二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: イナズマイレブン〜心に灯る星〜【世界で輝く星】 ( No.272 )
日時: 2012/07/31 10:32
名前: 夜桜 (ID: KY1ouKtv)

 四十七話「浅野レナ」

強く響いた言葉

それを聞いた影山は立ち止まり振り返る

サングラスで見えないはずの表情は凄く驚いているものに見える


「…レナ?」
小さく呟かれた言葉

それを聞くとそらは小さく笑みを浮かべ一通の手紙を取り出す
それを祈るようにもち言葉を紡ぎだす



「『もし、この手紙を読んでいる人がいるのなら祈ってください。苦しんでいる1人の少年のために』」


影山の中で声が響く


『ん?で、どうしたいの?お兄さんは何がしたいの?』
あどけない少女の純粋な質問


『だって、影山さんは苦しんでるから“苦しい”って思えてるから…
 だから、私はその助けになりたい』
柔らかい笑みを浮かべそう言った女性




「『影山さん。苦しんでいるのはあの頃から変わっていないのですね
 小さな私の声に耳を傾けてくれたのは貴方だけでした』」
そらは目を瞑り静かに紡ぐ

「『影山さんは、もう知っていますが、私には娘がいます。これがもうわかりますよね?
 私は結婚しています…でもだからこそ、ここに書けます
 一生、このことを貴方に伝えることはないでしょう。

 私の初恋は、影山さんでした。今はもう想う人がいます。ですが、私の初恋は貴方との出会いでした』」

甦る記憶

小さな手を差し出した少女
光を与えた女性


「『あの頃の私は、貴方と話している時間が大好きでした』」


もう警察がきても可笑しくない
それでも、今そらが語れているのはかがりが足止めをしているから


「『貴方にこの事を伝えないのは私の最後の我儘です

 人の苦しみを代わることはできないけれど、その苦しみを分かち合うことはできる
 私は…貴方の苦しみを少しでもいいから分かりたかった。一緒に背負いたかった…

 私は誰かを“幸せ”にする人になりたかった。そう思わせてくれたのは貴方。
 貴方と出会ったから、そう思えるようになった
 貴方は私を幸せにしてくれたから。楽しさを嬉しさを…沢山のモノを私にくれたから

 私は、死んだら空に行きたい。ずっとずっと高いところから祈るの。
 貴方の苦しみが消える事を。
 貴方の痛みが癒える事を。
 貴方にも光が指す事を。』」


そらは目を開き大粒の沢山の涙を流し優しげな笑みを浮かべ言う


「『影山さんが笑う事を…私はずっと高い場所から、祈り、願い続ける』」




それを聞き終えた影山は話す


「あの時、君を足止めしたのはそれがレナの頼みだったからだ『苦しんでいる姿を見られたくない』と」

そらの中でひとつの疑問が晴れた

「レナは当時の私にとって、救いだった。光だった
 レナのおかげで“罪悪感”から“恐怖”から、間違っても立っていられた」

そらは影山をただ見た

浅野レナならこの時、どう応えるのだろう


「今日、こうしていられるのもレナの言葉のおかげだ…
 再開した日に言われた」

『間違っていると思えるなら、やり直せる』

「そして、あの日も言われた…」

『影山さんの光は消えてない。隠れてるだけ。閉じこもっているだけ』

影山は思い出す。浅野レナの言葉を光を


「そうなれるまで、照明するまで14年も掛かってしまったが…」


影山の表情はどこか晴々としている様だった


そらは歩き出した

そして影山のすぐ前まで進むとそらは涙を流したまま言う


「貴方の光は今また灯った。人の光は消えないから、小さくなったり、閉じこもる事もあるけど
 それでも、貴方の光は今また輝き始めた」


そらは今できる精一杯の笑みを浮かべる




警察の人が流れ込んでくる
顔を出したかがりが謝る様に手を添えていた
それを見たそらは首を横に振り『大丈夫』と言うように笑った


「ミスターK!いや、影山零時」
影山はそのまま連れて行かれた
だが、1度止まり言う
「この言葉を私が口にすることなどないと思っていたが…ありがとう。フィディオそして鬼道
 それから…そら。君とレナにも感謝している」




「何処、行くのー!ルシェ、話したいこといっぱいあるんだけど!!」
「また手紙出すよ」


そしてその時、影山を見たのが最後だった



翌日、場に似つかわない声で喜ぶ声がした
「わーい!プレゼント!!なんだろう〜」
ルシェが言う

「これ、おじさんからなんだよねー!」
「うん」
ルカが頷く

「手術が成功したお祝いに、と用意していたらしい」
ヒデが言う
「おじさんにお礼の手紙書こーと!次会えるのいつかなぁ。サッカーのこともいっぱい教えてもらうんだ」
楽しそうにルシェが言う
そらは眉を下げるが笑みを浮かべ見る

「ん?おじさんからの手紙だぁ!!」
「えっ?」


ルシェに向けられて書かれた手紙には影山自身がサッカーを愛したという言葉があった





その夜
そらは部屋から出てこなかった

「お母様が…最初に、そして最後まで愛した人」

窓から見る夜空


「けじめ、つけるはずだったのに…後味悪。影山、さん。貴方は空でお母様に逢えましたか?」
応えは返ってこない
それを知っていても問いは空に投げかける


「そこから遠い地ですが、ここから祈り、願います。影山さんが、お母様が笑ってくれることを…」
淡い笑顔がそこにはあった