二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: コナンと黒の組織の死闘 名探偵コナン File9 up! ( No.22 )
日時: 2011/11/11 18:31
名前: 未熟な探偵シャロン ◆jtHtMr3tGQ (ID: QCG7hJgu)

File10 似たもの兄妹


「今日はお兄ちゃんが毛利探偵事務所に来るんだった。新一君も来るでしょ?」
「え?あ、あぁ……」


愛理は梳かした髪をヘアゴムでポニーテールに結びながら、コナンに話しかけた。
愛理は時計を見て、口の端をゆがめた。時計は八時半を指していた。


「お兄ちゃんは一時半頃来るってさ」


髪の毛を結び終わり、テーブルに並べてある朝ごはんに向かった。
スクランブルエッグに生野菜のサラダ。そしてジャムとパンがおいてあった。
愛理は顔を若干しかめた。


「へぇ、博士の家の朝食は洋風なのね……」
「今日はたまたまじゃよ」


博士は麦茶を持ってきて、テーブルに並べた。


「ま、いっか!いっただきまーす!」


愛理は博士と哀が作った朝食にがっつき始めた。
さっきの険しい顔がどこへやら。愛理は顔に満面な笑みを浮かべて、美味しそうに食べ始めた。





「じゃ、博士!ありがとうございました。お礼は十分にします」
「いいんじゃよ、お礼なんて」


博士はにこやかに言った。
愛理は一礼して、コナンと共に歩き出した。
愛理はスタスタと先に歩き出して、コナンは不思議に思った。


「なぁ、愛理。お前、ここに一度来たことあるの?」
「ないけど」
「じゃあ、なんで事務所まで迷わず……?」
「あぁ!私、記憶力いいの!一回見たらすぐに覚えるから!」


愛理は得意そうに喋った。
コナンは小さくそうか、と呟いて愛理のペースにあわせて歩いた。
しかし、愛理のペースは速かった。
気がつけば、コナンと愛理の幅は一メートルというような感じだった。
そして、毛利探偵事務所につくと、コナンは結構息が上がっていた。


「お、おめぇ……歩くのはえーよ」
「あら、そう。そうなら言ってくれればいいのに」


愛理は反省している要素もなく、階段を上った。
コナンはため息をついて、愛理の後を追った。
コナンは事務所のドアを開けて、目の前のソファーに座っていた蘭を見て言った。


「蘭姉ちゃん、ただいまー」
「あ、コナン君!おかえり。あ、愛理ちゃん、こんにちは」
「こんにちは、蘭ちゃん」
「毛利探偵、こんにち……ん?」


愛理はデスクに座っている小五郎に挨拶をしかけたが、言葉を切った。
小五郎は片方の耳にイヤホンをつけていた。顔は興奮してて、右手は拳をつくっている。


「どうしたの?」
「ははー……。競馬だよ、競馬」


コナンは呆れながら、愛理に説明した。


「おっしゃー!いけえー!」


小五郎はデスクに向かって叫んでるように見えた。


「あの、毛利探偵が……。ちょっと幻滅」
「幻滅してもおかしくねーよ。というか、あのおっちゃんをイケてるおっちゃんと思ってるほうがおかしいくらいだよ」
「あ、そうなの」


愛理は苦笑して、ソファーに座った。
すると、蘭がオレンジジュースを出してくれた。


「あ、ありがとう」
「どういたしまして!そういえば、愛理ちゃん。うちに何か用?」
「あ、あのね、今日私宛に人が来るんだ……」
「え、なんでうちに?」
「えっと、その……私まだ日本にきて日が浅くて、家がないの。だから届ける場所を探して、毛利探偵事務所になっちゃったの。ごめんね、勝手にそうしちゃって……」
「別にいいよ」


蘭は優しく微笑みかけた。
愛理はうれしそうに、ありがとう!と言い放った。


「あー!そ、そんなぁ……」


すると、小五郎の悲しげな叫びが事務所内にこだました。
三人は呆れた顔で小五郎を見つめた。小五郎はデスクに突っ伏しって、弱弱しい声で「ビリ……ビリ……あー……」と呟き続けた。
そのとき、事務所のドアが開いた。
全員、ドアに視線を向けた。小五郎はすぐに仕事の姿勢に入った。
ドアに人が現れた途端、全員驚愕した。


「えぇ!?」


そこにはもう一人の毛利探偵が立っていた。
綺麗に整えた髪の毛。鼻の下にあるちょび髭。青いスーツを着こなしたあの毛利探偵が立っていた。
紛れもない毛利探偵が立っているのを見たとき、事務所内は大騒ぎだった。
デスクにいる毛利探偵は椅子から転げ落ち、蘭は驚きのあまり全身の力が抜けて座り込んで、愛理は飲もうと思って口に含んでいたオレンジジュースを噴出し、コナンはそのオレンジジュースをしっかり浴びてしまった。


「あ、そんなに驚かしちゃいました?」


毛利探偵そのものの声で、四人に話しかけた。
小五郎は椅子から落ちたまんまで、蘭は何か言いたげに口を動かしても声が出ず、コナンは小五郎とドアに立っている小五郎を見比べていた。
ただ、愛理は立ち上がって、その毛利探偵に駆け寄った。


「お兄ちゃん!」
「愛理!よかった、お前無事だったんだな」
「うん!ていうか、お兄ちゃんなんでわざわざこんなこと?」
「あぁ。ちょっとしたサプライズだよ」
「もー、お兄ちゃんは!」


愛理と愛理のお兄ちゃん以外の三人は更に混乱した。
コナンは時計を見た。時計は一時半ぴったりだった。


「そうか、愛理のお兄さんか!」
「こ、コイツの兄が何で俺になってるんだよ!?」


小五郎は立ち上がって、自分と瓜二つの自分を眺めた。


「いやぁ、すいません。これは変装ですよ」


愛理の兄、アルフィオは声音も地声に戻り、自分についている小五郎の顔を引き剥がした。
すると、そこには綺麗な金髪に、灰色の目をした美青年が立っていた。


「驚かしてすいません。僕はアルフィオと申します。この、愛理の兄です」
「愛理ちゃんのお兄さん!?」


蘭はふらつく足でなんとか立ち上がった。
コナンは愛理を睨み付けた。
(どこがお前よりしっかりた兄だ。お前と同じような登場しやがって)
(私のこみいった性格は兄譲りなの)
コナンと愛理は目で会話をしていた。お互い、何を言ってるかわかってる感じだ。


「ほら愛理、色々持ってきたぜ」
「ありがとう、お兄ちゃん!」


愛理はアルフィオから紙袋を受け取り、中身を見て満足げに笑みを浮かべた。