二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: *—図書館から世界は回る ( No.3 )
- 日時: 2012/09/10 19:51
- 名前: 臨 (ID: JMwG2Hoo)
>短編—ygo
*サテライト時、鬼柳死後。クロウ視点。
ロンというこの少女は、突然涙を流すことがある。
それは決まって、雨が降っている時だった。
ロン自身が涙を流していることに気付かず、気づくのは涙が頬を伝ったときくらいで、
その度に相変わらずの無表情を少しゆがませて服の袖で涙を拭った。
こいつが泣く理由もわかっている。
あいつが死んだと聞かされた時も、あいつが捕まった時も雨だったから。
…、ロンが涙を流す理由は、きっと鬼柳だ。
こいつはサテライトで鬼柳に救われた人間の一人であり、鬼柳や俺達の妹のような存在だから。
鬼柳がこいつを連れてきたときもあまり表情を見せないやつだと思ったのは、覚えている。
それでも、打ち解けていく内に笑顔を見せるようなった。はずだったのに。
鬼柳が死んでからは、出会った時のように感情を見せようとしないのだ。
そして、左頬に二つ目のマーカーがついた。何をしようとしたかは教えてくれなかった。
「なぁ、ロン」
「クロウ兄さん、雨が降りそう。」
「そうか、ガキ共と一緒に帰らなきゃな。」
「クロウ兄さん、寒いよ。」
「あぁ、帰ろうぜ。」
「…クロウ、兄さん。」
ぽつんと小さく作られた鬼柳の墓の前にロンは立っていた。
そういや、今日は鬼柳が死んで一年になるのか。
この墓は何かが埋まっているわけではなく、ただの木が刺してあるだけだ。
それでも、ロンにはこれしかなかったのだろう。声が微かに震えている。
「クロ…兄さっ…」
「あぁ、」
「さみしいよ…!」
ロンは声を押し殺して泣き始めた。
鬼柳が死んでからは、こんな風に感情を見せることはなかったのに。
ロンの隣に立ち、横目でロンを見るとぼろぼろと涙を流していて、
泣き方のわからない子供のようにぐしぐしと目をこすっている。
そんなロンを見ても俺は何もできなかったし、何も言うことさえできない。
それなのに、こんなロンの姿を見たくなくって思わず、ロンを抱きしめた。
雨で濡れたロンは冷たすぎた。
「ロン、」
結局何も言えなかったけど、強く抱きしめるとロンもゆるりと俺の背中に手を回し、声をあげて泣き始めた。
…俺は、お前の代わりにはなれねぇんだよ。鬼柳。
ぽつり、と降っていた雨が俺の頬を伝った。
—あとがき—
見にくい文ですね。すみません。
私のキャラって、無表情キャラ多いな…。
ちなみに、ロンが盗み出そうとしたのは、鬼柳のデッキです。
いや、セキュリティに保管されてるんじゃないかなという妄想ですけども。