二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: イナズマイレブン〜心に灯る星〜【世界で輝く星】 ( No.294 )
日時: 2013/12/13 20:50
名前: 夜桜 (ID: KY1ouKtv)

 五十五話「ザ・キングダムの闇」

テレビから流れる試合光景

「…次の試合相手は決まり。ザ・キングダム」
「この必殺タクティクス。今までの試合相手に比べると完成度高い」
かがり、舞衣香が言う

「ザ・キングダムか。わくわくするぜ!」





「…あ」
声が漏れる
「かがり?どうかしたの」
突如漏れた声にそらが反応する
「あれ」
まっすぐ伸ばされ、指差された方向にはある人物がいた
「あれ。ザ・キングダムの」
「マック・ロニージョ」
「…私、ちょっと行ってくるね!」
そらが走り去っていく
「…はぁ。面倒事増やさないでよ。ただでさえ、ザ・キングダムの監督はアイツだっていうのに」







「土方君!」
海辺でそらは土方に駆け寄る
「あれ?ロニージョは?一緒じゃなかったの」
「ロニージョは円堂に大事な話があるって言って…今帰って行った」
「そう。大事な話って…?」

「円堂!ロニージョ、なんだって」
「実は…」



「何、それ。ふざけてるのっ」
「八百長を頼みに来たっていうのかよ」
そら、土方が言う
「でも、ロニージョのシュートは本気だった。アイツもちゃんと本気でやりたいって思ってるんだ」
「…ザ・キングダム。調べる必要があるわね」




「これが、ザ・キングダムの予選データだ」
ヒロトが言う
「ヒロトに頼まなくても、かがりで良かったんじゃない?」
後ろでそらが言う
「いや。今かがりさんに話しかけると…危なそう」
ヒロトが言う
実際、かがりは部屋に入ったまま出てくる気配がない
「…パス成功確率、93%だって?」
「全体的にかなり高いパーセンテージね。流石…」
そらが言う
「こんなに強かったら負けてくれって頼む必要ねぇじゃねぇか」
「ロニージョの心理がわからないな」
土方、鬼道が言う
「…いくら負けたくないからって、無敗のチームのキャプテンが八百長を持ちかける理由がない」
ヒロトが言う

「理由…あるのかもしれない。無敗でいなければならない理由が」
そらが言う
「それって…?」
「調べる必要がるわね」
「あー!こんな気持ちじゃ戦えないっ!ロニージョに会いに行くぞ」
円堂が言う

「…私は別ルートで調べるわ。変わりに…あ。いいところに。ゆうり!」
「え?そらちゃん…?どうかしたの」






『ガルジルド監督。決勝トーナメント進出を果たしはお気持ちは』
『責任を感じています。このFFI世界大会は私の愛するサッカーを通じて
 世界平和を願って開いた物。このメッセージをより人類に伝えるためにも
 ひとつでも多く勝ち進む事が我がチーム、ザ・キングダムの使命ですからな』



「世界平和…。尚更、してはダメですよ」
ゆうりが小さく言う
「あぁ。ますますワケがわかんねぇぜ」

「ガルシルドって確か…」
「フットボールフロンティアインターナショナルの大会委員長です。
 このライオット島をサッカーアイランドにしたのもそうです。かなりの資産家ですね」
ゆうりが言う



「お願いです!もう1度チャンスをくださいっ!!!」

「っ!何か騒ぎが?」
響き渡る声、鳴き声に反応しゆうりが言う


「おい。何をもめてるんだ」
「アンタたちは、イナズマジャパン」
土方は泣いている少年に近づき頭を撫ぜる
「もう泣くな」
「だって僕のボール」
「わかった。後で探してきてやるから」

“余計な事を話すな”
そう小声で言い男たちはその場を去った
「………」
その声が聞こえたゆうりが眉を潜める

「クソ!ガルシルドめっ!!」
少年が言い捨てる
「ガルシルドって…」
「よせ。もういい。来い」





広場のベンチに座り方を落とす
「ほら」
「僕のボール!ありがとう!!」
「何かようか」
ラガルートは言う
「ロニージョに会いたいんだ。何処にいるか知らないか」
円堂が言う
「………」
「さっき『ガルシルドめ』って言ったよね?どうして」
ゆうりが少年に目線に合わせ屈み尋ねる
「…ロニージョが負けてくれと頼みに来たのと関係があるのか」
円堂が言う
「な、何…」
「知らなかったのか」
ラガルートがさらに肩を落とし言う
「ロニージョの奴、そこまで思い詰めていたのか」

「兄ちゃんたちがこんな苦しい思いをしてるのはガルシルドのせいなんだっ!!」
少年が言う
「え?どういう事」
「みんな騙されたんだよっ!!」

「それ、詳しく聞かせて」
突如響く声
「かがりっ!そらも!」
「どうしてここに」
鬼道が言う
「ゆうりから連絡がきた」

「で、教えて。ガルシルドが…何をしたのか」


「ガルジルドは貧しい俺たちにサッカーをする場所が資金を提供してくれた
 家族にも仕事を与えてくれた。…でも、あいつの命令に逆らったり、試合でミスをしたら
 厳しい罰を受けるようになったんだ。俺達の家族にまで…」
「何、それ。酷いっ!」
そらが言う
「ガルシルドは、自分の作戦通り完璧に勝つことを要求した。ミスは一切許さない。だから…」
「そんなの。選手への負担が大きすぎます」
ゆうりが言う
「すでに2人、オーバーワークが動けなくなってしまった
 このままでは2度とサッカーができなくなる奴も出てくる」
「…そんな。どうすれば」
「ロニージョは、君達を強いチームと認めたからこそ、負けてくれと頼んだんだ
 確実に勝って、チームメイトや家族を守る為に…自分のプライドを捨てて…!」
「家族にも罰が…くる。そうなったら」
「そんなの人質みたいなもんじゃねぇかっ!」
土方が言うとかがりが言う
「人質、なんでしょうね。そして、選手は道具。自分の思い通りに動く人形」
「…っ!!」
ゆうりが息をのむ
実際にその経験がある彼女は微かに震えた

「それで良いわけない。絶対に…!!」



「やっぱりダメだ!このままじゃ準決勝を戦えない!」
「あの2人の辛さはわかった。やっぱりよぉどうにか助けてやんないと」
円堂、土方が言う
「ザ・キングダムをガルシルドから解放するんだ!」
「簡単にはいかないよ。家族の事もあるし」
そらが言う
「はぁ…」
大きなため息が響く

「本当に毎回、面倒事を引き連れてくるわね」
皮肉たっぷりがかがりが言う

「とにかく、明日の練習に支障がない程度に頼むわよ」
かがりが言う
「かがり、でもっ!!」
「余所に首つっこんで、自分が使い物にならなんじゃ意味がないのっ!!」
かがりは言いその場を立ち去る

「かがり…!」
そらは何かに気づき立ち上がる
「皆、かがりがあれだけ言うのはきっと理由があるから。だから、危ないことはしないでね」
そう告げかがりの後を追う
「…私はもう、行かないと。皆さん、無茶してはダメですよ。絶対に、ダメです
 彼等が辛いめにあっている。それは確かです。でも…無闇に関わることのできる問題ではないんです」
ゆうりがうつむきながら言う

「絶対に、しないでください」

ゆうりは不安そうな表情のまま駆けた



「…ゆうり。でも、やっぱり俺」
円堂が言う
「もしもガルシルドが___________ 」





「さぁて。あたしの本領発揮かしら?」