二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: コナンと黒の組織の死闘 名探偵コナン File5 up! ( No.13 )
- 日時: 2011/10/27 18:10
- 名前: 未熟な探偵シャロン ◆jtHtMr3tGQ (ID: wzVEqeM3)
File6 最後の日(後編)
書斎のドアがゆっくりと開いた。
私とお兄ちゃんが、ドアに駆け寄る。そこには、絶望の色しか見せない、今まで見たこともないようなパパがいた。
目には涙を浮かべていた。そして、何もない目の前の薄茶色の壁を見つめていた。
「パパ……?」
私は耳元にそう呼びかけた。
しかし、応答はない。
パパの放心状態が覚めるまで、私とお兄ちゃんはずっと黙っていた。
すると、パパは決心がついたのか、目に活気があふれ出した。いつものパパに戻った。
「今すぐ大事なものだけをバックに詰めなさい。多くなってはならない」
私とお兄ちゃんは無言で頷いた。
私は部屋に駆け込み、家族の写真数枚、友達の写真を数枚取り出して、バックにいれた。
そして、家族、友達から貰ったプレゼントもバックにいれた。
すぐに一階におりていくと、すでにお兄ちゃんもいた。
「大雑把な説明は車の中でする。さぁ、早く来なさい」
パパは玄関に向かった。私とお兄ちゃんも後をついていった。
外は暗くなっていて、星が瞬いていた。
だけど、見とれている暇はなく、流れるように車に乗った。
車は大通りに向かった。
私とお兄ちゃんはパパからの話の切り出しを待った。
大通りは結構渋滞していた。
まぁ祝日だから……、そう思った直後。
「パパとママが何かを調べていたのは知ってるよね?」
意を決したのか、パパは突然切り出した。
私は心臓を真正面から握られたように、肩をビクッと震わせた。
多分、お兄ちゃんもそんな感覚だったのに違いない。
お兄ちゃんは私の代わりに、あぁ、とだけ呟いた。
パパは頷いて、続けた。
「さっきパパが電話で驚いたのはそのことに関係するんだ。パパとママ、厳密に言えば、パパの仕事仲間と一緒に調べている。とある組織をね。しかし、この組織の正式な名前は分かっていない。その組織がある理由も、何をしているのかさえも情報はない。だが、これだけは言える……。この組織から逃げ出そうとか、裏切ろうとか思えばすぐに殺されるということだ。その組織には、優秀な殺し屋もいる……」
こんな組織が世界に存在していたとは知らなかった。
そりゃ、世界は広いから、変わった組織はいるだろうなんて思っていたけど、まさか……本当に、漫画みたいなことがあるなんて。
私とお兄ちゃんは言葉を失った。
パパは続けた。
「この組織のことを知っているのは、FBIでもわずかしかいない。パパはなぜ知ってるかというと、自分で言うのはなんだが、パパの情報収集に優れているから、教えられた。そして、有能なママも見込んで、一緒に情報収集をし始めた」
ここで、車は細い道にそれた。
ここは閑静な住宅街だ。
「しかし、パパ達が組織のことを調べているということを、やつらに気づかれた。そして……」
パパはため息をついた。
あぁ、もう大体予想はついた。次に出てくる言葉がなんなのか……。
聞きたくない。でも、もしかしたら……そんな淡い期待を抱いた。
「あ、ここだよ」
パパは、今言おうとしたことを避けるかのように、青い屋根の家を指差した。
「説明はここまでだ」
「ちょっと!最後まで言ってないじゃないか……」
「ここまでだ」
お兄ちゃんが、続きを言うように言ったが、パパはお兄ちゃんの目もあわせず、強引に説明を終わらせた。
お兄ちゃんと私は納得いかなかった。
どうして、言ってくれないの……?
私達がショック受けると思うから、言わなかったの?
もう、ショックなんてずっと受けてたよ。
そんなことを心で言いながら、車は泊まった。
車からおりて、パパは青い屋根の家のインターホンを鳴らした。
中からパタパタと足音が聞こえてくる。
感じからして女性だ。
私の予感は的中して、ドアが開けられるとそこには金髪でショートカットの女性が現れた。
「マイクっ!……子供達には全てを話したの?」
「組織のことまでは」
マイクこと私のパパは、素っ気無い態度で女性に言った。
女性は私達に目をやった。
「さぁ、上がりなさい」
女性は私達を招いた。
多分、仕事の同僚だろう……。でも見たことないな。
そう思いながら、お邪魔しますと呟き、あがった。
すると、パパに呼び止められた。
パパは悲しそうな目で私とお兄ちゃんを見つめていた。
「リサ、アル、来なさい」
私とお兄ちゃんはパパの目の前にきた。
すると、パパは大きな体で私とお兄ちゃんを抱きしめた。
「愛してるよ、二人とも……」
パパは泣きそうなのを必死にこらえている声だった。
私もお兄ちゃんもつられて泣き出しそうになった。
「僕も」
「私もよ」
私とお兄ちゃんは、そう答えた。
パパは私たちを離して、手にずっと持っていた黒いファイルを私達に差し出した。
「これはパパとママ達が調べ上げた奴らの情報だ。ジョディに……後ろの女の人に解説を入れてもらいながら、見なさい。そして、ジョディ」
パパの視線はジョディと呼ばれた女性に向けた。
「この子達を宜しく頼む」
「えぇ……。無事に帰ってこられるよう、願ってるわ」
「無事に……か、そうだな」
パパはかすかに笑った。
どうして笑ったのかは、今でもわからない。
「じゃあな」
パパはそう言って、私とお兄ちゃんに手を振った。
その二日後、ジョディさんの話で、パパは仲間と共に組織に乗り込み、ママを返す様に交渉したが、失敗し、パパとママと三人の仲間が命を落としたという。
私の予感は的中した。