二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: イナズマイレブン〜心に灯る星〜【世界で輝く星】 ( No.243 )
- 日時: 2012/05/06 20:05
- 名前: 夜桜 (ID: KY1ouKtv)
三十五「敗北」
突如響く高い声
誰もがその方向を見た
「…そら」
かがりが目を見開いてその名を言う
そらは荒い息を整えながらフィールドへと近づいて行った
そらの姿を見て足を止めていた冬花の手をとって
「いい加減にしなさい!」
そらがもう1度言う
「まだ、試合は終わってないのよ!」
「でも…あのディフェンスが崩せないんじゃ」
そらの言葉に木暮が沈んだ声で答える
「だから、何?」
「何があっても諦めない。それがイナズマジャパンのサッカーじゃなかったのっ?!」
「そうです。イナズマジャパンのサッカーは諦めないものじゃなかったんですか?!」
そらの言葉に冬花が頷き言う
2人の言葉に全員が顔を上げた
「だから、予選大会に勝ててナイツオブクイーンにも勝てたんじゃなかったんですかっ」
秋、春奈が頷き2人の隣へと行く
「アンタたちは、ここに来れなかった人たちの思いと一緒にここにいる!
それなのにこんなところで諦めるなんて絶対にダメ!」
かがりは叫ぶ
「お願いだから、立ち上がって」
「もう1度、戦って」
冬花、そらが言う
「そうです!そらさんたちの言うとおりです」
「やりましょう!イナズマジャパンのサッカーを!」
春奈、秋が言う
「…円堂君がいないから?鬼道君がいないから?そんなの言い訳にならないから!!」
そらは続ける
「私たちは私たちのサッカーをすればいいの!誰に劣るとか、何に負けるとか…そんなの関係ない」
「私たちらしく…諦めない。イナズマジャパンのサッカーをすればいいの」
そらは晴れやかに言う
「何があっても諦めない」
「だからここまで勝ってこれた」
「俺たちの、サッカーを」
ディフェンス群が頷き
「ヒロトさん!俺たちに任せてほしいでやんす」
栗松が言う
「要するにあのテレスが止めてない所からシュートを打てばいいんだろ」
木暮が言う
「豪炎寺さんたちはそこで待っててください。そこまで俺たちが持っていくっすから」
壁山が言う
「持っていくってな、アレはそんなに簡単に敗れる必殺タクティクスじゃねぇんだぞ。それにお前たちがいなくなったら」
「大丈夫です!ゴールは俺が守ります」
「ヒロト!」
かがりが声をかける
「その作戦しか、今はないの。今のこいつ等なら、きっと出来る…!」
「分かった。その作戦で行こう。立向居君、ゴールは任せたぞ」
「はい!」
木暮がボールをキープしながら上がる
「お前らなんかにとられるかよ!」
「真ん中に寄ってるっす!」
「もっと右でやんす!」
仲間からの指示を受け木暮はドリブルを続ける
空きスペースを見つけそこに行こうとすると
「甘いんだよ!」
「くっ!壁山ぁ!!」
バランスを崩されるがそれでもパスを出すことに成功する
「絶対に持っていくっす!豪炎寺さんたちのところへ!!」
囲まれるも
「渡さないっす!栗松!!」
栗松へパスが渡る
テレスの顔がかすかに歪む
「負けないでやんす!」
栗松がアンデスのありじごくにはまりながらもドリブルを続ける
「右でやんす!右に行くでやんす!!」
「真ん中に寄ってるぞ!」
苦しそうに栗松が言う
「もらった!」
ボールを奪われるが
「繋ぐでやんす!!豪炎寺さん!」
栗松がへリングで豪炎寺にパスを出す
無理やりへデングをし、着地をするときに足から鈍い音がする
「豪炎寺君!虎丸君!新必殺技だ!」
「グランドファイア!」
テレスが止めようと前に行くも間に合わず
「ミリオンハンズ!グアァァァア!」
点が入る
「やった!」
「しかも…無失点を誇るジ・エンパイヤから」
そらとかがりが言う
「必殺タクティクスさえ破ればこっちのもの!勝てるぞこの試合!」
風丸が言う
「…!これって」
ゆうりが小さく声を上げる
「一気に逆転だぞ!!」
チーム全体の意思が向上した時
“ピッピー”という音が響く
「試合…終了です」
ゆうりが震えながら言う
「勝て、なかった」
「…それでもきっとこの敗北はイナズマジャパンが前に進むための糧になるはず」
*
試合が終わり夕方
宿谷の前でメンバーを沈んだ顔をしていた
帰ってきた円堂たちを前に
「すまない。円堂…勝てなくて」
豪炎寺が言う
「みんな…元気だせよ。まだ決勝トーナメントに出れないときまったワケじゃないんだからさ!」
「たしかに今回は負けたけど、残りの試合全勝すれば…可能性は残ってる」
かがりが言う
「そっと…全勝すれば、まだ」
皆の顔が少し明るくなる
「みんな、凄かったぜ!」
「…そらさんや冬花さんのおかげっす」
「え?そらと冬っぺの?」
「2人が思い出させてくれたっす。諦めない事を」
「よーし!残りの試合、全勝目指してまた明日から練習だ!」
『おー!!』
円堂の言葉に皆が頷く
*
「正直、助かったわ」
かがりが小さな声が言う
「ん?」
「そらが来てくれなかったら…あたしは、何もできなかった」
かがりの顔を覗き込みながらそらは笑う
「そんなことない。私はかがりが居てくれて助かったよ」
「かがりはちゃんとやったよ。私なんて、間に合うかは“賭け”だった」
「それに、この負けは次へ進むために必要なものだった…でしょ?」
「…その通りね」
1人になったそらは星空の下
「影山に今回はやられた…でも次はそうはいかない。絶対に、次は------------------向き合ってみせる」