二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 炎神暴君★リシタニア2-銀魂×戦国BASARA3×青エク- ( No.28 )
日時: 2012/05/31 22:32
名前: 山下愁 ◆kp11j/nxPs (ID: GlvB0uzl)

第3章 幽霊は本当に出ないから安心して


 お岩は人数分の羽織を出しながら、彼らに命令する。

「40秒で支度しな!」

 銀時達はしぶしぶといった様子で出された羽織を着る。そしてスーツ姿になって準備完了。
 一体何の事かと思った銀時が、お岩に問いかけると、

「何って、ここの従業員をしてもらうんだよ。あんたらはまれに見る霊媒体質だからね」

 霊媒体質——まぁ俗に幽霊に触れるって事で。
 山下は原作を片手に打っている訳ではないので(うろ覚えで書いている)詳しくは分かりませんが。
 お岩は銀時に柿の種の袋を渡した。

「持って行きな。たいていの幽霊はそれで言う事を聞くさ」

「安っぽいな」

 横から政宗が言う。
 銀時は何を思ったのか、翔に柿の種を渡してきた。一体何事か。

「え、だってたいていの幽霊が言う事を聞くって——」

「死ね」

 銀時に向かって炎神を振るう翔。彼はそんな安っぽいお菓子だけでは吊られない。

「持ってくるならふ菓子にしろ!」

 柿の種よりも安かった。
 とにかく銀時達はこの温泉旅館の従業員になってしまったようである。

***** ***** *****

「ようこそ〜〜〜〜。遠いところからよくいらっしゃいました〜〜」

 などとあいさつしながら、引きつった笑みで出迎える従業員達。その横で翔は機嫌が悪そうな表情で、頭の後ろで手を組みながら立っていた。
 翔の手にかかれば成仏などたやすい。手に取るように分かる。
 だがしかし、未練がある幽霊は、彼は手を出さないようにしていた。実害はないので別にいいのだが、今はそれどころではない。
 身内に幽霊を憑依させてしまった。それだけ理由があれば、彼の機嫌も悪くなる。

(……面倒くせー)

 翔はため息をついて旅館の中に入ろうとした。

「……なぁ、翔。これは一体どうすればいいかな?」

 佐助が青ざめた表情で訊いていた。
 何かと思えば、佐助の手には生首が乗っている。しかも腕に神をうじゃら……と巻きつけている。
 翔は無言で炎神を取り出して、髪の毛を燃やし切った。そして生首を鷲掴みにすると、空中に放り投げてから一刀両断する。ジュワッと音がして、生首は消えた。

「これで完了だ」

「いや、それさっきのお客さんの荷物」

 佐助に言われ、翔は先ほど入った幽霊の方へ目を向ける。
 弓矢が生えたボロボロの鎧に、首がない侍の客だった。どこの侍だ、何時代の侍だ、戦国時代か。

「……この際だから、あいつも狩るか」

「止めてあげてぇえぇぇええ!!」

 いや、止めろと言われても、自分死神ですから。


 お岩に注意され、従業員(ただし羽織は着ていない)に戻った翔は、ぶらぶらと旅館内を適当に見て回る。
 銀時達は休憩中。翔は柿の種をぼりぼりと食べながら旅館を歩いていると、声をかけられた。
 半透明の若い男性である。頭にたんこぶを乗せ、口元からは血が流れている。どうしたらそんなんなった。

「すみませんが、ちょっとポルターガイスト起こしているんで注意してもらえませんかね」

「ハァ? ポルターガイストだぁ? テメェを狩ってやろうか、あぁん?」

 ピーナッツを握りつぶすが、翔はその若い男性の幽霊についていく。
 件の部屋からはドンドンという音が聞こえてきた。この音が迷惑しているのだろう。
 翔は無言でそのドアを開けた。
 ちょび髭の生えたブリーフ男が、壁をどんどん叩いていた。

「……誰、あれ」

「信長よ」

 翔の隣には、いつの間にか黒髪の美しい女性が立っていた。確か、レイという名前だったような感じがする。
 レイは部屋の中を覗きこみ、信長について説明する。

「ほら、西洋かぶれのダルダルブリーフを穿いているじゃない」

「知らねぇよ。ていうか俺はトランクスだ。ブリーフなんざ知った事か」

 翔はスパンッとドアを閉める。だが、また隣から聞こえてきた。
 何事かと思えば、またブリーフを穿いた若い男が壁を殴っている。

「……本当マジむかつくわー、秀吉」

 そんな事を言っている。
 あぁ、光秀か。翔は確信した。
 無言でドアを閉めると、さらに隣の部屋からドアを叩く音が聞こえてくる。開けると脳天ハゲの男が壁を殴っていた。

「ブッコロス。トコヤ」

 ザビエルか。翔は思った。
 3つのポルターガイスト現象を起こしている部屋を覗いて翔は一言、

「この旅館を燃やそう」

「何を言っているんだい」

 レイは慌てたように突っ込んだ。
 今にも実行せんとしていた翔は、炎神を持ったまま首を傾げる。

「どうして止めるんだよ?」

「この旅館は大切なものなんだ。燃やすなら容赦はしないよ」

「どう容赦しないんだ?」

 翔は炎神を肩に担いで余裕の表情。幽霊なんかに体を取りつかせないし、翔は霊媒体質でもあるし、第一翔の体を乗っ取ろうものなら幽霊は少なくとも炎神の呪いにやられて死ぬ。
 レイはそれを知っていたから、何も言わずにただ黙っていた。

「燃やしはしねぇよ、俺だってそこまで馬鹿じゃない。まだ憑依された仲間がいるんだ。憑きものが落ちるまで大人しくしてるわ」

 その時である。
 翔の横を、猿のような老人が通った。どうするのかと思えば、光秀の部屋をノックして、

「すみません、うるさいんですけど——。あぁ、もううるせーな。むかつくわー、信長」

「あ、秀吉」

 翔が思わず言ってしまった瞬間、

 ガラリとドアが開き、信長・光秀・秀吉の3人が対面した。