第零話 [差し伸べた手には何かがある]ただただ歩いて十分程、私は雨の中、一人で立ち尽くしていた。何も考えずに、ただ時間が過ぎていく。空は灰色の雲ばかりだ。私には、家族がいなかった。誰一人、私を視界に入れなかった。ずっと一人だった。友達さえもいなくて、寂しかった。そんな時、誰かが手を差し伸べてくれた。嬉しかった。