二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 炎神暴君★リシタニア2-銀魂×戦国BASARA3×青エク- ( No.37 )
日時: 2012/07/26 22:34
名前: 山下愁 ◆kp11j/nxPs (ID: GlvB0uzl)

第4章 こたつの魔術は偉大である


 買い出しを終えて帰ってきた翔が見たものは、あの万事屋3人に+桂だった。
 品物を冷蔵庫の中に押し込み、翔は首を傾げる。

「何でヅラがここにいんの?」

「んー? だって寒いし。別にいいじゃないかー」

 桂は脳天をハゲにして、こたつ布団をかぶる。一体何だ、こいつ。
 そしてついでに、銀時と神楽の脳天もハゲていた。完全にサザ○さんの波○である。こんなのが主な訳ない。
 翔はコクリと頷くと、パチンと指を弾いた。
 出てきたのは——万事屋でも殺人の腕を誇る忍び、風魔。

「こいつを殺れ」

 承知とでも言うかのように、風魔は頷いた。っていや、

「頷くなよ、そこォォォオオ?!」

 新八が間髪入れずに突っ込んだ。
 翔が不満そうに唇を尖らせ、風魔を止めながら、

「だってこんなのが銀時な訳ないじゃん。脳天ハゲなのは未来を予想すればいいかもしれないけど、死んだ魚のような目がさらに死んでいる。もはやゾンビ」

「ゾンビ?!」

 だからGO、と再び翔は風魔をけしかけようとした。2人は動かない。
 あ、何? 本当に殺しちゃってもいいんだー的な事を思いながら、翔はあえて「風魔やっぱ止めて」と言った。風魔も止まる。さすがに万事屋主を殺すのにはきついらしい。
 翔はため息をつき、

「しゃーねーな。こんな奴でも銀時が主だって認めてやるよ」

「いや、認めてやるって上から目線じゃないですか」

「気のせいだ」

 ていうか、俺の性格はもとからこんなだぞ? 最近馬鹿っぽくなっていたがな。とか言いながらこたつの部屋から出て行く翔。ソファにいつも通り寝転がり、大きな欠伸をして眠りにつく。寒くてもお構いなし。
 武将達は武将達でプロレスごっこをしているらしく、万年床である翔達の部屋がやけに騒がしい。でもそれでも寝れる翔はすごい。

「あれ。銀さん達をこたつから出す事はどうなったんだい?」

「あらー、雪男。燐菜の方はどうなの?」

 雪男は燐菜の料理の手伝いをしていたのだ。まぁ、料理ができる燐はプロレスに参加してるからという理由がある。
 メガネを指で押し上げ、雪男は笑う。

「えぇ。あとは私がやるって燐菜さんは張り切っていましたよ」

「そーかい。じゃあ心配はナッシングだな。ふぁ……。誰か依頼人が来たら起こしてくれるか?」

「それなら僕もここで仕事をしちゃってもいいかな?」

「いいんじゃねぇの? 銀時の机を借りりゃ」

 適当に頭を掻きながら、翔は言う。
 雪男は薬草と本を取り出して、何かを調合し始めた。悪魔薬学の教師ゆえに、そのような事が仕事なのだろうか。翔には分かりかねない。

「あれ? お妙さんこんにちは」

 うとうとしているところで、燐菜が声を発する。ふんわりと甘い匂いが漂ってきたので、何かケーキじみたものでも焼いたのだろう。
 ついでに九衛兵もいる。この2人、案外仲よしなのだ。

「あら、燐菜ちゃん。それはスポンジ? 何か作るの?」

「これからショートケーキを作る予定なんだ! あとで持って行くね!」

「楽しみにしているぞ」

 そしてこたつのある部屋の方へと消えて行く。
 直後、新八の悲鳴が起きた事は言うまでもない。

「……なぁ、雪男。お前ってこたつって使った事あるか?」

 寝ながら翔は不意に雪男へ問いかけた。
 薬草の調合をしながら、雪男はその問いかけに対してシンプルに答える。

「記憶にないなぁ」

「孤児院なんだろ、育ったの」

「……」

 雪男の手がピタリと止まる。『何故知っている?』とでも言うかのような目で、翔を見上げた。
 一方の翔は、にやりと笑った。雪男には死角になっていて表情が見えないが。

「俺が人の記憶を覗けないとでも思ったか? この世界にいる限り、テメェらも俺の管轄だ。記憶を覗けてナンボなんだよ」

「質が悪い」

「よく言われる」

 自嘲気味に言う翔。そして話を続ける。

「迷惑ついでに、俺の話も聞くか?」

「……翔さんの話って何です?」

 薬草を調合しながら言う雪男。目線はこちらに向いていないが、興味はあるらしい。

「とある1人の死神はー、空から落ちて記憶をなくしました。地上に降りて路頭に迷い、ふらふらとさまよって、1人の男に拾われました」

「……その男が銀さん?」

「んーん。違う人……そいつに半年ぐらい利用されてね。逃げ出したんだよ」

 どこか遠い目で語る。
 そして翔の話は続いた。逃げ出した死神は、再び男に拾われますが、その男から逃げ出そうとした。しかしできなかった。
 男は見知らぬはずの死神に、とても優しかったのだ。少ないながらも温かい食事、風呂、寝床——感謝しきれないぐらいだった。
 そんな男は、ある日事件に巻き込まれる。事件——というか、死神しか分からない事件。つまり志望予定時刻が近づいてきていると。
 興味を持たなかった死神は思う。どうしてもこの男だけは救いたいと。だからその日、『絶対に家から出るな』と命令して見張っていた。
 死期は免れたが、大きな難題が襲い掛かる。見過ごせないプラスの時間——予定時刻を過ぎた者は、死神に狩られやすい。死神は禁術を使って、男の時刻をごまかしたのだ。

「ま、こうして現在に至る訳でございます。全て事実だよ?」

「……確かに、銀さんは優しいですよね」

「あんなだけどな」

 いつの間にか人数が増え、10人でこたつに入ってごろごろしている銀時達を見て、2人は苦笑を浮かべるのだった。