計を見た。
すると、もう四時だった。
あぁ、ずっと三時間も遊んでいたんだ……、と同時に、トランプでここまで遊べるとは驚きということを思いながら、パパと電話相手の会話を聞いていた。
「何だって!?」
突然、パパが突拍子な声を張り上げて、私とお兄ちゃんは肩を震わせた。
この時、私は直感で感じていた。その時はわからなかったけど、今なら分かる。
もう今日以後、パパとママの顔を見ることは無い、と。