二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: ONEPIECE×青の祓魔師 ( No.176 )
- 日時: 2012/02/20 19:46
- 名前: サリー ◆qbNb6Ma0MY (ID: ZjIbjScL)
第十一話「一人の喧嘩は皆の喧嘩」(前編)
明朝。
小鳥が囀り、空へ飛び立って行く。
洗面所では燐が歯磨きをしていた。
“コツコツ…”
誰かが階段を下りてくる。
出雲だ。
「おはよ」
「ぼかぼう(おはよう)」
すると出雲の足が止まった。
はち会ってしまった。
「お…おはよう…」
少し顔の引きつったナミが言った。
そのまま彼女は燐から右へ3つ目の蛇口へ。
出雲は燐から左へ4つ目の蛇口へ。
何故彼女達はそんなに離れているのか、真中にいた燐は頭を混乱させた。
“シュコシュコ”“ジャ——ッ”“ガラガラガラ…ペッ!”
しばらくは歯磨きの作業の音しか聞こえない。
「いい?あんたら」
「「?」」
「昨日あたしが泣いた事は絶対誰にも言わないで」
出雲はものすごく真剣な顔で言った。
「え…?誰が?何を??」
「いいから黙って約束して!!」
「言わねーよ!!」
「…これ!」
少し怒った顔の彼女は燐に向かって畳んだ服を渡した。
「貸してくれて…ありがとう…。
あんたが来てくれなかったら、あたしも朴もどうなっていたか…
—そこは一応感謝してるから…!!」
出雲の頬はまるで林檎のように赤くなっていた。
ナミはこの事で彼女の性格が分かった。
(ツンデレ…?)
「なんだよ、お前いい奴じゃねぇか」
「きっ…汚かったから洗っただけ!!」
「えっ…!!」
「あんた、なに真に受けてんのよ」
◆◆◆
朴はあと2,3日すれば熱が引いて動けるようになるらしい。
結局、彼女は塾をやめる事を決心したらしい。
—そして、事件は《聖書:教典暗唱術》で起こった。
「大半の悪魔は《致死節(ちしせつ)》という死の理…
必ず死に至る言や文節を持っているでごザマース。
詠唱騎士は《致死節》を掌握し、詠唱するプロなんでごザマースよ!」
少し年を取った派手な女の先生は塾生に説明した。
「では宿題に出した“詩篇の三〇篇”を暗唱してもらうでごザマース。
神木さん、お願いするでごザマース」
「はい!」
いつもよりも焦った声を出した出雲は目を閉じて、暗唱を始めた。
「…神よ我汝あがめん汝…我をおこして…我のこと……—忘れました…」
先生は「めずらしい」と驚いた後に勝呂を指名した。
「いや…でもあいつがテストでスーパーいい点数取ったのは薬学の時だろ?」
「“詩篇の三〇篇”はすげぇ長ぇしな」
勝呂は、スゥッ…息を吸って暗唱を始めた。
「“…神よ 我汝あがめん”」
テンポ良く、スラスラと一つも詰まらず“詩篇の三〇篇”が暗唱されていく。
その姿を見た一同はあんぐりと口を開けたり、汗をたっぷりと掻いたりと
様々なバリエーションの驚き方をしていた。
「—“我が神よ 我永遠に汝に感謝せん”」
「「「「……スゲェ—————————ッ!!!!」」」」
「人は見た目に寄らないって本当だったのね」
「やかましわお前ら!!」
◆◆◆
「すごいねぇ勝呂君!びっくりしちゃった」
「いやいや惚れたらあかんえ?」
「惚れるか、クソトサカ」
「なっ…なんやと眉毛!!」
「坊は頭いいと違おて、暗記が得意なんですよね」
「コラ子猫丸…それつまり頭いいゆうことやろ?」
「あ、はい」
「暗記なんてただの付け焼き刃じゃない」
その一言で周りの者たちは一斉に黙った。