二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: イナズマイレブン〜心に灯る星〜【世界で輝く星】 ( No.266 )
- 日時: 2012/07/27 12:55
- 名前: 夜桜 (ID: KY1ouKtv)
四十四話「イタリア戦」
静まり返る部屋
物音は聞こえず無音
少女は呟く
「…明日、か。どうすれば、貴方の声を聴けるの」
*
「…あの子は来たみたいよ」
かがりが小さな声で言う
「そう。わかったわ」
試合直前、そらは笑わなかった
かがりはそんなそらを横目で見ながらため息をつく
「なんで、みんなそんな顔に出るのよ」
呆れた口調である
試合開始すぐフィディオは“カテナチオカウンター”をしようとするが、誰もその指示には従わなかった
イナズマジャパンは攻めるもギリギリでFWに繋げない
そこで動くは吹雪
マークのついていない吹雪は一気に駆け上がる
それを止めようと豪炎寺のマークが外れた
「今だ!豪炎寺君!!」
「「クロス・ファイア!」」
「任せろっ!ぐあああぁ!」
シュートが決まる
「先制点。イタリア、調子悪いわね」
かがりが冷静に言う
「そういえば、さっきからフィディオ君の指示、聞いてませんね」
ゆうりが付け足すように言う
「えぇ。おそらく、好きに動くつもりよ。フィディオも無視して」
「そんな…!」
「影山。その状態はアンタが望んだものじゃないだろうに。何を考えてるの」
そらの静かな声が微かに響いた
「(どういうことだ。1人で突っ込んでくるとは…チームとしての意志を感じない
フィディオも機能していない!バラバラということか?チームもフィディオも影山も!!ならばっ)」
「豪炎寺!染岡!左右からブレスをかけろ!佐久間と風丸は俺に続け!!」
鬼道が指示を出す
「抜いて見せる!」
ブレスをかける染岡を抜くがその後ろには佐久間がいた
「よし!」
佐久間がボールを奪い上がる
「しまった!皆!ディフェンスラインを下げろ!」
フィディオが指示を出す
「ん?ジャンルカ!なにしてるんだ!」
アンジェロが聞く
「守ってばかりで勝てるかよ!ボールを奪う!」
「でもフィディオはディフェンスを下げろって」
「ミスターKを信じる奴の指示なんか聞けるかよ!!」
ジャンルカが攻めると佐久間はすぐに鬼道にパスを出し3人を抜きまたボールは佐久間へ
「豪炎寺!」
ノーマークの豪炎寺にパス
だが、前線から下がってきていたフィディオがクリア
「危なかったな!ブラージ」
笑いかけるフィディオに応える者はいなかった
「バカみたい」
冷たい声はよく響いた
その声の主はイナズマジャパンのベンチにいた
「そらちゃん?」
ゆうりが心配そうにそらを見る
「勝てる試合も勝てない。そんなイタリアと戦いたかったわけじゃないのだけど」
挑発的に聞こえる言葉
「みんな!今のイタリアになら余裕で勝てる!だって、チームプレー出来てないもの」
そらは言い切る
「…みんな、聞いてくれ。俺たちのプレーをすれば悔いの残らない試合になる。だが、
それでは今のイナズマジャパンには勝てない。でもミスターKのあの人のサッカーなら
カテナチオカウンターを完成させることが出来れば必ず勝てる。そのためにはみんなの力が必要なんだ!」
「どうしてそこまでアイツに肩入れする?!」
「そうだ!アイツがしたことを忘れたのかっ?!」
「忘れてなどいない!あの人は自分の犯した罪を償うべきだと思っている。
だがあの人の考えているサッカーは俺たちを次の次元に導いてくれるかもしれない。そんな予感がするんだ
そして、ミスターKが考えた必殺タクティクス。あれを完成させるには俺たちにもっと高度なプレーが要求される
すべてがそろったとき、カテナチオカウンター、究極サッカーが姿を現すはずなんだ」
フィディオは言う
「俺は、それが見てみたい」
「…わかってるじゃん。意味」
かがりが意外そうな顔をして呟く
「それを理解できないチームが悪いってことでいいかな?」
「いいんじゃないの?」
そらとかがりが言う
「頼む!我儘だと分かっている。でも5分だけ俺にくれ!イナズマジャパンに勝つために
そして世界の頂点に立つために」
ブラージは笑う
「フィディオ。スローインだ。ディフェンスの指示を…お前に頭を下げられて断れるはずがない
お前は俺たちのキャプテンなんだからな。5分だ、5分はお前を信じる。いいな。みんな!」
「かみ合ったわね。気、抜くな!イタリアは…さっきまでとは違うわ」
かがりが伝える
「だめだ。ボールに気を取られすぎだ。もっとピッチ全体を見渡さなければ」
「かみ合っていない動き。だけど…いつそれがかみ合うか」
「時間の問題ですね」
「(後、少し!後少しなんだ!!)」
フィディオが前に出る
そして鬼道からボールを奪おうとする
「っ!(何だ。この動きは)」
「あれは…影山東吾のプレー。やめろ!私からすべてを奪ったあの男のプレーなどっ!!」
「いいえ!やめません!貴方の求めていたサッカーは貴方の父。影山東吾が中心に来ることで完成するのですから」
フィディオが言い終わる頃、鬼道は囲まれていた
「何ッ?!一瞬で」
困惑する
「これが、ミスターKの目指したサッカー!」
「あれは…影山東吾のサッカー」
フィディオが奪ったボールを前へ大きく蹴る
「一瞬で、攻撃に。やるわね」
「あれが、カテナチオカウンターの正体」
「フリーズ・ショット!!」
「止めてみせる…!!!!」
シュートは決まり同点になる
「フィディオ!分かったよ!!」
「これが、俺たちのサッカーなんだな?」
「いいや。違う。俺たちの監督が目指したサッカーだ」
フィディオは影山へ走る
他メンバーを後を追う
「監督!見てくれましたか?」
「ああ」
「この勢いを攻撃に繋げるべきです」
フィディオが言う
「…お前たちのサッカーをしろ。」
そういうと影山は順番に指示を出す
「私も久々に本当のサッカーをしたくなった」
「ミスターK」
「影山だ。影山零士。それが私の名だ」
「行け!そして必ず勝て!!」
「はい、影山監督!!!」
皆の声が揃った
「影山が、笑っている…」
そらは小さく呟く
--- 私も…けじめはつける! ---