二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 炎神暴君★リシタニア2-銀魂×戦国BASARA3×青エク- ( No.29 )
日時: 2012/06/07 21:51
名前: 山下愁 ◆kp11j/nxPs (ID: GlvB0uzl)

第3章 幽霊は本当に出ないから安心して


 信長・秀吉・光秀をあの世へと送る為に、翔は炎神を振り上げた。

「何か言う事はあるか。このお猿ども」

 ひんやりとした声を浴びせる翔。その顔は無表情である。
 一方の3人は、ビクッと肩を震わせた。まるで心臓にナイフを突き付けられたかのような反応である。
 そりゃそうだ。翔は死神であり、なおかつ人間どもよりも長く生きてきて、さらに幽霊を狩りまくっている存在であるから。強制的に成仏——なんていう展開もあり得る。

「今すぐ黙って部屋に戻らねば、このまま強制的に成仏——」

 パァンッと。
 銃声が、翔の耳に突き刺さった。同時にドサドサと3人が倒れる。
 見れば、ザビエルが火縄銃を持ってこちらを見ていた。そしてくるりと身をひるがえすと、そのまま部屋に戻りピシャリと襖を閉める。
 今のは一体何だったんだ?

「おーい、翔。仕事だってよー」

 燐が不意に翔の事を呼んだ。
 翔は炎神を背に収めると、そのまま燐へとついて行く。

***** ***** *****

 大浴場には、たくさんの幽霊がいた。それぞれ、武将とエクソシストどもが背中を流している。
 翔ももちろん、骸骨の背中を流していた。

「ハイ、お客さん。どーぞ。次は?」

「こっちを頼めるかね」

 別の骸骨からリクエストが来た為、翔は袖をまくりなおしてその骸骨のところまで歩く。そしてスポンジを背中に触れさせる。
 何度も言うようだが、翔は死神である。霊媒体質な為、翔は幽霊に触れる事ができるのだ。
 なので、もろい骸骨の体を崩す事なく洗える事ができるのだ!

「ハイ、終わり。どーぞ」

 洗い終わった骸骨の肩を軽く叩き、翔は立ち上がる。
 その時、銀時の方から悲鳴が起きた。何かと思ったら、銀時が骸骨を壊したらしい。背中がもうすでにない。

「何をしてんだ、あの馬鹿」

 翔はため息をつくと、銀時の方へ近づく。

「どーした?」

「しょ、翔! こいつの背中がボロボローッて。まるでクッキー感覚で壊れて……!」

「こいつの骨はもろすぎるなぁ……。骨粗相症とかかな?」

 翔は仕方ないとでも言うかのように、炎神を取り出した。そして骸骨の背中に向けて刃を降ろす。

「どっせい!」

 ザクッ。骸骨は一刀両断されて消えた。強制的に成仏決定。

「ハイ終わり。じゃ、俺は上がるわ。お疲れでしたー」

「いや、待て待て待てェェェ! お客を成仏させてどうするんだお前? また怒られても知らないぞ!」

「その時はあの婆とスタンドもろとも殺すだけだ」

 物騒な台詞を残して、翔は欠伸をしながら出て行く。
 銀時は、ただその背中を見ているしかなかった。

「……おい、銀時」

「どうした政宗」

「この骸骨、背中がボロボロ崩れるんだがどうすればいいか?」

「うわ、また崩れた! どうしよう勝呂! こいつ怖い!」

「魔神の息子が何を言ってんねん。気張りや!」

「いやでも、すごく崩れるぞ?」

「面白がって壊すな、家康!」

「やれ三成。貴様も壊れておるぞ」

 ————骸骨を壊す人物続出。


 一方翔は、お岩を前にして舌打ちをした。
 お岩は柿の種をポリポリと食べながら、翔へ淡々とした口調で言う。

「やってくれるじゃないのさ」

 お岩は不敵に笑う。

「あんた、炎の死神だってね。あの世界を一瞬にして焦土と化せるぐらいに強い戦闘用の死神じゃないのさ。何であんな天パに飼われているんだい?」

「それはあれか? 俺を勧誘しているのか?」

 翔はぼりぼりと頭を掻き、お岩を睨みつける。

「銀時を悪く言うと、貴様ごと殺すぞ。人間。俺は死神だ、貴様が死ぬ時も操れる事を忘れるな。そこの後ろにいるスタンドごと殺しても構わないぞ」

 冷たく——いつもの翔からは感じられないぐらいの低い声で、お岩へ言う。
 銀時を悪く言う事は、翔の逆鱗に触れる事と同等の意味をしていた。
 何故ここに来たのか。何故この場にいるのか。そして目的は何なのか。死神としての任務が何だったのかすらも忘れ、ただ江戸をさまよっていたところを銀時に助けられた。いつもジリ貧で、給料なんかろくに貰った事すらもないけれど、それでも翔は銀時を慕っていた。主と呼んでいた。

「おやおや、それは禁術とでも言うんじゃないのかい?」

「黙れ。主を悪く言う奴は、みな死んでしまえばいい」

 炎神を構え、翔は言う。
 お岩はにやりと笑うと、息を吸い込んだ。


 意識が飛んだ。