二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 悪ノ娘 * コメント待ってます ( No.13 )
日時: 2011/12/11 14:38
名前: こたろう。 (ID: GsncfwNf)
参照: http://www.youtube.com/watch?v





第8話 フコウナオトコノヒト?



「ひっめ…。どこに行くんですかっ…。」

ハアハアと肩で息をしながらネルは街を歩いた。
酒場や高貴な服を身にまとった人、走る馬車。
街はよくゲームの中で出てきそうな
西洋の雰囲気をかもしだしている。

「ネル、遅いわよ。」
「姫…どこに行くんですかっ…。」
「あのパン屋よ。焼き立てを食べるには
私が行く他ないでしょう。」

リンは人ごみの中ヒールをたてて疲れた様子もなく
歩いていた。そして遠くにある可愛らしい小さなお店を
指さすと、入っていった。ネルは慌てて後を追ったのだが。





「ありがとうございましたー!」

こおばしいパンの香りを楽しみながら、上機嫌で
リンは店からでた。抱えているバゲットからは大きなフランスパン
がはみでている。

「やっぱりここのパン屋よね、さっさと帰るわよ、ネル!」
「えっあっ…はいっ」

サイフを急いでしまってネルはリンの後を追った。
よほどにパンが食べたいのか行きより速い足取りで帰るリン。
そのリンに追いつけず、ネルはやがてリンを見失ってしまった。





リンは軽やかに走っていた。
無論。パンが速く食べたいからである。
コートのフードが取れようと気にしてはいられない。
顔をあらわにしたまま走っていた。

走る、走る、走る。一定のステップで走る。
走って、走って、ある一時。ゴンっとリンに何かがぶつかった。

「っ!?」

ぽてん、とリンが後ろにしりもちをついた。
途端に不機嫌な顔になると、下を向いたままはぁ、と息を吐いた。

「大丈夫ですか?」

男の人の声が聞こえてきた。
誰だろうか。誰にしても不幸であることには変わりない。
国の王女様(しかも上機嫌)にぶつかってしまったのだから。

「…あなた…。誰に向かってそんなくちー。」

ばっと上を睨みつけるとー。
そこには見慣れない男の人が立っていた。