二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: APH:愛情をたくさんあげる ( No.2 )
- 日時: 2011/10/18 23:41
- 名前: 千李 (ID: rCT1hmto)
第一話
「ルートー!」
訓練をしていたらいきなりフェリシアーノに名前を呼ばれた、何事かと思って振り向いてみたらフェリシアーノが何かを抱えてこちらに向かって来ている。
「どうしたんだ? フェリシアーノ」
銃器を置いてフェリシアーノに問うてみるとフェリシアーノは物凄く幸せそうな顔をして両腕に大事に抱えている者を俺に見せてきた。
「………………!」
驚いた、ただその一言だけだった、柔らかいシルク地っぽい布に巻かれて、寝息を立てている赤ん坊がいた、髪はフェリシアーノと、その兄のロマーノの焦げ茶色と茶色が混ざったような色で顔立ちは白っぽい、兄弟と同じようなアホ毛が俺から見て右下に、フェリシアーノの奴が下の方にある感じだった、空色のおしゃぶりを銜えて安心しているのか嬉しそうに眠っていた。
「この赤ん坊、どうしたんだ?」
今まで以上に間抜けな表情を俺はしているだろう、だけどそれには一切触れないでフェリシアーノは満面の笑みを浮かべて口を動かした。
「俺と兄ちゃんに妹が出来たんだ!」
「そう、なのか……?」
南部に住んでいるこいつの兄と北部に住んでいるこいつ、そして、中部で新しく国が出来たため、こいつ等に妹が出来たらしい。
どんな国だ、と聞いてみると「サンマリノ」と答えた、農業や牧畜が出来る、と噂で聞いた事がある。
「でも、まだ出来たばかりだからさ、暫くは俺と兄ちゃんで食べ物とか送って、文化とか伝えて、この子を大きくしていこうと思うんだ」
今まで以上にないこいつの真剣な表情に俺は一瞬驚いた、ここまで真剣な顔なんて見た事が無かったからだ。
確かに兄が二人居て住んでいるところも違うから文化や食生活が伝わるのは早いかも知れない、すぐに成長をして貿易とかも始まるかも知れないな、何て言ってみると、そうだね、ってあどけない顔でこいつは言った、だけど、こいつ等だけに任せるのは何かと不安だった。
「俺も、協力しよう」
「本当? 嬉しいなー、あ、でも芋ばかり送らないでね? サエリが芋人間になっちゃうから」
「サエリ?」
いきなり人名が出て来て俺は形振り構わずその名前を聞き返した、するとフェリシアーノは。
「いやだなぁ、ドイツ。この子の名前だよ、サエリ・ヴァルガス! 良い名前でしょ? 兄ちゃんと考えたんだ」
「そうか、サエリと言うのか、宜しくな。サエリ」
俺はふっと軽い笑みを浮かべて寝息を立てているサエリの小さなちいさな手に触れた。
するとその小さな掌がパッと開いて俺の人差し指をぎゅっと掴んだ。
「サエリも、宜しくだって! 菊にもあとで紹介しよう!」
フェリシアーノが嬉しそうに言ったので俺も大きな笑みが零れてしまった。
「兄ちゃん所はお金がないから育てられないんだ、だから……」
「分かっている、俺達の家で育てれば良いだろう、連合の奴等も、紹介したくは無いが紹介すれば協力してくれるだろう」
“連合”という言葉を口に出せば、一瞬怪訝そうな顔をしたが俺が、たくさんの奴を関わりを持てば大きな国になるだろう?、と言えば不服そうだがこっくりと頷いた。
菊たちの所へ行こうとしたが、いきなりサエリが目を覚ました、目は兄達と同じ茶色っぽい大きな瞳をしていた、俺と目が合った、寝起きなのか、ただたんに俺の顔が怖いのか分からないがサエリは大きな目に涙をいっぱい溜めて嗚咽をし出した。
「あ、やばい……!」
とフェリシアーノが言った時には遅かった、サエリはそのままおしゃぶりを落として大きな声で鳴き始めてしまった。
「うわああああああん! あああああん!」
「あ、あああああああああ! サ、サエリ! 泣かないでぇ!」
「ど、どうすれば良いんだ!」
ばたばたと両手をばたつかせてサエリは大泣きをした、でも泣き声は元気で健康そうだった、だが今はそんな事を考えている場合では無い。
サエリを抱えておどおどしているフェリシアーノ、下手をすると落としてしまいそうで、俺はそのまま泣き声をあげているサエリを抱えて上下左右にゆっくり揺れた、そしてそのまま小さな体をぽんぽんと叩いた。
すると安心したのか、サエリの泣き声は小さくなり、次第に泣き止んだ。
「な、泣き止んだか……」
「ルート、凄いね……」
ここから先、どうなるのだろう、と俺はそんな事を考えながら重い溜息を零した。
【妹が出来ました】
(とりあえず、他の奴等にサエリを紹介しておくか)
(ヴェー、サエリ泣かないかなぁ)
(大丈夫だろう、きっと)
続く