二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: コナンの死闘 名探偵コナン ( No.2 )
日時: 2011/10/09 20:28
名前: 未熟な探偵シャロン ◆jtHtMr3tGQ (ID: cr2RWSVy)

File1 森の中の少女


森林の中を走る、黄色いビートルの中に子供と大人を合わせて六人乗っていた。
すると、後ろの座席に座っていた吉田歩美が立ち上がり、運転手を努めている阿笠博士に話しかけた。


「博士!今日はどこに行くの?」
「今日は、自然豊かで見晴らしもいいし、近くに川もある最高のキャンプ場を見つけたから、そこに行こうと思ってるんじゃよ」
「川だって!」
「うなぎいるかな!いたらうな重にして食いてー!」
「元太君の頭の中はうな重しかないんですね」


無邪気に三人の子供、円谷光彦、小島元太と共に笑った。
その中で、江戸川コナンこと工藤新一はその光景を見て、口元に笑みを浮かべた。


「あら、随分大人みたいなことするのね」
「はぁ?」


茶髪の少女、灰原哀こと宮野志穂は頬杖をかきながらコナンを見た。
哀も口元に笑みを浮かべていた。


「あいつらから見たらオレは大人だろう。ていうか、灰原がそんなこというなんて……実はお婆さんじゃねぇのか?」
「前にも言ったけど、18歳と言ったはずよ」
「嘘くせーなー」
「ふんっ」
「コナン君、哀ちゃん、何話してるの?」
「んぁ?い、いやー、別に」


歩美に話しかけられ、一瞬焦るコナン。
コナンは「なんでもねーよ」とつぶやきながら、窓の外を見た。


「ん?」


森の中に白い物が横たわっていた。
(ゴミか?)
コナンは通り過ぎるまで、その“物”を見つめた。
そして、車がその“物”を通り過ぎたあと、コナンは顔色を変えた。


「どうしたのよ?」


それに気づいた哀はコナンを見つめる。


「博士!車を止めて!」
「え、え?」
「いいから!女の子が倒れてるんだ!」
「何ぃ!?」


博士は急ブレーキをかけた。


「うわぁ!」


シートベルトがなかったら、子供たちは前に投げ出されていただろう。
コナンはシートベルトをとって、ドアを開けて、倒れてる女の子に向かって走り出した。


「こ、これはっ……」


そこには金髪の少女が倒れていた。
どう見ても自分の体の大きさとは異なる、大人用の白衣をまとって、少女はうつ伏せに倒れていた。


「おい、大丈夫か!」
「きゃあ!この子、大丈夫なの!」


コナンが少女をゆすった後、博士たちが駆けつけてきた。
コナンは少女を仰向けにすると、血まみれなことに気づいた。


「みゃ、脈はどうじゃ?」


博士に言われ、コナンは静かに脈を計った。
誰もが死んだと思った。


「い、生きてる!」
「えぇ!」
「ほ、本当ですかぁ!?」
「あ、あぁ。かすかにだが、脈はある!博士、この子を病院に!」
「わ、わかった!」


博士は少女を抱きかかえ、車に乗り込んだ。
コナン達も乗り込んだ。
一向はすぐに山を降りて行った。


「とにかく呼びかけましょう」
「そうね。ねぇ、大丈夫?返事して?」


歩美が声をかけると、少女はかすかにまぶたを動かした。


「なぁ、コナン。この子の血まみれの原因はなんだ?」
「多分、銃で撃たれたんだ」
「じゅ、銃!?」
「何!?じゃあ、ここで殺人でも……!?」
「それはまだわからねぇが、とにかく傷の処置をしよう。歩美ちゃん、救急セットだして」
「うん」


歩美は座席の下に入っている救急セットを取り出した。
コナンが腹部あたりを見るとかすり傷のようなものがあった。
やはり、銃で撃たれたようなあとだ。


「大丈夫かなぁ……」
「多分気を失ってるだけだと思うよ。他に外傷は見当たらない。撃たれたショックで気を失ったんだと」


コナンは黙々と少女の傷の処置にかかった。


「ん?これ何だ?」


元太は少女の着ていた白衣の内ポケットにCDケースがあるのを見て手に取った。


「CDだ」
「え?」


全員(博士を除く)はCDに目がいった。
哀とコナンの目つきが険しくなった。


「ちょっと見せて」
「え?」
「早くっ」
「わ、わかったよ、そんなに怖くいうなよ……」


哀に強く言われ、元太はCDケースを渡した。
哀は注意深く眺めた。コナンも傷の処置を終えて、一緒に眺めた。


「おい、灰原、まさかとは思うけど、この子……」
「その可能性は限りなく100%に近いわ。この白衣」


哀は少女の白衣を触った。


「この白衣は奴らの組織の特注で作ってるやつなの」
「なっ。ってことは……」


哀は頷いた。


「多分、裏切るか何かをして撃たれたんでしょうね……このCDをもって。おそらく、このCDは何らかの情報を持っている」
「じゃなくて、灰原。それもすごいが……コイツ……まさかAPTXを飲んだんじゃないか?子供が組織にいるとは思えない」
「そうね……」
「さっきから何はなしてんだよ、二人とも」
「へ?」


哀とコナンは我に返り、歩美、光彦、元太を見た。


「二人とも、さっきからコソコソしてさぁ……。こっちは気になるんだけど」


元太の顔が面白くない、という顔をした。
光彦も歩美も似たような顔だった。


「あ、あぁ、ちょっとこの子のことで……。いや、何、お前らにはわかんないことだし……」
「わかんないって!同じ小学生じゃないですかぁ!」
「そうだよ!」


光彦と歩美に言い寄られ、コナンはなんとかごまかそうと、必死に考えた。


「ん……うぅ……」
「あ、気が付いた!」


少女は目を開けた。
澄んだ青い瞳が覗く。


「こ、ここは……?どこ……?」
「大丈夫!?」
「ぇ……」


歩美が少女に話しかけた。
少女は歩美に眼を移したとたん、跳ね起きた。


「ここはどこ!?あっ、イツツ……」
「ダメだよ、せっかく手当てしたのに。傷口開いちゃうよ?」
「あの、ここは……?」


少女は不安げに辺りを見渡した。


「博士の車の中!今から病院いくから!」
「病院……?」
「森の中であなたを見つけたんですよ、コナン君が」
「コナン……?あの江戸川コナン!?」


少女は光彦に言い寄った。
光彦は少女の気迫に押され、後ずさりをした。


「あ、ハイ……後ろにいる……」
「コナン君!?」


少女は振り返り、警戒しているコナンを見た。
少女はコナンの頭から足のつまさきまで眺めて、顔に笑顔をいっぱいにした。


「へ?」
「私、コナン君のファンなの!」


少女は、コナンの手を握って元気よく言った。