二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 魔道の世界--旅人達は--  *稲妻小説* ( No.9 )
日時: 2011/11/11 22:55
名前: 紅闇 ◆88grV3aVhM (ID: dNKdEnEb)
参照: ちょっと短い。戦いのシーンと分けたほうが良いもんね!


3話




 カーナ達の前に立つ盗賊の男は、三人を睨みつけ、嘲笑した。年下だけと、余裕の表情だ。
しかし、男は知らない。茜は無表情ながらも、戦闘並みの殺気をだしていることに。隣に立つカーナは、それを背中で感じていた。店主は知ってか知らずか、目を見開いている。


「ふーん、お前ら三人だけ……そんなので俺に勝てるとでも思うのかァ!?」




 あ、この人駄目だ。高揚していた気分が一気に通常へと戻った。カーナは知っている。強い者と弱い者の区別の仕方を。
同時に波打っていた胸も静まる。——期待していた師匠の技が見られないのでは?


「……茜さん。どうするんだい?」


 店主が呼びかける。いつもより顔が青白く見えたが、前に立つ男ではなく、カーナと同じように茜の方が原因のようだ。男が口を開けた瞬間、視線は茜の方へ集中していたのだから。
 対し、茜は相変わらずの無表情。だが、あのピリピリする殺気は既に消え去っていた。茜は、下位の者にまでわざわざ本気で戦うことなど無い。強い者だけに許される余裕とも言うのか。ただ、面倒なだけなのか。
 彼女は、上位にのみ許されるゆったりとした口調で答えた。


「——私が出るまでも無い。カーナ、行け」


 店主は眉を潜めたように見えた。弟子に行かせる茜に驚いたか。だが、カーナは驚かなかった。逆に、今までの緊張で溜まっていた息を吐き出した。
 当たり前なのだ。今までにもこういうことが何回もあった。修行だとか復習だとかで、いつもカーナを前に出す。勿論、カーナは自分の力に自信を持っている。絶対とも言って良い。しかし、『弟子は師匠の力を見たい』と思うのも当たり前だ。はっきり言ってカーナは、自分より茜の技を見たい。謎に包まれすぎている彼女の力量を測りたいのだ。
 ただし、こんな本心を言えることなど出来ず、仕方なく——とも思ってはいないが、彼女に従ってきた。だが、今日は何故か気が進まない。『店主』と言う第三者がいるからだろうか。カーナは茜を見上げ、今日はねだってみようと考えた。


「私がですか? ……お師匠様、私が『戦闘向き』では無いことを知ってますよね?」

「それは、『戦闘で使用出来るという技が少ない』と言うことだ。しかし、お前は私仕込みの『戦闘用魔道』をかなり教えてある。そして、それをお前は完璧に使える。この前は自分でつくってしまったじゃないか」

「それはそうなんですが……」

「それでも戦えないと言うのなら、私は『魔道者向き』では無いとお前に断言する」

「……分かりましたよ」


 口では茜に敵わない。というか、全てのことにおいて茜には敵わないのじゃないかと思う。ならカーナに出来ることはただ一つ。“魔道において、自分を強くさせ続けること”!


「分かりましたよ、私が戦えば良いんでしょう!」

「そうだ、お前が戦う」














「じゃあ私が勝ったら、私の大好きな『フィレーヌ』を買ってくださいね」

「お前、それ好きだな。この前も聞いたぞ」