二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 炎神暴君★リシタニア2-銀魂×戦国BASARA3×青エク- ( No.34 )
日時: 2012/07/05 21:41
名前: 山下愁 ◆kp11j/nxPs (ID: GlvB0uzl)

第3章 幽霊は本当に出ないから安心して


 とりあえず、どうやってこの状況を打開しようか。
 銀時は三味線を片手に苦笑した。
 対峙しているのはお岩————この温泉旅館の女将である。つまり、最強のスタンド使い。

「せんのかーぜーに……」

「残念だけど、TAGOSAKUにそんなちっぽけな歌は効かないよ。やってくれるじゃないのさ」

 にやりと、お岩は笑う。
 怖い。だが負けない。

「はぁぁぁぁぁ……!」

 唐突にお岩が息を吸い始めた。そして背後に取り憑いていたTAGOSAKUを口の中に吸い込む。
 その時だ。

「ぶわははははは! 貴様も蝋人形にしてやろうかぁぁぁぁあ!!」

 お岩がまさかの進化を遂げた。なんと、彼女は閣下となったのだ。
 巨大な拳を銀時の頭上に突き出す。壁にめり込み、コンクリートがパラパラと落ちてきた。

「な、舐めんじゃねぇ!」

 銀時は壁に突き刺さった腕を足場にして、お岩の顔面へ向けて両足をそろえた蹴りを叩き込む。
 顎にその蹴りが入ったはずなのにもかかわらず、お岩は不敵に笑った。そして銀時を振り払い、壁に叩き込む。
 かなりの距離を吹っ飛んだ銀時が見たのは、こちらに向かって走って来るお岩の姿だった。

***** ***** *****

 一方、翔達の方はと言うと。

「……あー、ハイハイ。お前はこっち、お前はこっちでぇ……ハイどうぞー」

 翔は炎神を操り、天国への扉と地獄の扉を両方同時に開けていた。判決の最中である。
 もうかなりの体力と精神力を使ってしまったのか、その顔に疲れが見えている。

「お、おい翔! 何かこの前の爺達がまずいぞ!」

「何がどうまずいのか説明してくれ」

 翔は5つの魂をまとめて天国の門の方へ送り、走ってきた燐の方へ顔を向けた。
 燐は今にも成仏してしまいそうな明智光秀を示す。体の半分が消えかかっていて、もう確実に成仏するだろう。それを支えているのは、まだ無事な豊臣秀吉だ。いや、あのゴリラではなく。

「……よし、最後に遺言を聞いてやる。何かいい残す事はあるか」

 炎神を消えてしまいそうな光秀に向けて、翔は言い放つ。
 光秀は自嘲気味に笑うと、「一言だけ」と言った。

「殿、本能寺——すいませんでした」

 それを聞いた織田信長、悲鳴を上げて成仏しかけてしまう。何、この連鎖。

「止めてよ、そんなの! 涙でてきちゃうじゃん! マジでお前、泣かせに来たの?!」

 信長は己の顔を覆って叫びまくる。しかし、成仏する体は止められない。
 やがて床に倒れ、秀吉に助けられる。

「うぅ……秀吉。最後に一言、聞いてくれるか?」

 苦しそうな声で、信長は言う。
 翔は明智光秀の魂を天国の門へ押し込めながら、信長の遺言を聞いていた。

「アル○ゲ○ン、○タヤに返しといて」

「謝れぇぇぇぇ! 猿って言ったの謝れぇぇぇぇぇぇ!」

 やっぱりな、と翔は思いながら成仏しかけているのを面倒くさいからこのまま判決するかと信長に刃を突き立てた。
 水蒸気となって消える信長。
 ただ1人残された秀吉に、翔は優しい口調で問いかけた。

「テメェもあの2人の後を追って逝くか?」

「止めて止めて! まだ逝きたくないよ!」

「知るか。そんなんだったらな、俺の仕事が増えるんだよ! そんなのはまっぴらごめんだ。死ね!」

 秀吉に炎神を振るい、天国の門へと魂を導いた翔。これで宴会に参加していたスタンドどもは狩った。
 一応翔はその場に待機する事にする。何故なら、政宗や幸村達の戦国武将ども、勝呂と燐の武器に死神の力を若干付与し、ここに魂を導くように仕向けたからだ。
 炎神を担いで、スタンド達がやって来るのを待つ。
 刹那、遠くの方で爆発音がした。

「……始まったか」

 翔は虚空を見上げてつぶやいた。

「何が始まったんですかねぇ?」

「よぉ、子猫丸。今までどこに行ってた」

 翔の隣にはいつの間にか子猫丸が立っていた。もちろん、スタンドである。閣下となっている為だ。
 子猫丸は苦笑いを浮かべて、

「杜山さんとか志摩さんで温泉に行ってました」

「あぁそうかい」

 見なかったけどな、と言いつつ翔は転がった酒瓶に目をつける。酒瓶の口からは透明な液体が流れ出ていた。
 遠くの爆発音はさらに激しくなる。
 武将達やエクソシストどもが戦っている訳ではない。
 銀時とお岩の戦いだ。

「……さて、俺も参戦してくるか」

「行ってまうんですか?」

「あぁ。子猫丸、お前は絶対に救ってやる」

 翔はにやりと笑うと、子猫丸の坊主頭を軽くなでた。死神ゆえに、魂には触れる事もできるのだ。
 子猫丸はにっこりと破顔した。

「えぇ。待っとります」