二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 炎神暴君★リシタニア2-銀魂×戦国BASARA3×青エク- ( No.33 )
日時: 2012/06/21 22:26
名前: 山下愁 ◆kp11j/nxPs (ID: GlvB0uzl)

第3章 幽霊は本当に出ないから安心して


 どうやら、一定間隔で死神の鎌が離れると途端に弱るらしい。
 向かいの独房でぐったりとしている翔は、両手にはめられた鉄枷を指でなぞる。一瞬にして溶解した。そして力なさげに持ち上がった手で独房の鉄格子を掴むと、あっという間に溶けてしまう。
 翔はふらふらとこちらへやってくると、牢屋の鉄格子を細い指でなぞった。

「た、のむ……炎神を探してきて」

 そこで力尽き、翔はうつ伏せで倒れた。炎の死神は炎を操る為、高温の熱を発してしまうらしい。
 他にも水の死神なら体温が急激に下がったり、雷の死神なら放電したりだとか症状は様々なものである。
 翔はただでさえ夏が大嫌いだ。だからこんなに弱っているのだろう。

「よし、武将とエクソシストどもは手分けして翔の鎌を探せ! 俺らは家康を調伏してくる!」

「あれ、ワシは何かしたのか?」

 BASARAの家康が首を傾げた。いや、君じゃないんだよ。
 だがしかし、銀時と半透明である新八達は、どこかへ行ってしまった。

「で、こいつの見張りは一体誰がやるんだ?」

 燐が翔を指差して問いかける。
 全員で手分けして探した方が早いだろうが、翔をこのまま1人にさせておくのも気が引ける。どうしたらいいのだろうか。

「俺は、いいから……。一定距離って言っても、大体300メートルあれば、回復する」

 息を荒くしながら、翔は言った。
 全員は心配そうな目をしたが、「すぐ戻る」とだけ告げると旅館内へ散る。


 幸村、政宗、佐助、小十郎は札が貼られた部屋に来ていた。ここが1番怪しい。

「行くでござるか?」

「そうするしかねぇだろ。翔があんな状態なんだ、さっさと回復してもらって幽霊どもを調伏してもらった方がいいだろ」

「そうだよね。でも、まさかあんなに弱るとは思っていなかった」

「しかし、翔がここで使えないのは痛手ではないかと」

 ぶつくさ言いながら、しばし札の貼られた部屋の前を逡巡する。
 しかし、ここで迷っていても仕方がない! 4人は武器を構えると、思い切り部屋の襖を攻撃した。雷と炎と闇が一斉に襖をぶち破る。
 そこは、小さな納戸だった。薄暗くて何もない、小さな部屋である。
 納戸の中央に、札が貼られた鎌があった。ボウ、と赤く輝き、主を探すかのように明滅している。間違いなく、翔の炎神だった。

「あったでござる! 炎神!!」

「よし、持って行くぞ!」

 炎神に手を伸ばすと、貼られていた札はボロボロと崩れた。手に取ると燃えるように熱い。
 顔をしかめながらも、政宗は炎神を握りしめて弱った死神の元へと駆ける。

***** ***** *****

 お岩は目撃してしまった。
 宴会会場でどんちゃん騒ぎをしている。家康達は楽しそうにお酒を飲んでいる。
 その幽霊達がたくさん座り、飲み食いしている中で人が立っていた。三味線を片手に、歌を歌っている。それに合わせて、机に乗った子供の幽霊が舞っていた。
 知っている。閣下化したあの万事屋の奴らだ。

「スタンドとなったのか!」

 お岩は舌打ちをした。
 しかし、その舌打ちは届く事はない。銀時は家康の肩に手を置くと、優しい声で言った。


「死んで初めての楽しい宴会でしょ?」


 その時、ドウッと音がして家康が成仏した。
 お岩が感じた温かな炎と光の扉————間違いなく、奴らのものだ。

「よぉ、ババア。よくも俺の炎神を封印してくれたようだな?」

 お岩の背後には、炎神を構えて幽霊を裁いている死神の姿があった。