二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 炎神暴君★リシタニア2-銀魂×戦国BASARA3×青エク- ( No.32 )
日時: 2012/06/14 22:24
名前: 山下愁 ◆kp11j/nxPs (ID: GlvB0uzl)

第3章 幽霊は本当に出ないから安心して


「しょーう、おいしょーうー? どこに行ったんだあいつ」

 政宗はうろうろしながらあの炎の死神を探した。
 骸骨の件からかなりの時間が過ぎている。そろそろかの有名な征夷大将軍、徳川家康が来る予定だ。
 まぁ、BASARAの徳川家康は現在、柿の種をぼりぼり食べているが。
 そこで銀時を筆頭に、この宿に革命を起こそうという話がレイから聞いていたのだ。政宗は翔を呼ぶ為にこうして宿の中をあちこちうろうろしている。
 時たま幽霊達とすれ違い、翔の事を訊いて回るが収穫なし。どこにもいないらしい。

「まさか、帰った?」

 政宗は眉をひそめた。
 翔にはそういう技がある。空間移動術と言い、空間を引き裂いてつなげる事ができるのだ。その中を移動する事を可能とし、ここから万事屋に帰る事などたやすい事である。

「Shit! それなら銀時達に知らせねぇと」

 舌打ちをした政宗。そしてUターンをしようとしたら、いきなり三成が出てきた。どこか焦ったような感じである。

「だ、第2の家康が現れた!」

 まぁつまり、銀魂の徳川家康が現れた訳で。

***** ***** *****

「ハァ? 翔がいないだと? どういう事だ」

「さぁな。帰ったかもしれねぇ」

 政宗が自分の見解を述べる。
 それを聞いた全員は、ムゥ、と顔をしかめた。
 翔は死神であり、このスタンド温泉で言ったら最大の敵である。その翔自身がいなければ、この作戦は成り立たないはずなのに。

「仕方ねぇ。俺が時間を稼ぐ。そのすきにテメェらは翔を探せ」

「「「「「了解!!」」」」」

 全員で敬礼をして、銀時を見送る。そしてUターンして大浴場から宿内に入った。
 翔を探すのにはかなり時間がかかる。お岩にも言われていないところも探さねばならないし。

「大変そうじゃないか」

「……レイ殿」

 幸村が、突如現れた女性の幽霊の名前を言う。

「何を探すつもりだい?」

「翔を探さないといけねぇんだ。お前も協力してくれ!」

 燐がレイに言う。
 レイは首を傾げた。

「翔って、あの女みたいな容姿をしている死神かい?」

「そうだよ、その翔」

「それなら————」

 そこまで言いかけた時、鋭い殺気が全身を貫いた。
 誰かがそこに立っている。間違いなく。
 振り向くと、そこにはお岩が立っていた。

「誰を、探しているんだい?」

 お岩はいつもの笑みを保ったまま訊いた。
 何かが背筋を駆ける。武将達、エクソシスト達はそれに気押されて反論できなかった。何も言えずに、ただ棒立ちしていた。

「まさかあの死神かい?」

「翔を、どこへやったんだ!!」

 燐が震える口を動かして反論した。
 にやりと、お岩は不敵に笑う。そしてこう言った。

「閉じ込めたよ、生意気だからね。今ではすっかり大人しくなっちまっているさ」

「な、んだと……!」

 そこから一気に攻撃体勢を取る武将達、エクソシスト達。
 しかし次の瞬間、意識が飛んだ。

***** ***** *****

 目が覚めたら牢屋の中だった。
 政宗はぼんやりと瞳を開き、確認する。自分は捕まったのだと。従業員一同掴まっている。銀時も失敗したらしい。
 そんな政宗の耳に、声が聞こえた。息苦しそうな声である。

「……ハ、ハァ……」

 荒い吐息がこだまする。正面には独房があり、そこには1人の少年が寝転がらされていた。
 乱れている黒い髪。いつもは左下に結われている長い髪は、床に散らばっている。両手は縛られているらしい。ニット帽はかぶっていないし、相棒である身の丈を超す赤い鎌は見えなかった。
 東翔。
 探し求めていた炎の死神。

「翔……!」

 政宗は鉄格子に手をかけて、翔の名前を呼ぶ。
 正面の独房からゆっくりと翔は顔を上げ、政宗の姿を確認した。その瞳は虚ろなものだった。

「ま、さむね……?」

「しっかりしろ! 何があった!」

「鎌……炎神を取られた……。俺、あれないと、いけねぇのに……。力、出なくて」

 いつもの翔ではないみたいだ。
 どうする、と政宗が思った時である。

「あれ、こんなところで何してんスか」

 声がした。
 いつの間にか牢屋には、


 新八達がいた。