二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: イナズマイレブン〜心に灯る星〜【世界で輝く星】 ( No.298 )
日時: 2013/12/25 23:03
名前: 夜桜 (ID: KY1ouKtv)


 番外編<季節の出来事>

 【冬のイベントと君の記念日】


12月24日
世間ではクリスマスだといって賑わいをみせる
また、学生は終業式の処が多く明日からの冬休みに胸を躍らせている

「…明日から休みだっていうのに、なんであたしはアンタとここで書類整理をしないといけないわけ?」
控え目なツインテールを揺らしながら面倒くさそうに書類チェックをしている少女が呟く
「なんな事言わないで。僕的には役得だけどね!」
明るく応えるはクリーム色の長い髪を1つにまとめている少年
「職権乱用」
「してないよっ!!」
少女はため息をつく

少女の名は月風かがり
学園の時期生徒会長候補・現在、書記である
少年の名は亜風呂照美
学園の時期生徒会長候補・現在、副会長である

「先輩たち、絶対にメンドーだったから押し付けて行くし、アンタはソレを安請け合いするし…馬鹿なの?」
呆れながらかがりは問う
「そんなことないよ!承知したのはかがりと2人って事だったからさ!」
「ごめん。馬鹿だったわね。聞いたあたしがバカだったわ」
窓の外をみれば夕焼け空となっている
「日が落ちるのは速いね。かがり、これ終わったら一緒にケーキでも食べに行こうよ」
「この後はそらたちと会う約束だから」
明様に落ち込む亜風呂
それを横目にかがりは書類を戸棚にしまう
紫色のマフラーを巻き、かがりは立ち上がる
「終わったから、帰るわ。アンタは支度しなさい。遅れるとそらたちが怒る」
淡々と言う
それを聞くと同時に亜風呂は嬉しげに目を輝かせる
「うん!いやぁかがりも素直じゃないね。一緒に行くなら行くと言ってくれれば」
「置いていくわよ」
「調子乗ってすみませんでした!!!」
白色のマフラーに茶色のコートを羽織り亜風呂がかがりを追う様に生徒会室を出てゆく



空は青く、黒く、薄暗くなってきている
その下を歩き白い息をはく
「かがり、クリスマスだし僕にプレゼントのひとつでもないの?」
「あると思っているの?」
「いいえ。思ってません」
かがりの応えに対し亜風呂が言う
「まー、今回は僕があるんだけどね」
楽しげな声
亜風呂の足が止まるのを感じかがりはゆっくりと振り返る
「なに」
にやにやと笑う亜風呂を見てかがりは怪訝さを表に出す
「似合うと思ったんだよね〜。見つけたのは偶然だけど!」
そう言ってピンク色の袋を取り出す
それを見てかがりは瞬きをする
亜風呂の顔を見て、袋を見て、その行動を2回繰り返すと静かに声を出す
「…もらう理由がない。だから、いらないわ」
「そっちがなくても、こっちはあるの。贈る理由が」
落ち着いた声
顔をしかめるかがり
「知ってるんだよ。僕は」
亜風呂が言う
「君にとって今日がどういう日かを」
かがりが目を見開く
「それを知って、僕が何もしないと思うのかい?だとしたら君も考えが甘いね」
にこやかに笑う
「どこでソレを知ったというの?個人情報流失」
「そんな事言わないで。僕は感謝してるぐらいだしね」
亜風呂が笑みを絶やさすにいう
「クリスマスとか、キリストとか、そういうのじゃなくて。まぁイベントとしては重要だけど。そうじゃなくて」
真っ直ぐにかがりを見据える
その瞳から目を逸らす事が出来ずにいるかがり

「ありがとう。生まれてきてくれ。今日が君の、生まれた日。本当の誕生日だ」

空から零れる白い雪
「ありがとう。僕と出会ってくれて」
「ば、馬鹿じゃないの…?!」
かがりが焦りを見せ言う
「そういう時って…ありがとうとかじゃなくて“おめでとう”っていうんじゃないのっ?!」
動揺しているのが見てわかる
彼女は普段、冷静なぶんそれが剥がされたとき、可愛らしく愛らしい反応をみせる
段々と頬を赤く染める
「そうだね。おめでとう」
亜風呂が笑う
彼は笑う。いつも、笑う。それは自分のためで他の誰かのためで
「〜っ!いいわ、もらってあげる。変なものだったら許さないから」
袋を受け取り亜風呂より半歩前に出て歩き出す
顔はそっぽを向いている

半歩足りない距離感
手を伸ばせば届く場所
大きく足を開けば届く場所

少しずつ、僕等は近づいてゆく