二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 魔道の世界--旅人達は--*稲妻* オリキャラ募集開始 ( No.40 )
- 日時: 2011/12/12 21:41
- 名前: 紅闇 ◆88grV3aVhM (ID: dNKdEnEb)
3話
「お師匠様」
「何だ」
「あの方、番だと言いましたが……顔見知りですよね?」
女は自分の背丈と同じくらいの大きな鎌を持ち、不敵に笑っている。だが、目は油断無く茜達を見つめ、観察している。
その目線に苛立ち、茜も睨み返すと槍を右手に持ち替えて言った。
「……知らん」
「え」
「あんな物騒な鎌を持つ奴は初めてだ。もしかしたら、あっちが賊かも知れんな」
「私達を倒して、金目の物を盗ろうとしているとか?」
「一番に考えられることがそれだろうが」
体を低くし、明らかに攻撃をする体勢になった茜。それを見て女は片手で鎌を横になぎ払い、牽制した。完璧に敵対している二人は、睨み合い、相手の動きを待っている。
「ならば攻撃して良いと」
「構わん、私達は先を急いでいる。本当に邪魔するつもりなら……、誰であろうと殺す」
「……最近恐ろしいこと言うようになりましたね。良いのやら悪いのやら」
カーナは再び腕を振ると、棒立ちになったまま女に向いた。女は何か武器を出してくると思っていたらしく、カーナを見て驚いた様子だった。
「貴方はともかく、そっちの子は随分と無防備じゃない? 良いのかな、倒しちゃっても」
「甘く見ると痛い目に合うぞ。こいつは戦いにおいては恐ろしいからな」
「ふざけないで下さい。殺すんでしょう?」
「あら物騒。じゃあこっちもお構いなくってことで」
女は鎌を茜に向け、ニヤッと笑った。
「<青現象・風ノ世界>」
女の周りから沢山の竜巻が現れた。周りの草木は煽られ、一部が風に舞い、竜巻に吸い込まれた。
竜巻は感情を持っているように、茜とカーナの方へ真っ直ぐと向かう。迫ってくる竜巻を見るや茜は舌打ちすると、後方へ跳んだ。辺りを見回すが、女の姿は消えていた。隣に居たカーナも、すでに姿は見えなくなっている。
目の前の竜巻に槍を突き出して、大きく振った。
「<緑現象・風斬一閃>!」
空を切ったものが、そのまま実体となった。大きく湾曲したそれは、刃のように鋭くなって竜巻に飛び込む。竜巻はその衝撃に耐え切れず、力を失って真ん中から途切れた。同時に風の刃も消滅した。
茜の目線の先には女が構えて走り出していた。女は鎌を茜の頭上まで上げると、力強く振り下ろす。槍を横に持ちそれを受け止めた。その体勢のまま二人は動きを止めた。勿論、手に力は込めたままだが。
「……さっきも聞いたけど。この森に何か用? 荒し目的?」
「私達は桜の観光だと言った。……それと、此処の番をしている友人に話を聞きに行こうと思ってな」
「信じられるとでも? あたしは貴方を知らないもの。後、今の時期に森に入るのなら、許可が必要なの」
「どうやら、お前の先輩方と面識があるようでな。許可はこれから貰いに行くところだ。誰だか知らないが、そこをどけ」
瞬間、茜の後ろからガサガサと草が揺れる音がした。
女は自分に何か掠めていったと思った。それと同時に、右肩がカッと熱くなり、その部分の衣服が赤く染まった。
「ッ……何!?」
「その鎌を握る手を緩めなさい。私が串刺しにしますよ?」
女は茜の後方へと目をやった。そこにはカーナが一人、右手に真っ黒な短剣を握り締め、そこに立っていた。その顔は表情とも言えないほどの『無』で、ただ女を見つめ続けていた。
驚いて視線を外せない女をみやると、茜は女の腹を力任せに蹴った。女はされるがままに吹っ飛び、鎌から手を離した。
「……戦闘中に油断するのは失格だ。私の勝ち、お前の負け」
蹴られた衝撃で、女は激しく咳き込んでいた。地面に倒れ、動けない様子を見ると、茜は大股に近づき、槍の穂先を女に向けた。
茜は一睨みすると、首筋を狙い、振り下ろした——
「スト——ップ! 止めろッ!!」