二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: イナズマイレブン〜心に灯る星〜【世界で輝く星】 ( No.241 )
日時: 2012/05/06 17:15
名前: 夜桜 (ID: KY1ouKtv)

 三十四話「足音」

先制点はジ・エンパイヤ

「ジ・エンパイヤがここまで攻撃力のあったチームだったなんて」
春奈が言う
「考えてみたら当然よね」
秋が静かに言う
「そう。ジ・エンパイヤが勝ち上がってきた南米ブロックはFFIの中でも強豪ぞろい」
かがりが言う
「そこを、守備だけで突破する事はまず不可能」
「守りが凄すぎて攻めがクローズアップされなかったって事ですね」
目金の言葉にかがりは頷く

「…それに、きっとあいつ等はまだ本気を出していない。遊んでいる」



攻めようとしてみても攻めきれない攻防が続く

むしろ、ジ・エンパイヤの猛然一方

「これじゃ…ボールに触る事さえ難しいじゃない」



あっという間にゴール前
「(未完成だけど…ここはマオウ・ザ・ハンドに賭けるしかない!)」

「ヘルファイア!」
「魔王・ザ・ハンド!うわぁぁあ!!」
ボールが立向居ごとゴールに突き刺さる
「だめだ…出来ない」

「不味いわね。このままじゃ…誰かこの空気をどうにか」
かがりが呟く


「(なんでだ。感じは掴めているのに…まだパワーが足りないのか)」

豪炎寺がボールを奪われる
「まずいっ!ここでFWに繋がれたらっ」
風丸が走る

風丸がボールを外へと出し危機を脱する

「…風丸?」
風丸は足を抑えている
「大したことないといいんだけど…」
「ゆうり。準備」
「は、はいっ!」

「…プレーは無理です!許可できません」
ゆうりが言う
「分かったわ。栗松」
「あぁ。後は頼んだぞ…栗松」
かがり、風丸が栗松を見る
「俺でやんすか?」
「アンタしかいないでしょ」
かがりが言う

「はいっ!」
栗松が返事をする
そして、キャプテンマークは風丸からヒロトへ渡る

始まって早々、ボールがジ・エンパイヤに渡る

「止めろ、立向居!」

「(どうすればいいんだ。ムゲン・ザ・ハンドじゃ止められない。魔王・ザ・ハンドをして…)」

「(失敗したら…)」

「怖がってんのかっ!!」
飛鷹が叫ぶ
「失敗したっていい!お前の全部をぶつけるんだ!!!」

「(失敗したっていい…俺の全部を、ぶつける)」
「そうよ!失敗したっていいの!むしろ失敗しない人間の方がクズよ!!!」
かがりが叫ぶ

「俺の…全部」
立向居が顔を上げる

「ヘルファイア!」
「これが、俺の全部だ!!魔王・ザ・ハンド!!!!」

「止まった。止めた!!」
立向居が魔王ザ・ハンドを完成させヘルファイアを止めた

「そう…失敗する事を恐れて力を逆に出ずにいた。失敗してもいい、その言葉で立向居の中の恐怖が消えた」
かがりが楽しそうに言う
「そういう事…ですか。枷がはずれたって感じですね」
ゆうりが言う


前半終了


「飛鷹さん!ありがとうございました!!」
「キャプテンなら、そう言うと思っただけだ」

ベンチに戻ってきた立向居は
「かがりさんもありがとうございました」
「別に。あたしは何もしてない…やったのは、アンタが頑張ったから」

「失敗を知っている人間は強くなれるの。失敗を知らない人間は…恐怖を知らないから、弱いままなのよ」
かがりは独り言の様に言う


後半開始

ジ・エンパイヤはいきなりイナズマジャパンにボールを渡す様に蹴る
「何を考えている」

「さぁ、何処からでもかかってきな」
テレスは言う

豪炎寺が攻め込むが豪炎寺を囲む様にジ・エンパイヤが着く


囲まれた豪炎寺の足元は蟻地獄のようになっていた
「アンデスのありじごく…こいつ等の必殺テクティクスか」

「虎丸!…ヒロト!」
2人ともマークがついておりパスが出せない
豪炎寺はそのままドリブルで上がるが思うようにいかない

「…不味いわね。パスが出せない」

アンデスのありじごくを向けた先はテレス
「爆熱スクリュー!」
「アイアンウォール!」

「…誘い込まれてる。テレスの正面へと」
かがりが機嫌の悪い声で言う

続いて染岡、虎丸が攻めるがどれもテレスの真正面

「(これじゃ何度やってもテレスに止められるだけだ…君ならどうする。鬼道君)」

「俺たち、このまま負けちまうんっすかね」
壁山が静かに言う

「(こんな時…円堂君がいてくれたら)」
秋が静かにフィールドを見つめる

攻め続けるがジ・エンパイヤの防御が崩せない


「(こうなっている原因は分かってる。参謀の鬼道が作戦を立て、円堂が精神的に皆を支えたから
 だけど…そのせいで無意識に2人を頼っていた。そのせいで今の現状が生まれている…)」


「やっぱり、無理だったんですよ。監督もキャプテンもなしで」
目金が言う
それを聞き冬花は目金、そして沈んでいる秋、春奈、ゆうり、選手たちを見る



「(この現状をどうにかする手段がないワケじゃない…だけど。それをしたとき…全員無事でいられる?
 失敗すれば、チームを離れないといけないかもしれない…情けない。自分から監督代理を名乗っておきながらっ!)」



「(せめて…この空気を誰かが変えてくれれば…しっかりしろ!あたし…
 あたしがしないといけないことははっきりしてるんだからっ)」

かがりが顔を上げると同時に冬花が走っていた

「冬花っ…?!足、音?」


遠くからよく響く足音が段々と近づいてきていた
















「いい加減にしなさいっ!!!!」