二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 魔道の世界--旅人達は--*稲妻*  ( No.54 )
日時: 2011/12/24 00:50
名前: 紅闇 ◆88grV3aVhM (ID: dNKdEnEb)
参照: 俺何時まで起きてるんだろ。(コメ返しは数時間後!)


5話-2






 その言葉に、二人は急に口篭る。茜は短槍を手から放し、腕を組んだ。
 風丸がギクっと体を動かすと、肩を下げて溜め息をついた。


「いや、別に未知の生物が出るって訳じゃ無いんだ。夜が近づくと妖気が漂ってくるから、警戒を」

「確認は取れていなさそうだな。なら、今夜出てくることも否定出来ないと」

「ん……まあ、……そうだ」

「責めているつもりじゃない。こんな言い方しか出来ないだけだ……、急ぐぞ」







 三人は小屋を飛び出した。足元を照らす光を持つ円堂を先頭に、道を走る。
 走る反動で手元を暴れるように揺れるカンテラの光。それを見つめる円堂は顔をしかめ、立ち止まった。


「いつもに増して妖気が濃い……どっかで魔物が登場してる」

「今日に限って、か。私は運に恵まれないな、いつもと同じだが」

「俺らが行く方向だ……五年桜の辺りを探すのが手っ取り早い」


 目の前は沢山の木。夕暮れが近づいてきたのか、少しずつ辺りが暗くなってきている。



「くっそ……こう暗くなっちゃ俺達も分からなくなる」

「はあ? 円堂お前、番やってるんじゃないのか?」

「やってるさ! だけど、それ以上にこの森は広いんだ。桜までも遠いし……」

「此処には通称<迷いの霊>ってのが居て、本名は省くけど。その名通り幻を見せて道を変えてしまうんだ」

「お前らには、その霊に手が出せないのか。面倒だな、私はやはり此処が大嫌いだ」


 茜が悪態をついた。円堂は苦笑いし、カンテラを地面に置いた。
 ポンと風丸が肩を叩いた。茜は自分の隣で呆れる風丸を無視し、嘲笑うかのように静まっていく木々を睨んだ。


「一生大嫌いで居てくれて結構。円堂、久しぶりに出来るか?」

「そう来ると思った、……<真実を見通す眼よ、我の行く先を示せ>!」



 円堂が腕を振り上げ、叫んだ。
 足元から黄金に輝く光が浮き上がった。それは音も無く前へ伸びていき、幻を消し去る光の道となってそこに現れた。
 再びカンテラを持つと、後ろを振り返って二人にピースサインをした。


「素晴らしく憎たらしいドヤ顔ご苦労。最初からこれを使えば良かったんだ」

「文句は100年後に聞いてやる。さあ行くぞ!」
 


 光の道は、迷い無く真っ直ぐに伸びていた。木々を突き抜けていたので、それを避ける必要があったが。
 隣を走る風丸に声を掛け、今一番聞きたいことを言った。


「天月の戦闘能力はどの位だ?」



「かなり高い。ただ、必要以上に力を出していないから、いきなり後ろを取られたりすると危ないと思う」

「なら大丈夫だ。カーナは、自分の後方も攻撃対象の一部。その場しのぎぐらい、楽勝だろう」

 
 前から円堂が付け足す。


「安心出来る訳じゃないだろ。俺の気のせいかも知れないけど……物凄く強力な気がするんだ」

「登場しているとされる魔物が?」

「ああ。ただ……妖気の他に、何か別のも混じっている気がする。カーナ達なら良いんだけど……」



「おい風丸! 今日は歓迎されないお客様でいっぱいだな。入ってこれないように結界でもやったらどうだ!」

「お前が厄を無料で運んできてくれたんじゃないか? どうもお手数掛けますねぇ!」



「茜、風丸……俺の話聞いてるか……?」