二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 鬼灯の冷徹・APH:愛情をたくさんあげる ( No.5 )
日時: 2011/10/22 00:12
名前: 千李 (ID: rCT1hmto)

「ていうか、鬼灯さん、お偉いさんに会わなくて良いんですか?」
 地獄の自販機で買ったオレンジジュースの缶を両手に持ちベンチに腰掛けている少女が鬼灯と呼ばれる青年に向かって声をかけた。


壱:白虎と人間の混血です


「別に問題ありません、地獄の場所についての説明が大事ですからね」
「鬼灯様らしいやぁ、でも地獄ってやっぱり広いよねぇ」
 黒髪のショートカットに一本の角が額に生えた鬼神の鬼灯、あの有名な閻魔大王の第一補佐官でもある、そしてあの有名なお連れの一人である犬のシロ。
 そして最後に黒髪み右目だけは銀色の瞳を持った少女、地獄にあまりそぐわない薄い水色の中華服と和服が混じったような少し変わった形をして足袋と厚底下駄を履いている少女、朗李がいた。
 朗李の髪には、髪を一掴みだけ前の方に残して後ろの方を変わった飾りがついた髪留めで留めている。
シロの声に対して、鬼灯は果肉入りブドウジュースの中を弄りながら。
「“あの世”には天国と地獄がありますが……その範囲は地獄の方が圧倒的に広いのです」
「まあ、見れば明らかに桃源郷と比べれば広いですよね」
 朗李が頬をかきながら言った、元々朗李は四大神獣の一つと呼ばれている“白虎”と人間のハーフであるため元々は桃源郷にいたのだが、ある日を境に地獄へと就職をした。
「もともと日本は“この世とあの世”の二世界でした、しかしある時、当時“黄泉”と呼ばれていたあの世が亡者で混乱しすぎて八百万の神々が大会議を行った結果、現在のように現世・天国・地獄と現質三世界へ分けられたんです」
「あっ、○○駅だ出口総数いくつだよFFのダンジョンより訳わからん」
 どこからか映された画像を見てシロはポツリと言った。
「はいはい、地獄の構造はインドや中国等様々な国を参考に建築されました、それ故日本のあの世は複雑なのです、しかしまぁ地獄は天国と比べると、地獄はかなり広いです」
「確かに、広いですよねぇ……どうしてなんですか?」
「何で死後の評判が長いですからね、多くの留置場も必要ですし更に刑を服すとなればとてつもない場所を取るのです、その裁判も十人の王がじっくり審判をします、その中に閻魔大王も入っているのですよ」
「へぇー……エンさんって偉いんだね」
「うむぅ……大体は分かりましたが閻魔大王って人が気になりますねぇ」
 缶に口をつけてジュースを飲み終えてから朗李はゆっくり言った、すると鬼灯が何かを言いかけた瞬間に後ろから凄い巨漢な人物が出て来た。
「あ、鬼灯くんだー、君も休憩? ジュースなんか飲んじゃって、何々誰かの噂話? ってあれ」
 その姿が朗李が目を見開いて見つめているといきなりその巨漢な人物が朗李の姿に気付いたのかこちらに近付いて来て笑顔を見せた。
「あ、君が新入社員の朗李ちゃん?」
「あ、はい、そうです……」
「あ、紹介が遅れましたね、こちら……」
「へぇ、可愛いねぇー、ワシの孫にそっくりだよ」
「孫がいるんですかぁ……」
「閻魔大王きちんと挨拶を……」
「さすがは桃源郷にいただけ、衣装も清楚な感じだねぇ」
「まあ、清楚でいろって言われてますから」
「大王……」
 次々と鬼灯が言いかけていく言葉を上手い具合に掻き消していく閻魔大王、しかし鬼灯のオーラが次第に黒くなっていき金棒がドンッ、と音を立てた。
「あぁ、君って桃源郷にいるって事は何かの神獣とかな--------」
 その瞬間にゴッという鈍い音が響いた、閻魔大王が鬼灯の金棒によって殴られた音だった、その瞬間に閻魔大王は地面に這い蹲っている、それに対して朗李はただ絶句している。
「朗李、この方が天下の閻魔大王ですよ」
「よ、宜しく、ワシが閻魔じゃそして彼はワシの腹心のはずです」
 大きな瘤を作って体を震えさせながら閻魔大王は言った、それに対して朗李は目線を合わせて「げ、元気ですか……?」と言うと「今あんまり……」と閻魔大王は言った。
「閻魔大王、こちら桃源郷から派遣されて来た朗李です」
「初めまして、朗李と言います」
「宜しくー、って朗李ちゃんの右目珍しいね」
 閻魔大王はすかさずそう聞いた、誰もが必ずと言って良い程聞くと思う、白虎の色と言われている白と似た銀色の瞳を朗李は右目に持っている。
 閻魔大王の質問を聞いた朗李はニコッと笑って答えを言った。
「まあ、半分“白虎”の血が混じっていますからね」
「え、“白虎”って、あの四神の?」
 閻魔大王が聞き返すと同時に鬼灯がジュースをゴミ箱に捨てた後に。
「“白虎”とは元々中国に伝統する四神の一つで西を守護する聖獣で、白い虎の姿をしているのです江戸時代中期の図鑑『和漢三才図会』では虎が500才になると白虎になると言う説もありますね、白は五行思想で西の他、土も表すため土の精でもあると言われるんですよ。対応するのは、色では白、季節では秋、白秋、五行では金、方位では西、臓器では肺、食べ物では辛いもの、環境では大きな道とも言われています」
「さすが鬼灯様、良く分かっておられますね」
 朗李がニコッと笑って言った、鬼灯も無表情で頷く、閻魔大王はただ只管関心するだけだった、シロも同じように感動している。
「だから朗李様の右目は白に近い銀なんだね」
「そうだね、確かに片方の親が“白虎”だから白に近い銀色を右目に受け継いだのかも知れない」
「オッドアイ、とも言われているんですよね、そういう瞳は、綺麗で良いと思いますよ」
 鬼灯の褒め言葉に対して朗李はさらに笑顔を浮かべて言った、それにシロ達も心なしかうれしそうだった、閻魔大王なんか「鬼灯が人を褒めた……」と言いながら怯えている。
「さて、そろそろ仕事に戻りますか、ていうか、貴方がここで油を売っていてはダメでしょう」
「だって疲れるんだもん……勤続云千年だしさ」
「かくいう私もこうしている場合ではありませんがね」
 右手で拳を作って額を軽く小突く行動をした瞬間に朗李とシロが「わぁ大の男のお茶目ポーズだ」と声を揃えて言った。
「さぁ、仕事に戻りますか朗李。まずは桃源郷へ行きますよ」
「桃太郎さんとかが働いて暫く経つんですよねー、私もつい最近ここに来たばかりと思われますけど、大分時間が経つんですよね」
 桃太郎が桃源郷へ来てその数日後に朗李が地獄へと就職した、それから結構時間が経っていると思われているが、案外そこまでは経っていないと思われる。
 鬼灯、朗李、シロ達は桃源郷へと向かうべく仕事場へと戻って行った。


続く